※前回の甲府の記事はこちら(24節・磐田戦、2-2)
※前回の千葉の記事はこちら(23節・金沢戦、2-1)
※夏の移籍情報についてはこちら
前節は下位の相模原に敗戦、手痛い試合となってしまった甲府。
悪天候という条件もあったでしょうが、ゲームコントロールがままならずと、昇格を目指すにあたって課題が露呈する事となり。
一方の千葉、甲府同様に中断明けは1敗1分という星取り。
上位相手が続く苦しい日程の中、前節は新潟に引き分けと善戦を見せ、僅かな上昇機運を持ちつつ同じく上位の甲府に挑みます。
補強面では札幌からレンタル中だった岩崎を放出(鳥栖へレンタル先変更)し、またもや札幌からレンタルで選手を獲得と、何処と無く「無いものねだり」感が伺える動き。
選ばれたのはタイから帰還して間もない檀崎で、修行の成果をJ2で発揮、とはいくでしょうか。
尚岩崎の他、使いどころが無くなった大槻と溝渕を躊躇無くレンタルに出し。
試合が始まると、攻撃権を支配したのは千葉。
今季から取り組んでいるボールポゼッションを高めての攻撃に手応えが出ているのか、同じタイプである甲府相手にもポゼッションで上回り。
前半4分には右サイドへの展開から、新井一耀のエリア内へのロビングを櫻川ソロモンがポストプレイ。
ディフェンスに入られクリアされるも、拾った田口がミドルシュート(GK河田キャッチ)と、早速シュートに繋がります。
最後方でのショートパス攻勢に、櫻川目掛けたロングボールを交えたバランスも中々良く。
立ち上がりは押し込まれ続けた甲府は、10分過ぎから反撃開始。
13分、小柳の裏へのロングパスに走り込んだ長谷川から前線で攻撃、野津田のエリア内への短いスルーパスに走り込んだのは泉澤。
得点源である泉澤のエリア内左からのシュートが放たれるも、GK新井章太のセーブに防がれます。
そこからコーナーキックを2本続けて甲府ペースへと試合を傾かせ、18分に再度好機。
再び最終ラインから、今度は小柳が前進から直接エリア内右へとスルーパスを送り、走り込んで受けたウィリアン・リラが切り返しからシュート。
しかしこちらも再度GK新井章がセーブと決められず。
その後は甲府が攻撃権を支配と、上位に居るクラブの実力を発揮する展開に。
この日は大ベテラン・山本が3バックの中央を務め、同時に甲府の特徴である「最終ラインの前に、中央センターバックが前に出てのビルドアップ」の中心的存在となり。
フィードに定評ある山本に対し注意が集まるのは当然で、その分他選手のスルーパスが通り易い状況が生まれていたのでしょうか。
それとも山本の古巣である千葉(遠い過去となりつつありますが)が、通常より過剰なケアをしていた故の事か。
そして迎えた24分。
山本から左サイドへ展開し、受けた荒木のスルーパスが左奥の泉澤に渡り。
戻されたのち山田がエリア手前でカットインからエリア内へパス、須貝が受けた所に、千葉・チャンミンギュの足が掛かり倒れて反則の笛が。
エリア内なので当然PKとなり、とうとうスルーパス攻勢を決定機に繋げた甲府。
キッカーはリラが務め、ゴール左へと強いシュートを蹴り込み、反応したGK新井章に触れられたもののゴールに。
先制点を挙げたと同時に、飲水タイムが挟まれます。
これで優位に試合を進めるかと思われた甲府ですが、ブレイク明けは攻撃権が定まらない入りののち、千葉ペースの展開に。
32分以降、前半の甲府の攻撃機会はゼロという結果が叩き出される(自分の集計です)ぐらい、千葉がボールを握って押し込み続けます。
最終ラインでのビルドアップの際は、ボランチの片割れ(大部分を熊谷アンドリューが務める)が降ろし、その上で両サイドのCB(右=新井一・左=鈴木大輔)が大きく開く形。
所謂「ミシャ式」と呼ばれる形で、そのうえで1トップにターゲット(櫻川)が控え、完全にインスパイアしてのものだと思われます。
中断前は絶対的な存在であったサウダーニャを控えにして、あえてこの形へとシフトしている辺り、攻撃の形を模索中であった尹晶煥(ユンジョンファン)監督が辿り着いた先といえるでしょうか。
それでもサイド攻撃を分厚くするという以外の効果はあまり無く、左右からクロスを入れるという攻撃に留まる千葉。
セカンドボールを支配して攻勢を掛けますが、得点の気配が漂わないまま終盤へ。
44分には福満のロングパスがエリア内中央の櫻川へ通り、シュートを放ちますがGK河田のセーブに阻まれ同点ならず。
そのままアディショナルタイムまで攻撃権を支配するも、見木の遠目からのシュート(枠外)と、フィニッシュで終えるのが精一杯となり。
ビハインドを背負ったまま、後半を迎えます。
共に選手交代は行われず、それ故か試合展開も同じ流れで、入りから千葉の攻勢が続きます。
後半6分、田口が右から斜めの縦パスを中央へ差し込み、見木のポストプレイから左へ展開。
末吉のドリブルで抉っての戻しから、田口がミドルシュートを放つも枠外に。
今季は開幕から出遅れ、尹監督の心変わり?についていけるかどうか不安であった田口も、しっかり順応を見せて攻撃に絡みます。
直後の7分、最終ラインからチャンミンギュの右サイド裏へのロングパスが福満に渡り、エリア内右奥へと進入する福満。
そこからカットインしてシュートを放つも、GK河田に至近距離でセーブされてモノに出来ず。
