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橫濱人形の家で、コーナー展示「日本の人形芝居・人形浄瑠璃と竹田人形」を觀る。
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(※展示室内フラッシュ無しで撮影可)
竹田人形とは、江戸時代初期に新興音曲の義太夫節と組んで隆盛した竹田近江一座に因んだ上方製の人形云々、
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力強さを強調した見得風の身振りに、極端なまでに首をひねった姿態は、
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私の眼にはむしろ滑稽に映る。
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しかし、チカラと云ふものを瞬間的に冩し取ったものと見れば、極端さのなかにも得難き冩實味を見出せる。
日本の傳統的な人形芝居は、人形の動作(しぐさ)そのものはとても魅力に富んでゐるが、殘念ながら現今は肝心の遣ひ手に魅力ある者がゐないこと、そして上演作品の世界觀が旧弊のまま固まって魅力(かがやき)を失ってゐるため、せっかくの美しさを殺してしまってゐる。
だからと云って現今の歌舞伎興行のやうな、奇怪な新作など企画する必要はない。
人形は作る人、扱ふ人を得て初めて魂を吹き込まれるものゆゑ、ぜひさういふ人財に巡り逢ひたいものである。
展示室の一角から、現代の人形作家による“魂の結晶”が、私を招いてゐた。
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人形が呼んだのか、“魂”が呼んだのか……?
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見つめてゐると、間違ひなくそちらへ引き摺り込まれる怖さを感じて、私は後退りに立ち去った。