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10月18日(金):北極圏のオゾンが過去最高を記録

2024年10月18日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

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<今日のテーマ>: 北極圏のオゾンが過去最高を記録 

北極圏のオゾンの濃度は、2024年3月にの月間平均が過去最高に達した。2023年から2024年の冬にかけて上層大気を乱した大規模な気象システムによって、北極圏の成層圏に他のどの時期よりも多くのオゾンが移動して残った。

NASAとリーズ大学の科学者達のチームは、2024年9月の論文、地球物理学調査レターで、その調査結果を次のように報告した。「1970年代以降、北極圏のオゾン濃度が高かったことを考えると、2024年3月の記録的な高い値は、将来の北極オゾン層のポジティブな先駆けと考えられるだろう。」

一連の地球規模の波が大気中を上向きに伝播し、北極圏を周回する成層圏のジェット気流を遅くさせた。そうなると、中緯度からの空気が北極に収束し、オゾンが北極の成層圏に送り込まれる。オゾンの流入に加えて、塩素などの物質による典型的なオゾン層の破壊はほとんどなかった。北半球では非常にダイナミックで活発な冬だった。

成層圏のオゾンの量が多いほど地球上の生命にとってプラスになる。成層圏のオゾン層は天然の日焼け止めであり有害な紫外線を吸収する。紫外線が少ないことは、植物の DNA へのダメージが少なく、人間や動物の白内障、皮膚がん、免疫系の抑制のリスクが低いことを意味する。
2024年4月から7月にかけて、紫外線指数は北極圏で6〜7%、北半球の中緯度で2〜6%低かったと計算される。

2024年3月の活動は、成層圏のオゾン濃度が極端に低いレベルに達した2020年3月とは対照的である。安定した極周辺の風は、また、上層大気からの混乱なしに、他の緯度からのオゾンの北極の成層圏への補充を防いだ。

左上の図は、2020年3月(左)と2024年3月(右)の北極圏のオゾン濃度を示しており、北極圏で起こりうる大きな変動を示している。月平均はNASAのオゾンウォッチチームによって計算され、NASAとNOAAのスウオミNPP衛星(Suomi-NPP satellite)によって得られたデータに基づいている。

一方、オゾンホールが毎年形成される南極大陸とは異なり、北極圏のオゾン濃度は非常に変動し、対流圏と成層圏の天候の「年ごとの変動」の影響を受けやすい。

2023年12月下旬から2024年3月上旬にかけての強い波により、右のグラフに見られるオゾン濃度の増加が見られた。オゾンレベルは、通常どおり3月にピークに達し、その後は平均を大きく上回る水準で推移した。また、5月、6月、7月、8月は、月平均オゾン濃度で新記録を樹立した。

成層圏の異常な天候の原因については、著者たちはさまざまな要因を調べたが、明確な答えは見つからなかった。

--- 以下略。

<参考>: オゾンは主に、日射量の多い赤道上の熱帯成層圏下部で最も活発に生成されている。生成されたオゾンは赤道から両極に向かうブリューワー・ドブソン循環によって高緯度の成層圏に運ばれるので、中〜高緯度地域の方が熱帯地域よりもオゾンが多くなる。ブリューワー・ドブソン循環は成層圏下部にあたる高度20 km付近で1年中続いているため、オゾン輸送は年中途切れない。しかし、冬に当たる成層圏には極付近に極渦というジェット気流帯があり、その南北をまたぐ熱や物質の輸送が起こりにくいので、熱の輸送が遮断されて低温になり、南極では冬の間に大量の極成層圏雲 (PSC) が生成される。春〜初夏にかけて、この氷の雲が融解すると同時に塩素原子が大量に発生する。PSCの表面ではオゾンの分解反応が促進され、オゾン濃度が急低下し春季にオゾンホールが発生する主因となる。一方、北極ではロスビー波の影響で極渦が南北に乱されるため、PSCの生成に至るほど気温は低下せず、オゾン濃度の低下も起こりにくい。 以上、ウィキペデイア「オゾン層」 から。

<ひとこと>: 記事は概要です。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Earth Observatry

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