arata-tokyo-jp's blog(Henry Nagata)

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オリンピックで思い出す事・・4

2004年09月17日 13時34分26秒 | エッセイ
金メダルを取るようなスポーツ選手を見ていますと、ふと考えてしまう事があります。

何故あんなにスポーツ選手は、「自信満々」な顔の表情になれるのだろうか・・・と。

もちろん、これには理由がある訳です。
それは選手が人一倍の努力、苦労をした事が、金メダルという結果に現れているからです。
ほとんど「自分だけ」の努力の結果です。
他人の力を借りる事は出来ません。
演奏家の中にも、同じ様に自信満々の人たちがいます。
やはり同じ様な理由が考えられます。

何故、私がこのような一見「当たり前」に見えるような事を、わざわざお話するのかと申しますと、例えば優秀な作曲家を見た時に、それほど自信満々の顔の表情に見えないからです。
これは不思議です。
優秀な作曲家であれば、当然自信満々の顔をしていても良い筈です。
ところが、多くの人が「柔和な」、「お人好し」のような表情をしているのです。

私はその一つの理由を考えてみたのです。
では私の個人的なお話をしてみましょう。

私が「つまらない曲」を創ってしまった時には・・・これは「自分だけ」の実力なのです。
ところが、私が「優れた曲」を創った時には・・・これは自分の実力ではないのです。

自分の今現在の実力、つまり過去の「知識や経験」だけでも、作曲する事は可能です。
しかし、これだけではマンネリを感じる「つまらない作品」になってしまうのです。
「良い作品」を創る為には、どうしても必要なものがあるのです。
言うまでも無く、それは「ヒラメキ」、「インスピレーション」です。
これがなければ「良い音楽」は出来ません。

これには色々な表現があって、「天の声」とか「神の声」とか・・・
西洋人は「ヒラメキ」を自分以外の所から来るものと考えているようです。
「イン」は中へ・・・「スピレーション」は吹き込まれる・・・という意味だと何かの本で読んだ事があります。
つまりインスピレーションは「神の息吹」。
自分の「外」にいる神様が、自分の頭の「中」に良いアイデアを吹き込んでくれるという訳です。

東洋には「そったくどうじ(同時)」という言葉があるようです。
卵からヒナがかえる時に、卵の内側から殻を破って出ようとするのと同時に、外から親鳥が殻を突付いて殻を破る手助けをする事です。
この手助けが早すぎても遅すぎても、ヒナは死んでしまうという例えです。

この場合「手助け」というのは、親鳥に限った事ではありません。
きっかけになる「刺激」は何でも良いのです。

ある人は、まきを割るのにオノを頭の上に振り上げた瞬間に、大きなヒラメキを得たと言います。
またニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て、万有引力を発見したと言います。
これはニュートンの心の中から、思考が「熟して」外に出ようとしているところへ、リンゴが落ちるという外からの刺激によってヒラメキを得た訳です。

一体この「ヒラメキ」というのは、自分の「外から」やって来るのか、それとも自分の「内側から」沸き起こって来るのか・・・?

一つこんな考え方があると思います。

自分の中に小さな心がある。
宇宙には大きな心がある。
それは本来一つのものであって、自分自身を深く掘り下げ探求することによって、大きな心と一つになる事が出来る・・・と。

となれば、「ヒラメキ」が来る場所は、自分の内側からとも言えますし、また外側(宇宙)からやって来るとも言える訳です。

という訳で、新しい物を創作している人たちが、それほど自信満々の顔をしていないのは、多分一番重要な要素である「ヒラメキ」というものが、自分の「努力」や「根性」では得られないものである事を知って、「謙虚」にならざるを得ないからだと思います。
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