A&K の NOTES

あちこちスケッチ行脚 。映画館で映画を見ることが楽しみ。いつか何処かでお会いしましょう。

レイトオータム

2018-04-21 | chinema(アジア系映画)

映画(DVD)を観た。

★レイトオータム
原題:Late Autumn
監督:キム・テヨン
音楽:チェ・ヨンラク
キャスト:ヒョンビン、タン・ウェイ、他
2010/韓国=香港=アメリカ

霧の街《シアトル》という切り口は初めて聞いた。
では、覗いてみようと。
東アジア人は、ここではまったくの異邦人である。

あの、タン・ウェイちゃん(《ラスト、コーション》で全てを投げ出した)が、
《いい女優になったなぁ》と、懐の深さと強さをじわーと感じさせてくれた。
この作品での彼女の表情を見ながら、
本物の女優さんいなったなぁ、と。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京義線 レイルウェイ・ラブ

2018-01-17 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★京義線 レイルウェイ・ラブ
原題:京義線 경의선
英題:The Railroad
監督:パク・フンシク 
キャスト:キム・ガンウ、ソン・テヨン、他
2007/韓国

とにかく半島情勢がめまぐるしい。
が、このブログではそこには触れません。

キム・ガンウはこの作品でトリノ国際映画祭主演男優賞受賞
京義線 レイルウェイ・ラブ

《京義線》?
ひょっとして、あの南北を繋ぐ《京義線》か。
ということで、レンタルしたDVD。
雪景色がいい。

イムジンガン駅の雪景色。
僕らの世代なら、すぐに《イムジン河》の歌を思い浮かべる。
自由を渇望する歌詞。
ザ・フォーク・クルセダーズが唄った40年前にひとっ飛び。
こちらの想いとは全く関係のない物語ではあったが、
妙にノスタルジーを感じさせてくれる作品だった。
が、サブタイトルの《レイルウェイ・ラブ》はまったく余計である。
B級もんになってしまうではないか。

ラストシーンで、ソウル地下鉄のエスカレーターの絵が映る。
《えっ、右側にたってるやん。》
そうか、ソウルでもエスカレーターは右側通行か。
関西と同じである。
妙なところが印象に残った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノーボーイズ,ノークライ

2017-12-06 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★ノーボーイズ,ノークライ
監督:キム・ヨンナム
キャスト:妻夫木聡、ハ・ジョンウ、他
2009/日韓合作

地理的には狭い海峡一つがあるだけなのに、この海には強いボーダーがあることを感じました。単なる国境ということではなく、人間の感情の表し方、その描き方、そしてそこから繋がる美意識の持ち方の違いなどです。同じ東アジア人の繊細な感情表現という括りでは同じですが、その表現方法が明らかに違います。

日韓のスター競演というふれこみですが、二人の表情や演技は明らかに違うスタイルを持っているように感じました。これは演出なのでしょうか。それとも役者の属する国民性なのでしょうか。それとも単に役者が本来持っている個性でしょうか。二人の個性が良い意味であぶり出され、刺激的な作品になっていました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四川のうた

2017-12-06 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★四川のうた
原題:24City
監督:ジャ・ジャンクー
2008/中国

事実であるドキュメント映像とフィクションである「語り」で構成されている。気がつけば、中国現代社会の大きなうねりの中に引き込まれている自分に気づく。原題は「24 City」 。もし映像言語なるものがあるとすれば、この映画もその一つかなと思う。ひとつひとつが計算し尽くされた、無駄のない乾いた映像。しっかりとした取材に基づく俳優たちのリアルな「語り」は人間のぬくもり、感情の温かさを感じさせる。こういう映画は監督その人の言葉を借りるに限る。

ジャ・ジャンクー監督のメッセージ(HPより)
この映画は、実際に私たちと生活をともにした幾人かの労働者と、フィクションである俳優たちへのインタビューで構成されています。私がこのようにドキュメンタリーとフィクションを同じ流れの中で融合しようと決めた理由は、それが中国の半世紀の歴史を描くのに最良の方法だと思ったからです。私は歴史とは常に「事実」と「想像」の混合物だと考えるからです .....................................
現在、映画はよりアクションや動きに頼るようになっています。この映画では、私は人々が語る「言葉」に回帰したいと思いました。ここでは、「語り」はカメラによってとらえられる「動き」の一つとしてとらえています。私は、「語り」によって、話し手たちの内奥の感情と経験にアクセスさせようと意図したのです。 それが最良の時のことであろうと、最悪の時のことであろうと、いかなる個人の経験も無視されるべきではありません。この映画では8人の中国人労働者の声を聞くことができます。この映画を見ると、彼ら自身の人生のこだまが聞こえるのではないでしょうか。

