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夜間中学、悩む日本語指導…来日直後に入学するケースや教員のノウハウ不足も

2024年12月14日 | ニュース

2024/12/14 読売新聞オンライン

大阪府泉佐野市の市立佐野中学校夜間学級で日本語を学ぶナジック・イーサさん(手前左)ら

義務教育を修了しなかった人らが通う夜間中学で、教員らが外国籍の生徒への日本語指導に苦慮している。来日後間もなく、日本語がほとんど分からない状態で入学する生徒が多い上、教員側も日本語指導のノウハウや経験が乏しいためだ。授業の理解に必要な語学力を身に付けてもらおうと、入学前から指導を行ったり、地域の日本語教室を紹介したりする学校もある。

「あか、あお、きいろ、みどり、しろ」。大阪府泉佐野市の市立佐野中学校夜間学級では、入学予定者向けに日本語の授業が行われていた。中国やネパールなど外国籍の7人が、ひらがなが記された表と黒板を見比べながら、真剣な表情で色の名前を口にしていた。

その一人、ナジック・イーサさん(22)は母国のアフリカ北東部スーダンの大学で医学を勉強していたが、昨年4月に内戦が起き、母親や妹らと同年12月に来日した。「日本語は発音が難しいが、夜間学級を卒業し、もう一度医学を学びたい」と話す。

同校は今年4月に開校し、生徒69人のうち、9割の64人を外国籍が占める。近くの関西空港で働く家族を頼って来日し、日本語を学ぶために入学を希望する生徒が多く、各教科の授業とは別に語学力に応じて日本語を指導している。中学校の教員免許には外国人に教える「日本語」はなく、府から派遣された支援員のほか、国語や理科などの教員らが担当しているという。

竹田隆教頭は「本来は教科書の内容を教えたいが、日本語の理解が追いつかない生徒が多い。指導経験がない教員も多く、日本語を教えるので精いっぱいだ」と話す。 

◆7割近くが外国籍

 夜間中学は元々、戦後の混乱期に生活苦などで小中学校を卒業できなかった人らが義務教育を受けられるよう設置されたが、外国人人口の増加に伴って外国籍の入学者が増えた。2016年には、国籍や年齢を問わず義務教育相当の学習機会の提供を定める教育機会確保法が成立した。

文部科学省が22年に行った調査によると、全国の夜間中学40校に通う生徒1558人のうち、7割近くを外国籍の生徒が占める。日本国籍だが、外国にルーツがあり、日本語学習が必要な人も多いという。 

生徒の8割が外国籍という埼玉県川口市の市立芝西中学校陽春分校では、日本語が不得手な生徒に日本語の基礎を教える授業を実施している。ただ、経済的理由から日本語学習の教材を購入できない生徒も多いため、教員はインターネット上の無料教材などを使って対応している。習熟度や国籍に合わせた教材を用意するのが難しいという。

授業を理解するために日本語の学習が必要な場合は、入学前の面接で地域の日本語教室を紹介している。同校の佐藤幸夫教頭は「日本語を学びたいという生徒のニーズが高いが、本来の目的は義務教育なので、外国籍の生徒がさらに増えると、今の体制で対応できるか不安だ」と話す。

 

 

 

 

 

 

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