優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

「図書館危機」

2010-05-25 19:03:58 | 読書
「無抵抗主義」
言葉は美しく、高尚な思想を思わせる。
しかし、それが自分がいる間だけ、何事もなければよい、という保身から出たものだったら…。

相手が話し合いに応じず、力ずくで検閲を行おうとするのに、それに無抵抗でいるということは、それは国家権力による不当な検閲に図書館が屈することを意味する。

かのガンジーは、イギリスからの独立を勝ち取るために「非暴力・不服従主義」を貫いた。
しかしそれは、決して「無抵抗主義」ではなかった。
イギリスによる塩の専売に抗議する塩の行進など、非暴力の抵抗運動を貫いたのだ。

市民が権力に対して、死の覚悟をもって非暴力の抵抗をするのと、国家権力に対抗するために武装した図書隊が武器を放棄するのは、まったく意味が違う。論理のすり替えだ。

保身のために、ともすれば弱気な心に魔がささやき、事なかれ主義に流れていきそうなときがある。
しかし、大事なものを失ったことに気づいたとき、それを取り戻すためには、何倍もの血や涙を流さなければならなくなってしまうことを忘れてはいけない。



図書館危機
有川 浩
メディアワークス

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