それぞれの人生が切なく語られた。
「語り」には、失われたものへの哀愁というより、
壊され潰されたものへの悲痛な叫びが込められていたように感じた。
原題は「24 City」。
邦題「四川のうた」とは余りにも情緒的であり、
ジャ・ジャンクー監督の思いとは異なるような気がする。

映画の中で、突然、山口百恵の『赤い疑惑」が流れた。
一瞬耳を疑ったが、やはりあの「百恵ちゃん」の歌声だった。
激動の中国現代史の中にあって、とても存在感のあるいい響きだった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カンフーハッスル

2017-12-05 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★カンフーハッスル
監督:チャウ・シンチー
キャスト:チャウ・シンチー、ラム・ジーチョン、ユン・ワー、ユン・チウ、他
2004/香港

絶対ありえない話だとわかっているのに、
「これ ないでぇー」と興奮する愉しさ。
この感覚はいったいなんでしょうか。
「アホらしさも徹底的にやり抜くとアートになる」

「少林サッカー」も最高に面白く完全に KO! されましたが、
この作品はさらに「ありえねぇ」度数アップです。
ワイヤーアクションとCGをごちゃ混ぜにして、アニメを遥かに越える自由さ。
アクの強い面白人物がたくさん登場するんですが、
そんな中で花一輪、黄聖依(ホアン・シェンイー)。
およよとヨロメイてしまいました。
泥沼の中の白蓮のような映像は可憐で新鮮でした。
全編コメディ雰囲気ですが、
「カンフーに対する深い敬愛」みたいなものを感じさせるのは、
香港映画のなせる技でしょうか。
かってみたことある面々の登場、
ブルース・リーを連想させる技と出で立ち。
ブルース・リーへのオマージュと言えるかも。

周星馳(チャウ・シンチー)監督の懐の深い大らかさを受け取りました。
これって中国の大陸的感覚でしょうか。
ラストの戦いで見せた伝説的な必殺技「如来神掌」(にょらいしんしょう)は
いかにも大陸的な雰囲気を感じます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イルマーレ

2017-11-19 | chinema(アジア系映画)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画を観た。

★イルマーレ
英題:IL MARE
監督:イ・ヒョンスン
撮影:ホン・ギョンポ
キャスト:イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、他
2000/韓国

2001年福岡アジア映画祭出品
イルマーレ、イタリア語で《海》。
スパゲティが出てきたので、地中海をイメージしたのかも。

過去と現在が郵便箱の中でシンクロしてしまった。
これも一種の《時かけ》もんかな?とおもいつつ。

普通に見れば、普通のラブロマンスであるが。
時間について考える。
《取り戻したい過去、しかし取り戻せない過去》
その葛藤の中に物語が生まれるようだ。

映画はかなり絵画的に構成されている。
ひとつ一つの場面が丁寧に慎重に構成され、
穏やかな感情の起伏を丁寧に追いかけていた。

韓国ではミレニアム作品として爆発的人気だったらしい。
2000年、もうずいぶんと昔のような気がする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミレニアム・マンボ

2017-09-14 | chinema(アジア系映画)

 

 

台湾映画。

未完成作品?でしょうか。

ちょっと謎が多い。

 

 

★ミレニアム・マンボ
原題:千禧曼波、英題:Millennium Mambo
監督:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
撮影:李屏賓(リー・ピンビン)
音楽:林強(リン・チャン)、他
キャスト:舒淇(スー・チー)、他
2001/台湾=フランス映画

自分のことを《彼女》と三人称で語る女の、現在と過去と想像と希望の話である。
なんだかよくわからない作品で、ずっと混乱の連続だった。
たぶん、たぶんだが、監督自身も充分なモノとは思っていないだろう。
つまり、《未完成作品》であること。
リアリズムに徹した詳細な説明はいらないが、
物語の筋がこのままでは、読みにくく、謎が多すぎる。

また、たぶんだが、撮影の時間が足りなかった、それだけのような気もする。
その不足分を、監督自身の最高の編集才能で、
なんとか《完璧な予告作品》に仕上げたといってもいいかも。
そう想うと、《物語の奥の深さ》が垣間見えてくる。
と言えば、ちょっとご贔屓し過ぎかな?  
監督は侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、撮影は李屏賓(リー・ピンビン)、
そして音楽 は林強(リン・チャン)。
それだけで、ご贔屓。

 

