世界遺産の仁和寺(にんなじ、京都市右京区)が、いつもは非公開の観音堂の本尊・千手観音像など33体の仏像を間近に感じてもらおうと、立体画像で紹介するバーチャルリアリティー(VR、仮想現実)映像を作った。寺で19日から7月31日まで一般公開する。
約13分間の映像に登場するのは、観音堂に安置されている風神や雷神、「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」の二王、増長天、持国天、多聞天、広目天の四天王など、江戸初期につくられた仏像だ。
通常は、月1回の「観音会」の機会に、少し離れた場所から鑑賞できるだけだが、VR映像では、すぐ近くに仏像が現れる。風神・雷神など一部の像は正面だけでなく、側面や背面も見ることができ、あたかも観音堂で仏像に接近していく感覚を味わえるという。
インバウンド(訪日外国人客)の増加に対応するため、文化庁の文化財多言語解説整備事業の補助金を活用して作った。日本語のほか、英語と中国語、韓国語による解説もある。
同寺の吉田正裕執行長は「VR映像を通して、観音堂の仏像の魅力を、より多くの人に知ってほしい」と話す。
朝日新聞