あすか塾

「あすか俳句会」の楽しい俳句鑑賞・批評の合評・学習会
講師 武良竜彦

あすかの会 11月秀句から 2023年・令和5年

2023-12-02 14:49:33 | あすかの会 2023・令和5

 

  十一月「あすかの会・藤の会」合同句会の秀句から 季題「冬温し」・兼題「涙」   

 

◎ 野木桃花主宰句

冬ぬくし右手を隠す龍馬像

イヤホンを外し涙を拭く夜食

陶工の木枯を聴く宮の森

 

☆ 野木桃花主宰特選句

一度だけ父の涙を冬の虹        ひとみ

 

☆ 武良竜彦特選句

冬温しやはらかになる受け答え     市 子

 

◎ その他の秀句から 【支持・評価の高かった順】

 

手捻りのぐい飲みいびつ冬ぬくし    さき子

 

うそ寒や行き場に迷ふ核の水      都 子

藤は実に明日は明日の今日を生き     尚

 

湯豆腐や家業畳むと弟は        典 子

ドロップは泪のかたち冬の旅      みどり

石榴からガラスの涙あふれおり     さき子

 

十二月八日語らぬ父の目に涙      市 子

愚痴を聞くことも孝行小春空      みどり

 

白足袋の畳する音涙雨         英 子

涙飲み作る笑顔のさわやかに       尚

冬温し仏顔なる石ふたつ        英 子

改札を出てそれぞれの秋の暮      さき子

窓開けて右折知らす手冬あたたか    ひとみ

理容師にゆだねる頭冬温し       尚 子

古民家にカンテラ灯石和の花      典 子

面会の否はらはらと時雨来る      美千子

干支忘る夫に尋ねて冬温し       都 子

 

涙活を少し身につけ小春かな      みどり

団欒の昭和は遠く八頭         一 青

ゆく秋の胡弓の調べ涙ぐむ       一 青

老の記事ばかり目につく冬の朝     一 青

妣の香の茶羽織を背に冬ぬくし     悦 子

戦場の兵士の涙冬日和         悦 子

茶の花の可憐さ残る散りてなほ     トシ子

咲き満つもどこか寂しげ冬桜      トシ子

洋箪笥子に開け渡し冬温し       市 子

冬の朝スマホに友の涙声        和 子

切り替える日々の営み冬ぬくし     礼 子

冬ぬくしほつと区切の七七忌      美千子

初時雨深山の古刹しんしんと      美千子

小春日や薄茶の泡のこまやかに     英 子

肩車されて届くものより林檎狩    かづひろ

面魂涙をもつて鮭吊らる       かづひろ

 

〇 ゲスト参考 武良竜彦の句

冬瓦斯燈富国強兵の夜の底

身の内に滝あり冬を滔々と

 

 

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