「テレビが壊れてしまって今は本を読むことが多いの」と言っていた先輩から借りてきた本は池井戸 潤の今話題になっている「陸王」ではないが「民王」。
一度読んでみたいと思っていた池井戸作品。
内容は面白く一気に読むことができた。そして作者が言おうとしていることがしっかりと心に残り多くの人にも読んで欲しい作品だと思った。
総理大臣とドラ息子の心が入れ替わるという奇想天外な話なのだが、現在の政治家たちが忘れているであろう政治家としての真実の理念を若者の純粋さに触れることで本来の使命を思い起こし行動していくという内容だ。
この小説は麻生政権の崩壊と同時期に連載が始まり2013年に文庫化されたそうだ。
しかし池井戸潤が書いたこの「民王」の総理大臣武藤泰山のように本来の政治家としての姿勢は多くの政治家には今日まで見られない。
内容の一部から
ホスピスを見学した時にそこのシスターが口にした一言「自分の死を見つめる人が信じられるのは、真実だけなのです。余命幾ばくもない人にとって、嘘をついて自分をよく見せたり、取り繕ったりすることはなんの意味もありません。人生を虚しくするだけです。」
「果たして、ここにいる人たちの目に自分たちがどう映るのだろうかと泰山は自問した。
嘘で固めた政治の世界のどこに、この人たちが求める真実があるのか。よりどころがあるのか。そんな国政で果たして本物の未来を切り開くことができるのか。」
入れ替わりとなった原因が両者が通っていた歯医者によって抜いた奥歯に埋め込まれた脳波を発信するチップだったと言う箇所に驚いた。
「人間の脳波もある種の電気信号でありその動きを読み取ることでその人物が考えていることを把握し、またこちらから脳波に直接信号を送信することによって情報伝達を可能にする。そうした技術をスパイ活動に利用しようというわけです。」
「1950年代からすでに研究が始まって莫大な研究開発費が投じられている・・・」
これが現実のものか?小説の中だけの話か? もし本当なら・・・・・。