台北のネオンの光に揺れる人影、若者たちの群像、
そして、ビッキーとハオのアパート暮らしは、集中した緊張ある空間。
窓から差し込む光、透明感があり美しい。
一方、ビッキーが再生を試みる北海道、東京での空間が甘すぎる。
時間がなかったのか、監督にイメージが湧かなかったのか。
海外ロケの難しさ。

夕張映画祭の風景は、侯孝賢監督の日本映画に対する真摯な思いが伝わる。
李屏賓(リー・ピンビン)によって高倉健や渥美清など往年のスターが蘇る。
あの時のカメラはリー・ピンビンかどうかはわからないが、やっぱりあの絵はいいよなぁ。
ラストのカラス、あの場面によくきてくれたよなと感謝した。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遠い道のり

2017-09-12 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★遠い道のり
原題:最遥遠的距離
英題:Most Distant Course
監督:リン・チンチェ
キャスト:グイ・ルンメイ、モー・ズーイー、ジア・シャオグオ
2007/台湾映画

2007年ベネチア国際映画祭批評家週間最優秀作品賞 受賞。
台湾シネマ・コレクション2008上映作品。
「言えない秘密」のグイ・ルンメイが主演する切ないロードムービー。

先の見えない不倫の恋愛に悩むシャオユンは、毎日のように以前の住人宛に送られてくる手紙とメッセージが録音されたテープの音源を探す旅に出る。去った恋人にテープを送り続けるシャオタン、心を病む精神科医のツァイ、それぞれが再生を求めて旅に出る。

《フォルモサの音》とは?
台湾Wikiによると
台湾島には、フォルモサ (Formosa) という別称が存在し、欧米諸国を中心に今日も使用される場合がある。これは、「美しい」という意味のポルトガル語が原義であり、16世紀半ばに初めて台湾沖を通航したポルトガル船のオランダ人航海士が、その美しさに感動して「Ilha Formosa(美しい島)」と呼んだことに由来するといわれている。なお、フォルモサの中国語意訳である美麗(之)島や音訳である福爾摩沙を台湾の別称として用いることもある。

台北へ行ったとき、フォルモサリージェントを利用したが、その時の心地良い感覚が未だ忘れられず、時々《フォルモサ》、《フォルモサ》と呟いているが、意味を知ってまた行きたくなった。

シャオユン(グイ・ルンメイ)が街の小さな電気屋で買ったのが、
SONYのカセットウオークマン。
今時もこれ売ってるんかな?

彼女の出ていたソニーのCM良かったなぁ〜〜〜。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海角七号 君想う、国境の南

2017-09-11 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★海角七号 君想う、国境の南
原題:海角七號
監督:ウェイ・ダーション
キャスト:ファン・イーチェン、田中千絵
2008/台湾

この映画見て思ったことです。
少しずつですが、僕らが生きているこの東アジアのボーダレス化が進んでるなぁと。政治権力の枠(ボーダー)はまだまだ厳しいくらいですが、人の繋がりは明らかに広がってるいます。未来に希望が持てる映画でした。そう想うことに決めた作品です。

「・・・あなたを棄てたのではない。泣く泣く手放したのだ」
この言葉にはっとさせられました。日本と台湾の当時の関係(もちろんあるひとつの感情ですが)をそのままラブストーリーに展開しているように感じたからです。あまりにもその感情が読み取れる言葉のように感じてしまったのです。そしてこの作品が、台湾で作られたというところに驚きさえ感じます。映画の質でなく内容について。

台湾へ行くと、親日的な感情がたくさん残っていることに気づきます。日本文化をそのまま受け入れるフレンドリーな雰囲気を感じます。以前観た台湾人生では、日本統治時代の郷愁がテーマでした。そして今回、この意味深な言葉です。グサリきました。強烈なメッセージのように感じるのです。そのように読み取れるのです。

主演、ファン・イーチンは原住民阿美族の血を引いている。彼が主演であることの意味も興味深い。この映画は若者ばかりかあまり映画を観なかった中高年の人たちにも受け入れられたとか。「ハイジャオチーハオ(海角七号)を観たか?」と社会現象化したくらいに支持されたらしい。日本ではどのように受け止められるのでしょう。中国本土では、内容が内容だけに、上映禁止騒動が起きたと言われます。

ラストシーンで歌われた『野ばら』は、月琴弾きの茂おじさんのお気に入りの曲です。この歌は日本統治時代、台湾の学校でも唱歌として歌われていたそうです。ここらあたりにも、この映画の戦略ラインが見え隠れします。政治的プロパガンダというより、いかに多くの観客を動員するかを狙った商業的戦略です。結果、世代を超えより多くの台湾人の心に響く作品作りに成功したということでしょう。



