第三部 概念論概念は独立的に存在する実体的な力として、自由なものである。そして、概念はまた体系的な全体であって、概念のその諸モメントの各々は、概念がそうであるような全体をなしており、概念との不可分の統一として定立されている。
したがって概念は自己のうちにありながら、即自かつ対自的に規定されているものである。【補遺】概念の立場は一般に絶対的観念論の立場であり、哲学は概念的認識である。というのは、哲学はその他の意識が存在するものとみ、またそのままで独立的なものと考えているものが、単に観念的なモメントに
すぎないことを知っているからである。悟性的論理学においては、概念は単なる思考の形式、あるいは一般的な表象と考えられている。概念は生命のない、空虚な、抽象的なものだという、感情や心情の側からしばしばなされる主張は、概念にかんするこうした低い理解にのみあたるのである。 s 121
実際においては事情はまさに逆であって、概念はむしろあらゆる生命の原理であり、したがって同時に絶対に具体的なものである。概念がそうしたものであるということは、これまでの論理的運動の全体の成果として明らかになっているのであるから、今さらここで証明するまでもないことである。