あすかの会秀句 兼題「寒」「手」 二〇二四年一月二六日
◎ 野木桃花主宰の句
てのひらにいのち息づく寒卵
母の忌や一手間かけて煮大根
被災地へ寒九の水を自衛官
傘いらぬほどの雨なり花八ツ手
◎ 野木主宰特選
雨戸引く音残る闇寒に入る ひとみ
◎ 武良竜彦特選
空論やぐらぐら煮え立つ根深汁 さき子
◎ 秀句 評価の高かった順
椀一つすっぽり包む悴む手 典 子
寒晴れや悲しき方の空仰ぎ 典 子
寒柝や蔵の閂固く掛け 悦 子
寒玉子透析へ行く朝となる かづひろ
女正月果てて夜更けに米をとぐ みどり
焚火の輪泥の軍手真っ赤な手 市 子
年新た生れ育ちし町に住み ひとみ
手水鉢昨夜の氷の目覚めけり ひとみ
故郷なきわが望郷や寒夕焼 さき子
姉でなし恋人でなし雪女 かづひろ
寒鯉のひとつ跳ねたる朝の日矢 玲 子
文学館寒き書斎を再現す さき子
老いきれぬ心愛おし去年今年 さき子
稚児の手の捌く綾竹ちやつきらこ 典 子
路地裏の傍目八目懐手 尚
泣売(なきばい)の広げし金ペン寒七日 かづひろ
寒稽古怠惰の記憶今がある かづひろ
手を添へて寒九の水を夫にかな みどり
風上へこぞりて動く焚火かな みどり
余震なほ極寒の夜身の縮む 市 子
仕舞湯を流し晦日の蕎麦の席 悦 子
音鈍き益子の湯呑雪催 ひとみ
病窓の聖樹煌めく夕べかな 都 子
突風にあちこち向いて福達磨 礼 子
悪寒ありこれぞこれぞと玉子酒 礼 子
書初や小筆の走る手漉き和紙 礼 子
耳底に寒行僧の太鼓の音 尚
小さき手の扇の舞や春を待つ 玲 子
昔日の記憶を重ねクリスマス 都 子
〇 参考 武良竜彦の句
葛湯吹く残り時間を温めて
導火線のごとき多摩川寒茜
死はそこに白シクラメンが在るように
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