駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

鯰の髭だが

2019年01月02日 | 町医者診言

                 

 

 人類はいつ頃一年という時間の尺度に気付いたのだろう。たぶん人類の誕生とほぼ同時に季節が繰り返されるのを知ったと思う。犬や猪が一年というものを自覚しているかどうか分からないが、季節に反応して生きている。人は繰り返される一年が似ているようで微妙に違うのを知っており、次の年の元旦を新年として迎える。年の初めには今年はいい年でありますようにと願うのが自然な人の気持ちのようで、晴れ上がった空を見上げて亥年が良い年であって欲しいと願ってしまう。

 実際の所は世界情勢は予断を許さず、様々な歪みから軋轢が生じている。数多い問題を孕みながらも表面的には平穏を保っている日本は天才なのか極楽とんぼなのか不思議の国に見えてしまう。一見の平穏がどこまで本物か、単純化し一辺倒な理解に走りやすい流れに水の中なので蟷螂の斧ならぬ鯰の髭で今年も棹を差してゆきたい。人の発する情報には多かれ少なかれ意図がある。昔は客観的の見本のように言われた全国紙準全国紙も今は読まなくてもわかるほど色が付いてしまっている。毎日は無理だが、時々は二紙出来れば三紙に目を通したい。そうしないと視野狭窄症になる。これは意外と自覚症が出にくい病態で、気がついた時には手遅れになって仕舞っていることが多い。正否は人により立場により微妙に違う。それでも大筋の真贋はある。正否の判定は難しいとしても、優れているものは多くの人が認め感ずることができる。優れているものを見分け認め味わう力があれば生き延びてゆけると思う、引用されて迷惑かもしれんがたぶん藤原正彦先生も今度の本でそうしたことを書かれているのではと推測する。

 さて、私に出来ることそれは総合内科内科診療しかないので、嫌な患者困った患者と内心は思うことはあったも、訪れるすべての患者さんに私の最善を尽くしてゆきたい。

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