[2020年11月06日 建設通信新聞]
東京・南青山にあるパイナップルケーキの店「サニーヒルズ」(本店・台湾)は、外壁全面を覆う木組みが道行く人の目を引きつける。建築にはほとんど使われることのない「地獄組」と言われる強固な木組みで、これを3次元に重ねたことで、構造材としての機能と森のイメージの演出を兼ねている。部材は6cm角の細い岐阜県産ヒノキだ。
俳優の竹下景子さんは、楽屋で食べたパイナップルケーキがとてもおいしくて、5年ほど前に店を訪ねた。「ビルに囲まれた一角に、本当にたくさんの木で組まれた建物が突然見えてきて、強烈な印象を受けました」。初めて見た建物をそう振り返る。設計した隈研吾さんは「細い木の重なりで木漏れ日のような効果も考えました」と話す。サニーヒルズでの午後、竹下さんと隈さんに建築談義でひとときを過ごしてもらった。
対談は、竹下さんの第一印象が強烈だった隈さん設計の建築、サニーヒルズを中心に、歌舞伎座、縁側などの興味深い話にも広がった。
◆木の命と鼓動重なる
サニーヒルズの建築コンセプトは「都市の中に森を作る」。木漏れ日が落ち、都会の喧騒とは異なるゆっくりした時間が流れるような場所をと設計された。隈さんは2018年、この店で開いた作画展『クマの場所』で、細い材(木)をたくさん集めて建物を支えるサニーヒルズのつくりが、小さい魚が集まって大きな魚のような群れになる絵本『スイミー』に似ているとメルヘンの世界に例えてもいる。
竹下さんは、設計者がそんな意図を持つサニーヒルズとの出会いをこう話す。
「パイナップルケーキを楽屋で頂戴いたしました。とてもおいしくて、どこにあるのだろうと思っていたある時、その場所が分かって、当時の青山の事務所と近かったので行ってみました。そうしたら、ビルに囲まれた中に木造と言っても積み木とも違う、細い柱がいっぱい組み合わせられた1つの建物が突然目の前に現れて、強烈な印象を受けたのを覚えています」
(詳 細)
住所: 東京都港区南青山3-10-20
TEL:03-3408-7778
時間:11:00~19:00
休み:なし
アクセス:東京メトロ表参道駅下車(A4出口より徒歩約6分)
※A4出口を出て左方向へ直進、2つ目の信号を左折後、約200m直進。表参道駅から340m
台湾・台北店 鳳梨酥パイナップルケーキ 微熱山丘