風のささやき 俳句のblog

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冬の公園で 【詩】

2019年11月21日 | 

「冬の公園で」

落葉は色とりどりで冬の公園
丁寧に編んだペルシャ絨毯でも
この風合いは出せない
もったいなくて足の踏み場に困る横を
駆け足の子供が追い越してゆく

惜しげない雨のような落葉
冷たい風に舞い上がり
やがて地面に居場所を見つけて
模様は変わり続ける
ニスのような陽射しだけが
変わらずにその面を照らす

落葉はまるで
冷たい大地を温めようとする
たくさんの子供の手にも見える
可愛らしい健気な手はいつまで
ここにいることを許されている

人知れぬどこかの山であれば
腐葉土となり落葉は
豊かに山をするのに
無用なゴミとなり
街では袋に詰められ燃やされる

隙間だらけの梢を
冬の冴えた空が埋める
過ぎた月日にポッカリと
開通したトンネルを風が抜ける

まだ残る葉はフルフルと
小刻みに揺れている
それに合わせるように
僕もささやかな後悔に震える
落葉よりももう乾ききっているのに

さっき僕を追い越した子供は
拾い上げた落葉を
お母さんに自慢している

きっと一番きれいな色の落葉
探しだしたのだろう
子供の手に讃えられて
嬉しそうな様子の落葉
その心をそっと色づけ豊かにする

落葉の足場から僕は歩きだす
心を飾った印象派のような
落葉と子供との絵画を
落とさないように そっと



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