 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長江にいきる

2017-08-21 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★『長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語』
監督:フォン・イェン(馮艶)
音響設計:菊池信之、
2008/中国

中国の一大事業である三峡ダムの建設を背景にしたドキュメンタリー。
今年2009年に完成予定の世界最大のダム建設に際し、140万人の人の住居と田畑が水没するという。この作品は、7年間ほどかけて取材しながら、一人の既婚女性、秉愛(ビンアイ)の生き方を通して、中国社会の急激な変貌を浮き彫りにし、「生きること」の意味を感情込めて描いている。

女性監督フォン・イェン(馮艶)の視線にブレはなく、初めから「女性である」個人の生き方にこだわっているように思う。一人の女性の表情、感情、を豊かにカメラに収めている。
監督と秉愛(ビンアイ」の強い信頼関係から生まれた映像だ。

山峡ダム建設を題材にした作品としては、ジャ・ジャンクー監督の「長江哀歌」を思い出すが、物語ではなく、徹底的に個人の内面に深くこだわり、中国女性の感情のひだまで描いたことで感動的ドキュメンタリー作品になった。
中国内陸部農村社会の急激な変化の様子もよく解る。

この作品は、07年山形国際ドキュメンタリー映画祭で、小川紳介賞(アジア部門最高賞)に輝いている。その後、プロの音響設計者である菊池信之さんが加わり、より完成度の高い作品に仕上げて、劇場公開となった。

フォン・イェン(馮艶)監督の言葉。
芸術でもそうだし、映画でもそうだけど、レベルが高いというのは決しておしゃれであるとか手法が洗練されているとかではない。
感情がどれくらいあるのか、というのが私はとても大切だと思うんですね。

公式サイト にブログが設置されていた。
長江にいきる 秉愛と仲間たち
http://bingai.exblog.jp/
その中から、素晴らしい言葉を見つけた。

音響設計の菊池信之です。
現実社会に氾濫する音の中で、その人が置かれている状況、意識、感情によって聞こえてくる音も聞こえない音もある。そうした感情や状況にどう寄り添うかが映画をリアルへと導く。音の選び方によって、写されている人物や物との関係は形成される。これを「まなざし」と言ってもいいと思う。

撮影者が現実を見つめる場合に、風景でも人物でも、どの距離感でそれを見ているのか、その「距離」の取り方はまた大事だ。それによって音の選び方も変わってくる。説明が難しいのだが、一台の車が走る。道路を含む風景の一つとして見るのか、その走る車に何らかの感情があって、その感情で見るのかによって音も変わる。いわば、映画(の意識)が何処に位置しているのか、映画の「立ち位置」によって、音のあり方が違ってくるのだ。(音の在り方によって映画の立ち位置が変わるともいえる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラスト、コーション

2017-08-20 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★ラスト、コーション
監督:アン・リー
出演者:トニー・レオン、タン・ウェイ、ジョアン・チェン、ワン・リーホン、他
2007/アメリカ・中国・台湾・香港

女はいつの時代も女の武器を使う。
タン・ウェイの妖艶になり切れないかわいい表情が新人らしく初々しさが出ていた。
虚無的な表情のトニー・レオンがかっこいいと思ったが、
あの顔がこの時代の残酷さを象徴しているのかとも思った。
表現行為はしつこくやればやるほど、別の何かを生みだすものだが、
この映画のはげしい性描写は、
まとわりつく肉体が痛々しく、不毛な時代を強烈に描き出している。

俳優さんたちの鋭いキラキラした、狙うような視線を引き出したのは、
監督のアン・リーさん。
アジア人であり、アジアの世界、アジアの空気を知っている。
アジア人の繊細さを描くことができる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長江哀歌

2017-08-20 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★長江哀歌
監督:ジャ・ジャンクー
出演者:チャオ・タオ、ハン・サンミン、他
2006/中国

2006年ベネチア国際映画祭でのグランプリ受賞作品。
ネットや雑誌等で、センセーショナルな上映方法や、作品に対する称賛の記事はすでに読んでいた。が私の想像を超える「人間への慈しみ」に溢れた作品だった。

監督はジャ・ジャンクー(賈樟柯)。
1970年生まれという若さに驚かされた。「人間への慈しみと人生の深み」そして「悠々とながれゆく時間」をこんなに見事に表現できるとは。

音楽は、台湾のカリスマ的ミュージシャンであるリン・チャン。
主人公たちの寡黙な演技とは対照的に、ものすごい熱情をこめた「うた」が印象に残る。監督の声を、物言えぬ人々の声を代弁しているような迫力。

