もうご存知の方もいらっしゃると思いますが、
昨日24日早朝、
私の劇団の大先輩、
飯沼さんが亡くなられました。
85歳でした。
私にとっては俳優としての大先輩であるとともに
とにもかくにも劇団で一番の
“釣り仲間”
でした。
飯沼さんの長い長い人生の中で、私は飯沼さんの晩年では、一番の釣り仲間であったと自信を持って思う。
飯沼さんもそう思ってくださっていたに違いない。
勿論、海の近くのせまい我が家にも泊まって頂いたことがありますが、んで酒も飲んだ。
そして釣りの話か、芝居の話しかしなかった(^_^;)
複数人で釣りに行ったのを併せて数えれば、そりゃもう両手の指の数だけではおさまりませんが、
二人きりで何度も釣りに行けたのをずっと忘れない。
結構行ったけど全て、
楽しかった
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0150.gif)
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大概釣りに行くとき、飯沼さんから“行こうよ”と電話が来たり、私から“行きませんかあ”と電話したりして話がまとまり、
私が飯沼さん家の最寄りの駅まで車で迎えに行くのですが、
まだ夜も明けない真っ暗な時間、車で最寄り駅で待っていると、80歳越えても飯沼さんは竿とクーラーboxスクーターに積んで颯爽と現れていました。
ご自宅まで迎えに行きますよと言っても、そういうことを嫌った。そういう方でした。
そして車に乗りこむとすぐに二人で海の潮や魚の話が始まる(^_^;)
しまいには二人で手漕ぎボートの釣りへ行っても、
別々のボートに乗って沖へ出て、
んで沖で一緒にボートをつないで釣りをするのが好きな方でした。
要は、他人に面倒見てもらってまで好きな釣りをしたくないと。
最後まで自立していた方でした。
とっても共感できたから、だからこんなに四十五以上も年下の私ですが、
釣りのときばかりは友達感覚で過ごせたのだと思います。
ある日
これもまた二人で伊豆多賀へボート釣りに行ったときでしたが、
相変わらずボートは別々(後々の時期になると、僕も船舶免許を活かして一緒にレンタルのエンジンボートにも乗って釣りしたんですが)、
でもそういう時代。
沖あがりの時間になって私が早めに港に着くと、まだ飯沼さんのボートが港にない。
陽も 陰ってきた。
そこは夕方は逆風が吹く。
そりゃ心配しますよ。
んで心配になって沖を見ると、
一生懸命風上に向かってオールを漕いでいる飯沼さんのボートを発見。
夕陽の真んまん中にいた。
そん時は飯沼さん70歳後半代っ、
さすがに、うわっ、大丈夫かなあ…と心配したに決まっているのですが、
そのオールを漕ぐ力強さになぜか安心し、
大丈夫ですかあ!
と声をかけたのに対し、さりげなく片手あげたのにかっこよさを感じ、
じっと見ていた。
絶対大変だったに違いないのに、やっと港の中に入ってきたときには、
あの飯沼さんの芝居のように、飄々として、
にこやかに
“まいったまいった”
と。
何気にあの状況は自分でもめちゃくちゃ大変ですからね。
でもそん時にこの人の男を感じたのです。
そしてこれが同等だったから、長くつきあってくれたんだと思います。
んであともう一つ飯沼さんとの二人だけの思い出が。
また別の日、
秋かな、
これまた東伊豆の川奈というところに二人で釣りしに行きました。
でもあいにく海上は東風、めっちゃ波はざわついててボートが出せなく釣りにならない。
やりきれない二人。
私、飯沼さんに、
“どうしましょ、でもこのままじゃ帰れませんよねえ…”
と。
飯沼さん“そうだねえ”
と。
私“飯沼さんさえよければこのまま西伊豆まで行っちゃいません?”
飯沼さん“おお、行こう行こう”
二人で晩秋の伊豆半島、一周しました(^_^;)
ちょうど紅葉もきれいで
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“ま、紅葉狩りもできていいじゃないっすか!”と。
そのドライブ中は、ほんとにいろんな話をしたなあ…
大体はお芝居の話だったけど、
それが若い世代が話すレベルと、勿論事実上文学座最高齢俳優が話すレベルが分け隔てなくて、
もう…とても楽でかつとても勉強になったのでした。
んで西伊豆にある田子という港で釣りをしたが釣れず(^_^;)
帰りに沼津の回転寿司に行って、”こんなんじゃねえよなあ(^_^;)“といいながらも笑って食べて帰りました。
あんなに仲良くして頂いたのに、
考えると、一度も同じ仕事をしたことがなかった…。
んもう、飯沼さん…
最後のお話しできたのは、アトリエのドン・キホーテのときの楽屋だ。
そん時も、釣りの話しだったな。
あん時、はやくまた行こうって話し合いましたね。
もう…飯沼さん…全然実感沸かないですよ……
最後の方、色々とお体のほうも大変だったですからねっ
あっちで絶好調で、キラキラの太陽のもと、釣り糸たれて
あの笑顔で、魚 大きいの 自慢して下さいね。
私もまた自慢するからね。
飯沼さん、ありがとうございました。