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ヨネクラジム最終興行へ(3)

2017年08月22日 | ボクシング
興行は進む。
気が付けば西のバルコニーに溜田剛士(ヨネクラジム)の横断幕が
掲げられている。



ライト級決勝8回戦は、富岡樹(REBOOT)vs粕谷雄一郎(石川ジム立川)
これまた派手目のアウトボクサーとコツコツ型選手のペース争い。

富岡はフットワークを使ってペースを掴もうとするが、圧力を掛けられると
バタついて見栄えが悪くなる。
日本7位の粕谷もクリンチで攻撃が続かない。粕谷はロープに詰めてボディ
顔面と攻め込む。

最終回も粕谷が優勢に見えたが最後に左フックを派手に貰って苦境に。
その効果もあってか、判定は2-1で富岡へ。

コツコツ攻めるのは長所ではある。変に強いパンチを振ろうとしても長所が
消える場合もある。
そこは連打の回転を上げるとか、色々と工夫の余地はありそうだ。



フェザー級決勝8回戦、
いよいよ溜田剛士(ヨネクラ)が登場!

いうまでもなく、8月いっぱいで54年の歴史に幕を閉じるヨネクラジム
最後の試合だ。
※もちろん自主興行では無い・・・

目を凝らして陣営を探したが、米倉健司会長の姿は無かった。
入院なさってるとの事で、さすがに駆け付ける訳にはいかなかったん
ですね・・・。

対戦相手は小坂烈(真正)。溜田より一回り大きく見える。

リングアナの紹介が始まる。
特に溜田のコールに耳を傾ける観客・・・。
ヨネクラジムの選手がリング上でコールされる、これが最後なのだ。



「まずは、我が国のボクシングの歴史を 長きに渡り築いてきた、
 名門ジム最後の出場となるボクサーが、赤コーナー

 プロ戦績が18戦13勝3敗2引き分け、13勝のうち11勝がノックアウト、
 公式計量が125パウンド2分の1 
 
 ヨネクラジム~所属ゥ~ 溜田ァァァ~剛ィ~!!!」

ファンから万感のこもった拍手と歓声が上がる。
相手の小坂には悪いが、もう溜田を応援するしかありません。
もとより、その気です。

試合開始のゴングが鳴る。

上背に優る小坂が長い距離からワンツーを狙い、やや低く構える溜田は、
ボディから上に繋ぐ展開。

溜田の右フックで一瞬効いた小坂はストレートで立て直しに掛かるが、
気迫で溜田が押している。一発一発も強い。

第一ラウンドは溜田が優勢。



溜田コーナーには大橋秀行氏がセコンドに付いている。
ヨネクラジムOBの元世界王者。

溜田の移籍先に決まっているジムの会長である大橋氏。
興行ゲストではなく、赤いジャージを着て本格参加の体だ。



第2ラウンド。
やはり溜田がじっくり圧力を掛ける展開。
小坂も右ストレート、左ボディで反撃するが、決め打ちする溜田の
パンチが強い。



ここまで優位の赤コーナー。陣営も落ち着いた様子。

第3ラウンド。
溜田が低い位置から煽るようにパンチを振るう。
圧力に押される形の小坂、打ち返すもパンチは相手の頭上を掠める
シーン多し。

ラウンド終盤、溜田が前進しながら連打すると、小坂は腰からうずく
まるようにダウン。

立ち上がってラウンド終了まで持ち込んだが、第4ラウンド開始前に
棄権を申し出た。



やや呆気ない気もしたが、試合の流れは完全に溜田に傾いていた。
会場の雰囲気も小坂選手を擦り減らせたのかも知れない。

歓喜の赤コーナー。そして溜田応援団。



3R終了TKO。
ヨネクラジム最後の公式試合を、白星で飾ったのだ。

歓喜と安堵の涙を流す勝者。
おめでとう、溜田!



リングアナが勝者を告げ、アウトロとも云える説明を始めた。

「先ほどもリングアナウンスで紹介させていただきましたが、
 これが名門ヨネクラジムの最後の出場選手で御座いました」



「溜田剛士選手、みごと白星で最後を飾りました・・・」
(歓声と拍手、口笛でアナウンスが掻き消される)



続いて、
ファンとしても印象深いセレモニーが始まった。

「ヨネクラジムの関係者の皆さんは、リングにお上がりください」



勝者の溜田選手を中心に歴代のOBが並んでいく。
大橋秀行氏が横に付いている。

ガッツ石松、柴田国明、中島成雄、川島郭志といった元世界王者は
不在だったが、遠目に見ても松本好司、クレイジーキムらOBの姿は
確認できた。

・・・リングアナが口火を切る。

「長きに渡って日本ボクシング界を牽引してきたヨネクラジム、
 最後の出場選手、見事ノックアウトで第2回DANGAN日本ユース
 タイトル・フェザー級 優勝となりました」

「これでヨネクラジム、本当に有終の美を飾る事が出来ました」

(会場から拍手と歓声)



「ヨネクラジムは過去、5人の世界王者を輩出しております。
 その名門ジムも 残念ながら今月いっぱいで 閉鎖という事に
 なってしまいました」

「そのジムを代表いたしまして、元WBA世界ミニマム級 そして
 元WBC世界ストロー級チャンピオンの大橋秀行 現大橋ジム
 会長より ひとこと代表していただきます」

(マイクを手にリング中央に歩み出る大橋会長)



「え~、ただいま御紹介にあずかりました、大橋秀行です。
 本日は お忙しい中、ご来場いただきまして 有り難う
 ございます」

「そして、55年を持って 本日ヨネクラジムの最終戦、8月
 いっぱいで ヨネクラジム 閉鎖となります」

「米倉会長に代わりまして、御礼申し上げます。本当に有難う
 ございました」

(客席から拍手と歓声)



「ヨネクラジムからは 柴田国明さん、ガッツ石松さん、中島
 成雄さん、私、川島郭志、世界王者5人が出ました」

「そして、東洋チャンピオン、日本チャンピオン、新人王と
 数知れず輩出しています」

「4回戦も6回戦も練習生も、みんなヨネクラの、ヨネクラジムの
 ファミリーです」

「これからはヨネクラジムのファミリーで、ヨネクラ魂を引き
 継いで頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。
 本日は有り難うございました」

(客席から大きな拍手と歓声)

リングアナが続ける。

「それではここで、大変 異例な事ではございますが、名門ヨネクラ
 ジムの栄誉と功績を称えるために、テンカウントゴングを贈りたい
 と思います」

(客席から大きな拍手と歓声)

「まずは関係者の方、ご起立ください」
「そして、ヨネクラジムの栄誉と功績を称えると同時に、皆さまにも、
 このヨネクラジムの記憶を 永遠のものとしていただきます。
 どうぞ、皆さまも 御起立の御協力をお願いいたします」

(関係者と観客が皆立ち上がる)



(クレイジーキムが「立って立って」と客席を促す)

「それでは、名門ヨネクラジムの栄誉と功績を称え、テンカウント
 ゴングを贈ります」

・・・ゴングが10度、打ち鳴らされた。


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