A級でもB級でもないマイナーなB・ジャスパー、勿論、J.J.ジョンソンの「ダイヤルJ.J.5」、D・バードの「イン・パリ」、そしてケリーの「ケリー・ブルー」でその名は知られていますが、一般的にはどう聴かれているのだろうか。
ひょっとして、ゲッツの亜流位にしか聴かれていないのでは?その点、S・ロビンソン(こちらは、ゲッツ+シムス)と同様かもしれない。
例えが適切でないかもしれませんが、大昔、まだ初心者の頃、あるベテランにB・ハリス(p)について「ハリスを聴く位なら、パウエルを聴けば充分」と教えられた。まぁ、そりゃ、確かにそうなんですが・・・・・・・・
しかし、ロビンソンの‘The Shadow Of Your Smile’がゲッツでもシムスでも出せない味が出ているように、本作にはジャスパーにしか出せない世界がある。
それが、夭折のピアニスト、Dick Twardzikを偲んだジャスパーのオリジナル‘Memory of Dick’。
タイトルのイメージに反し、ミディアム・テンポのスインギーな演奏ですが、哀悼の意がひしひしと伝わってきます。
いきなり、ジャスパーのtsがテーマのサビの部分から流れ出すヘッド・アレンジが粋ですね。RENE URTREGERの相変わらずセンスの良いpを経て透明感あるやや太めの音で哀感に満ちたフレーズを歌い綴るジャスパーにグッとくる。
bのソロの後、ジャスパーとルネのインタープレイ、そしてドラム・ソロを挟みtsとdsのフォー・バース、この一連の流れはなかなか洒落ており聴きものですね。フォーバースでジャスパーが一瞬、フライングするものの、何の支障もありません。
メロディ、ソロ、細工を利かせた展開、三位一体の名曲、名演と思います。
パーソネルは、
BOBBY JASPAR (ts、fl) RENE URTREGER (p) SACHA DISTEL (g)
BENOIT QUERSIN(b) JEAN LOUIS VIALE
1955年、パリで録音。
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