烟(タバコ)、酒、茶、糖(アメ)。
かつて日本人も愛したものだが、中国人にとっても大切な4つの言葉を象徴的に使っている。変わりゆく時代の記憶、そして決して失われない人の記憶。長江と名前を聞けば、必ずこの映画の放つイメージを思い浮かべることだろう。

映画の舞台となっている「三峡」は、「三國志」の舞台でもあり、また、李白の詩にも名高く、われわれ東洋人にとって詩の境地の象徴でもある所。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

狙った恋の落とし方

2017-08-07 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★狙った恋の落とし方(誠意なる婚活)
原題:非誠勿擾
監督:フォン・シャオガン
2008中国

可笑しな発明(意外にいいけど)で一夜にして大金持ちになった中年男の婚活物語。
人生訓になるようなお話がいっぱいちりばめられている。
会話のリズムが妙にリアリズム、これが中国的なのかもしれない。
80年代後半日本の一断面をみているような気がした。
バブル観満杯。

前半は婚活話がコミカルに描かれる。
バブル感溢れる小話でついクスクス笑ってしまうが、かっての日本でもこんな愉快な小話が平気で語られていたのである。
当時と違うのは、携帯電話もなく、まだまだアナログ感があったこと。
現代は、ネット社会の発達で見知らぬ他人と簡単に接触できる世界になったこと。
怪しい世界である。

後半の北海道旅行は、大人のラブロマンス。
北の透明な風景と重なり、人間の情もきれいに浄化されてゆく。
日本の細やかな情緒も美しく描かれ、《憧れの北海道》。
《昴》、《知床叙情》はやっぱりいいですね。
ここら辺りは心地良く酔わせてくれる。
高倉健スタイルのグォ・ヨウがカッコいいい。

この作品は、中国最大級の観客動員数だそうだ。
ラブコメディにほっと一息つく中国社会がよくわかる。
しかしお話は明らかに《バブル観満杯》である。
アーティストの捉えた感覚は鋭いですよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

言えない秘密

2017-07-14 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★言えない秘密
原題:不能説的・秘密
監督:ジェイ・チョウ
キャスト:ジェイ・チョウ、グイ・ルンメイ、アンソニー・ウォン
2007/台湾


原作題名は「不能説的・秘密」。これを、「言えない秘密」と邦名にした。しばらく考え「秘密って、言えないから秘密であって、、、、、、」と考え込んだ。原作題名の方が意味が解りやすく、漢字文化の世界に住む僕らにはちょうどいいイメージだと思うのだが。物語はほんとに説明できないくらい不思議で都合のいい物語なのである。でも、しんみり心に響き、自分の中のピュアーなものを見つめ直す。

台湾の人気アーチスト、ジェイ・チョウさんが一人で監督、主演、脚本、音楽とスーパー天才ぶりを見せてくれる。ピアノ音楽が透き通るような響きで切ないメロディ。過剰にならない適度な甘さが心地よい。そのピアノをジェイ、チョウさんが自分で弾いているところが、さすが本物!

前半のハイライトは楽譜をめぐるピアノ演奏バトル。手技と音楽の切れと映像のスピードの見せ場である。この感覚世界は音楽アーチストならではもの。息を飲む瞬間であり、映画にグイと引き込まれる瞬間。あとは天才ピアニストのイメージが物語を進行してくれる。

グイ・ルンメイさんの笑顔がこれまた可愛いとしかいいようがない。うっとりと青春ラブストーリーに酔いしれていると、後半からは突然、ホラーっぽくなり、机に文字が浮かぶところなど、「えっ」と思わせ、謎かけしながらラストに向けて無理やり時間を押し曲げた感じ。

時を駆け抜けることの面白さと切なさを感じてしまった。ボクらは時間を取り戻せない、もどれない。映画の物語のようにはいかない。どうしようもない無情。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画館の恋

2017-07-14 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★映画館の恋

「劇場前」というのが、本来のタイトル。
「映画館の恋」から想像すれば、コリアン映画の清楚なラブストーリィかなと思ってしまいがちです。観客の中にはそんな感覚で見に来たと思われる年配の女性の方々が多い。雰囲気はその線ですが、内容が違います。期待するエンターティメント性はなく、こういうのってアート系と言うそうですが、見終えた後、妙な砂を噛んだような感覚がしました。何故でしょうか。

登場人物たち皆々が、どこかに屈折感を持って生きている連中で、その負の部分が少し絡みすぎ、時にはリアルで、見ていてモヤモヤ感を感じるんです。でもこれが、この国の生感情をラブストーリィで表現したものかなと妙に理解する。

単発的にしか見ていないので、
時々、こんな映画に出くわすと、
ちょっとオーバーですが、
アジアを考えてしまう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする