イギリスの大手製薬会社AstraZenecaは、Oxford大学と共同開発している新型コロナウイルスのワクチン(AZD1222)の臨床試験を一時中断(be on hold or paused)しました。その理由は、イギリスでワクチン(又はプラセボ)投与を受けた被検者1例で、有害事象が報告されたからです。有害事象の詳細と、投与との因果関係は未だ明らかになっていませんが、慎重な対応なので私はむしろ安心しました。
米国ではOperation Warp Speedという名前でワクチン開発を急いでいますが、何だかスピードばかり競っていて、安全性と有効性が二の次になっているような印象がありました。
でも、今回の事例ではブラジル、南アフリカ、イギリス、アメリカの試験が一時中断されました。何をおいても、被検者の安全性を軽視することはできません。実は、臨床試験の一時中断はこれで2回目です。1回目は横断性脊髄炎の症状が出て中断しましたが、安全性審査の後、治験が再開されたそうです。
nature news「A leading coronavirus vaccine trial is on hold: scientists react」から抜粋すると・・・Previously, a participant developed symptoms of transverse myelitis, an inflammation of the spinal cord which is often sparked by viral infections, according to an information sheet given to trial participants dated 12 July. After a safety review, the trial resumed.
ちなみに、AZD1222はチンパンジー由来の弱毒化アデノウイルスベクター(ChAdOx1)を利用しています。
一方、日本でもアンジェス株式会社が独自にワクチン(AG0301-COVID19)を開発していますが、まだまだ初期段階です。9月8日付けのニュースによると、アンジェスは大阪大学医学部付属病院で第1/2相臨床試験を開始しました。目標症例数は30人ですから、アストラゼネカの試験に比べると二桁以上小規模です。
ちなみに、アンジェスが開発しているのはcircular DNA(plasmid)ワクチンです。AZD1222は2回接種ですが、AG0301-COVID19は2回接種と3回接種を検討する予定です。
『追記』
現在、アンジェス株式会社の本社は大阪府茨木市にありますが、商号が「アンジェス エムジー株式会社」だった頃は大阪府豊中市にありました。そういえば、株式会社イートレックの本店所在地も豊中市ですね。
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