何度目の鑑賞だろう。『風と共に去りぬ』の次に多いのではないか。
最初はストーリーの面白さにつられた。そして意外性につぐ意外性に驚かされる。主役二人のトニー・レオンとアンディ・ラウの格好よさ。キャラの立った脇役陣。
2度、3度と観るたびに、あのシーンが観たい、このシーンが観たいとなり、観れば観るほど、こんなところに伏線があったのだと、あらためて感じ入る。観る側にとっては意外な場面でも、ちゃんと筋立てのなかに、それとなく蓋然的に(こういう言葉あり?)入っていて、ますます感じ入るというしだい。
平たい言い方になるが、善人になりたい男、善人で死んでいった男、悪人のまま死んだ男たちの物語といったところか。
アンディ・ラウのスーツ姿の格好いいこと、それあってこそ封筒を脚に軽く叩きながら歩くシーンが生きてくる。 トニー・レオンのさほどハンサムでもない顔に、なぜ魅入られてしまうのか。『恋する惑星』が最初だった。
最初と最後にかかる女性の歌も心に残る。とにかく何度観ても飽きない映画である。
(写真は、FOXのテレビ放映を借用。)
ハリウッドというところは、面白い物、新鮮な切り口の物には、すぐ唾をつけるのは大したものだ。さっそく『ディパーテッド』という題名でリメークされた。マフィアのボス役がジャック・ニコルソンでがっかり。いかにも悪党面で、ちぃーとも恐くない。
小柄で人のいい笑みを浮かべる香港マフィアのボスが、実は酷薄な男だったりするところが面白かったのに。
ハリウッド版も観たはずだが、なんの印象も残っていない。
最後の字幕「仏陀いわく『無間地獄に死はない。『長寿は無間地獄、最大の苦しみなり』」
アンディ・ラウ演ずる主役への言葉だが、個人的にもこたえた。
旧蓬窓閑話再掲2014年6月
続編ⅡとⅢもある。パロディ化したⅣの題名が「無間笑」とか。これは未見。
この映画に夢中になった私設特派員は、その後、香港へ飛び、ロケに使われた現地へ取材に行ったというおまけつき。(つづく)