アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

油絵の置き場

2015-10-09 06:46:42 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 長年描き続け、溜まった作品の置き場に困るのが油絵である。油絵は木枠に張られた画布に描かれるので、木枠の分だけかさ張り、場所を取る。作品が完成したらそのまま保管するのが最善、画布を木枠から外しベニヤ板に挟むのが次善、木枠から外し画面を表にして丸めるのが最後の手段。ただしこの最後の手段は、絵が痛むのは確実なので極力採らない方がよい。
 実際のところ、一番多い解決手段は実は増改築なのである。前に属した美術団体で皆どうしているのだろうと思って訊いてみたら、増築したという答えが返ってきた。私の親戚では改築した人がいた。しかしながら増改築にはかなりの費用がかかる。もちろん賃貸ではできないので、一戸建てか持ちマンションということになる。
 わが家は一戸建てであるが、私の場合は2階の自室の隣の部屋が空いているので(父方の祖母が生前住んでいた)、そこに置かせてもらっている。とはいえ全部を使えるわけではなく、大きな作品は空いている壁に立てかけ、小品は床の間を、日曜大工店で買ってきたベニヤ板と木の角柱で上下2段に仕切り、そこに収納している。すでに床の間はほぼ一杯である。あとは自室の押し入れの上段にも作品を収納しているが、これは今年の春に今まで描き溜めた油絵を選別し、そのうちの不要なものである。再利用カンバスとして使おうと取ってある。
 結局、いずれ作品で溢れ、場所が不足するのである。作品を捨てずに済ませればいいが、そのためには増築するなど、新たに場所を確保しなければならない。何となく個人的に増改築するのは抵抗がある。本末転倒な気がする。かといって作品を好きで処分する人はいないだろう。仮にそういう人がいるとしても、張りキャンも安くはないので、ましてや良い木枠に良い画布を自分で張ったらなおのこと、捨てるのはもったいない。だから再利用することになる。でもこれでは間接的にしか場所は空かない。
 公募展では大作を要求される。出品作を木枠から外して丸めて寝室のベッドの下に入れてしまう。そしてまた翌年に同じ画布を使う(つまり塗り潰して新しい絵を描く)。これを何回か繰り返し、そして最後には捨ててしまうという人もいる。
 結局皆、問題解決のためにどこかで大きな決断をしないといけない。もちろん私もそう。しかしできるだけ大きな決断をせず、先送りできるならできるだけ先送りする。それが最善だと思う。


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