年の終わりに犬が歩いて思いがけぬ棒に二つ当たった。
一つ目の棒は映画。新聞の映画評論で藤原帰一さんが「私は、マリア・カラス」を高く評価されているのを読んだ。これは見なくてはと昨日有楽町の東宝シネマで見てきた。素晴らしい作品だった。マリアカラスはこんなに魅力ある優れたデイーバ、愛らしくひたむきな女性だったのかと感激した。その歌声は魂に響いた。この映画が素晴らしいのはとりもなおさずカラスが素晴らしい人だったからだ。この映画を教えてくれ、歳の暮れを気持ち良いものにしてくれた藤原さんにお礼を申し上げておきたい。
もう一つの棒は考えさせられる本だ。「アメリカ」橋爪大三郎と大沢真幸、このお二人はいつも目を開かされる評論を書かれる。こうしたアメリカ理解があるのだと何か所も目から鱗が落ちる指摘、解釈があった。成程とアメリカだけなく日本の理解も深まったように思う。ただ、「アメリカ」に書かれているアメリカは世に流れる馴染んだアメリカ像と随分かけ離れている。一体何故と不思議な気がした。多くの方にこの本を読んでいただき、日米関係を見直すよすがにして欲しいと思った。
今年の初め、ちょっと引退的発言があって寂しくなりました。その後、私自身がやや長めの入院生活を送っていて、帰宅して、チェックしてみると日々更新されていて完全復活、とても嬉しかったです。私はブログというものに親しみ始めて間がありません。自分の病気に関して先輩や同輩方の経験を知ろうと思ったのがきっかけでした。教えていただくことが多く、感謝でいっぱいですが、やはり、ちょっと物足りないなと思う所もありました。偶然知った『駅前糸脈』、視野広く、穏当にリベラルでとても知的に満たされました。どうぞこれからも活発な発言をお聞かせください。ちなみに、最近最も印象深かったのは、奥様が「トラフグのような」お顔をなさった場面でした。
ドクターと奥様とスタッフの皆様の穏やかな新年をお祈り申し上げます。