10分には敵陣左サイドから、ショートパスの連続で右へと展開し、受けた福満がカットインで再びエリア内を突き。
そして甲府・新井涼平の足に掛かって倒れますが、反則狙いが露骨と判断されシミュレーションの反則を採られ、警告を受ける破目に。
前半の不調期とは打って変わって良い形は作りますが、1点が遠いという暗雲も漂い始めます。
一方、第2クォーターと同様に攻められっぱなしの甲府。
18分にパスを長く繋いだ末、新井涼のミドルシュート(枠外)という攻撃で一息つくと、19分に最初の交代カードを切り。
リラ→宮崎へと交代すると、以降千葉からペースを剥がし攻守交替に成功します。
泉澤をはじめ須貝・長谷川・宮崎と、スピード豊かな選手を活かした裏狙いが再度冴え始め。
21分に甲府・山田と千葉・熊谷がスライディングで交錯、熊谷の向けた足により山田が負傷。
交代の準備が採られると共に、飲水タイムに突入。(明ける際に山田→野澤に交代)
完全に足が入ったにも拘らず反則無しという判定(ドロップボールで再開)に甲府サイドは紛糾。
これにより勢いが削がれるかと思われましたが、再開後間も無くプレイ中に突然主審の笛が鳴ると、異議が唱えられたとして千葉・田口に対し警告が出され。
不可解なタイミング(一旦プレイが止まってからで良かったのでは……)での判定に今度は千葉サイドが紛糾し、何とも珍妙な雰囲気となってしまいました。
ともあれ、26分に千葉ベンチも動き。
矢田・末吉→サウダーニャ・安田へと交代と、どうしても得点が欲しい状況の中、ベンチに留め置いていたサウダーニャを投入します。
最前線には変わらず櫻川で、シャドーに入った(と思われる)サウダーニャ。
その後は甲府が追加点を狙いにいく立ち回り。
30分には右CKから、キッカー長谷川はクロスと見せかけてグラウンダーでエリア外中央へ戻し、そこから左サイドへ展開したのちパスを繋ぎ。
そして野津田がエリア内左へ入り込んでクロスを入れると、中央で新井涼がヘディングシュートを放ちますがゴール上へと外れ。
33分には右サイドでの速攻が止められたのち、拾った長谷川から左へ展開、左サイド奥で泉澤が持つ得意の形に。
そしてカットインで中央へ向かい、切り返してニアサイドを狙ったシュートを撃つも、GK新井章が足でセーブ。
36分には再度右CKを得て、クロスがクリアされるも荒木が拾い、エリア内左へのスルーパスを泉澤がフリーで受ける決定機。
躊躇わずにシュートを放った泉澤でしたが、またもGK新井章がセーブし得点ならず。
前半から3本目となる、エリア内左での泉澤のシュートとGK新井章のぶつかり合いでしたが、得点を許さなかった新井章。
この間も攻撃は仕掛けていた千葉ですが、甲府の決定機の連続(+CKの量産)に冷や汗ものの展開を強いられ。
反撃体制を整えるべく、38分に船山の投入に踏み切ります。(見木と交代)
船山は最前線に入ったようで、サウダーニャがトップ下で動き回りつつ、櫻川と船山の2つのターゲットを作って終盤の攻防へ。
こうなると高さを補填したい甲府ですが、メンデスの出場停止がここに来て響いたようで。
41分に野津田→浦上へと交代し守備固めに入りますが、手駒が足りなく大ベテランの山本を代える事が出来ず。
千葉に再度押し込まれる事となり、43分にはゴールキックの際の遅延行為でGK河田が警告を貰うなど、ほうほうの体での逃げ切りを強いられます。
そして45分の千葉、熊谷から右サイドへ展開ののち、右ハーフレーンで受けたサウダーニャが中へ斜めの縦パス。
櫻川がフリックし、受けた船山がエリア内へ進入、クリアされるも熊谷が後方からミドルシュート。
GK河田にセーブされるもここからCK攻勢となり、その最中にATへと突入。
迎えた2本目の左CK、キッカー船山がファーサイドへクロスを上げると、合わせたのはチャンミンギュ。
甲府ディフェンスは山本・宮崎が競りにいくも及ばず、放たれたヘディングシュートがゴールネットを揺らし、執念で同点に。
尚1本目には船山中央へクロス→田口跳び込むという流れ(クリアされ再度CKに)で、これで中央への警戒心が強くなったのが遅れに結び付いたでしょうか。
ともかくメンデス不在を最後の最後に痛感する形となり、追い付かれた甲府。
直後に何とかCKに持ち込むも、ここでもメンデスが居ないためパワープレイの威力は大幅ダウン。
凌いだ千葉が最後の攻勢に入り、福満のロングパスを右サイドでサウダーニャが受け、そのままエリア内右を抉ったのちグラウンダーでクロス。
中央で櫻川が走り込んで受けましたが、放たれたシュートはミートせずゴール左へ逸れ。
ここはダイレクトで撃ちたかった場面でしたが、今季初のフル出場となった櫻川の疲労感も伺え仕方無いでしょうか。
結局1-1のまま試合終了を迎え、ともに未勝利のままとなった中断明け。
意図的かどうかは外野からは不明ですが、憚らずもミシャ式へと辿り着いた尹氏率いる千葉。
それでも得点力の底上げになるかどうかは、J1に居る広島の現状(今季途中でミシャ式へと回帰)を見ると甚だ疑問ですが、とりあえずは今後を見守りたい所です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます