十一月「あすかの会・藤の会」合同句会の秀句から 季題「冬温し」・兼題「涙」
◎ 野木桃花主宰句
冬ぬくし右手を隠す龍馬像
イヤホンを外し涙を拭く夜食
陶工の木枯を聴く宮の森
☆ 野木桃花主宰特選句
一度だけ父の涙を冬の虹 ひとみ
☆ 武良竜彦特選句
冬温しやはらかになる受け答え 市 子
◎ その他の秀句から 【支持・評価の高かった順】
手捻りのぐい飲みいびつ冬ぬくし さき子
うそ寒や行き場に迷ふ核の水 都 子
藤は実に明日は明日の今日を生き 尚
湯豆腐や家業畳むと弟は 典 子
ドロップは泪のかたち冬の旅 みどり
石榴からガラスの涙あふれおり さき子
十二月八日語らぬ父の目に涙 市 子
愚痴を聞くことも孝行小春空 みどり
白足袋の畳する音涙雨 英 子
涙飲み作る笑顔のさわやかに 尚
冬温し仏顔なる石ふたつ 英 子
改札を出てそれぞれの秋の暮 さき子
窓開けて右折知らす手冬あたたか ひとみ
理容師にゆだねる頭冬温し 尚 子
古民家にカンテラ灯石和の花 典 子
面会の否はらはらと時雨来る 美千子
干支忘る夫に尋ねて冬温し 都 子
涙活を少し身につけ小春かな みどり
団欒の昭和は遠く八頭 一 青
ゆく秋の胡弓の調べ涙ぐむ 一 青
老の記事ばかり目につく冬の朝 一 青
妣の香の茶羽織を背に冬ぬくし 悦 子
戦場の兵士の涙冬日和 悦 子
茶の花の可憐さ残る散りてなほ トシ子
咲き満つもどこか寂しげ冬桜 トシ子
洋箪笥子に開け渡し冬温し 市 子
冬の朝スマホに友の涙声 和 子
切り替える日々の営み冬ぬくし 礼 子
冬ぬくしほつと区切の七七忌 美千子
初時雨深山の古刹しんしんと 美千子
小春日や薄茶の泡のこまやかに 英 子
肩車されて届くものより林檎狩 かづひろ
面魂涙をもつて鮭吊らる かづひろ
〇 ゲスト参考 武良竜彦の句
冬瓦斯燈富国強兵の夜の底
身の内に滝あり冬を滔々と
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