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先入観

2020年07月23日 | 教えて!goo

某サイトで「英語は読めても、リスニングの苦手な人って少なくないと思います」と書いている人がいました。

2019年に実施されたTOEIC L&R公開テストおよびIPテスト(Institutional Testing Program: 団体特別受験制度)の全受験者を対象に集計した結果、日本のリスニングは291±92点、リーディング232±97点です(±は標準偏差)。ですから、点数だけを見ると、日本ではリスニングの方が59点高いです。でも、標準偏差が92~97点ですし、TOEIC L&Rは990点満点の試験なので、59点という差に有意差はないと思います。ちなみに、韓国ではリスニングが375±84点、リーディング303±103点でした。

2019年に実施された日本のTOEIC L&Rの総受験者数は約221万人です。200万人以上のデータを集計した結果、リスニングの点数の方がやや高かったのです。ですから、「英語は読めてもリスニングが苦手な人は少ない」と考えるのが妥当ですね。200万人以上のデータですから信頼性は極めて高いです。

ただし、この現実を受け入れられない人がいるのです(苦笑)。その某さんは、日本の英語教育に何らかの問題があるため、「英語は読めてもリスニングの苦手な人が少なくない」という先入観を持っているので、たとえ200万人以上のデータを提示しても納得できないのです。

人間誰しも程度の差はあっても何らかの先入観を持っていることが多いです。だから、仕方が無いのです。たとえ2000万人以上のデータを示しても納得しないと思います。

 

平成29年度英語力調査結果(高校3年生)の概要」というPDFでは、全国の高校3年生約6万人(国公立約300校)の英語力を評価し、Common European Framework of Reference for Languages(ヨーロッパ言語共通参照枠, CEFR)に従って分類しています。その結果、
A2レベル以上の生徒の割合
L(33.6%)、R(33.5%)、W(19.7%)、S(12.9%)

B1レベル以上の生徒の割合
L(3.4%)、R(4.1%)、S(1.2%)、W(0.4%)

高校3年生約6万人の調査結果でも、リスニングとリーディングの習熟度にほとんど差がありません。約6万人のデータを提示されても、某さんはそれを受け入れられないのです。某さんは、「英語力調査は難易度的にリスニングが易しいのではないでしょうか?」と言って、約6万人のデータを無視してしまいました。でも、この調査ではリスニングとリーディングを素点で比べているのではなく、CEFRに従って分類していることに気づかないのです。気付かないのか、自分から見ようとしないのか。。上記のデータを見れば、LとRに比べてSとWの技能が低いことが分かりますね。

私は「英語は読めてもとはCEFRでどの程度のレベルを想定していますか?」と質問しましたが、それに対する回答はありませんでした。同様に「リスニングの苦手とはCEFRでどのレベルでしょうか?」に対する回答もありません。某さんの意見はあくまで先入観ですから、回答できないのだと思います。私なら、英語が読めるとはC1以上でリスニングが苦手とはB2以下などと答えますけど。

 

さらに、2018年のTOEFL iBTでは、日本人はR18, L18, S17, W18という成績であり、LとRが両方とも18で全く同じでした。でも、某さんは「TOEFL iBTを受験するくらいの人は相当リスニングのトレーニングをしているでしょう」と言って無視してしまいました。自分の先入観にとって都合の悪いデータはすべて拒否してしまうのです。

 

追記:7月24日にIELTSについても調べてみました。2018年のIELTS Generalにおいて、日本人の平均スコアはR5.54, L5.86, S5.73, W5.43でした。ここでも、リスニングとリーディングのスコアは同程度です。

 

TOEFL iBT、英語力調査、TOEIC L&Rの3種類の試験結果で、日本人のリスニングとリーディングの技能は同程度というデータがあっても、自分の見解と異なるものは拒絶してしまうのです。

センター試験の英語にリスニングが導入されたのは2006年度ですから、もう10年以上前の話です。でも、某さんの頭の中には、いまだに20世紀の英語教育のイメージが残っているのでしょう。ですから、今は英検やTOEICの対策本の多くに英文朗読MP3ファイルの無料ダウンロードサービスがついていることも知らないのかもしれません。大手予備校でも、リスニング用アプリを開発しています。

 

医療では、治療薬の効果は対照群と比較して、統計学的に有意かどうか解析することに慣れていると思います。研究者の先入観をできるだけ排除して客観的に物事を判断する仕組みが確立されており、そのような研究法が常識として受け入れられていると感じます。

でも、英語学習・教育の効果は「誰かの思い込み」が一人歩きしていることが多いのではないでしょうか。TOEIC L&R、TOEFL iBT、英語力調査など客観的数値データで物事を判断するより「私はこう思います」という意見の方が通ってしまう(苦笑)。まぁ、仕方が無いです。人間だもの。。。

 

【おわび】
長ったらしい記事を書いてすみません。今、それどころじゃないですね。Yahooニュースでは、新型コロナウイルス感染者の増加記事でいっぱいです。東京だけじゃなくなってきました。連休明けが怖い。


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