風のささやき 俳句のblog

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冬 【詩】

2022年12月01日 | 

「冬」

# 1

この紅茶少し苦い
とあなたが言って
僕はそんなことあるかしらと思いながら
角砂糖一つ入れた紅茶を
冷める前に飲み干す

少し不満そうなあなたは
紅茶を飲む手を下ろして
置き去りにされた紅茶が
そのままに冷えていく

きっともう5分もしたら
その白いカップは
大理石のように冷たくて

# 2

僕は窓の外に視線を移す
いつの間にかもう冬だ
熱は奪われて行く
リスのような色のコートの人が
襟元を押さえ込んでいる

外は雨が降ったり
止んだりしている
風も強いから
折りたたみの傘を
裏返しにされた人もいて

# 3

心は深い井戸の
水のように青白い
言葉はその底に落ちてしまい
沈んだままだ

黙ったまま僕は
艶やかなあなたの
口紅を引いた唇を見ている
さっき見た落ち葉の
赤い色を思い出す
風に吹かれてからからと鳴って

もう冬だ
心から寒い



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