映画を観た。
★クローズド・ノート
原作:雫井脩介
監督:行定勲
行定勲監督作品ということで、どんな手法を使うか興味を持ち見に行く。映画の中に感情移入する以前に彼の魅せ方が気になってしかたがない。瑞々しい美しい場面の継ぎはぎで物語は構成されている。そのことだけに神経が集中しているようで、コマーシャルフイルムのように感じた。この映画はほんとに彼の描きたかった映画なのだろうか。
舞台となる街に京都の風景があちこち登場し、日頃生活している景色が映画の世界として表現されると不思議な感じがする。京都の街の美しい場面をちゃっかり自分の世界に取り込んでいる。光がきらきらする季節はほんとに美しく、その中にいると、いろんなファンタジーを思い描くことが多い。時には、この映画のような物語も。
この映画はそんなファンタジーな場面のパッチワークのような作品。そこが監督の意図した表現なのだろうが、ちょっぴり鼻につく。しかし脚本はとてもしっかりしているように感じた。ミステリー仕立てなのも映像向き。この種の小説はめったに読まないが、今回は原作を読んでみたいという思いに駆られてしまった。