カセットを使った音楽活動で著名なディレクターの恩田晃さんから、2019年2月10日に神奈川芸術劇場を中心に開催されたTPAM(国際舞台芸術ミーティング)2019で上演されたカセット100(ワンハンドレッド)のYouTube映像が、イギリスのWIRE誌によってアップされたとのお知らせをいただきました。
このcassetts100はフィリピンのピアニスト兼作曲家であるホセ マセダによって1971年に作曲、フィリピンの国家主導で、マニラのフィリピン文化センターのロビーで初演された作品で、100人の一般の人が同時に数種類の民族楽器の音や人の声が入ったカセットプレーヤーをスタート、シンプルな振り付けをを元にホールを回遊する世界的にも珍しい音楽パフォーマンスです。反体制への社会的メッセージを忍ばせたこの音楽イベントは、大掛かりな事前の準備が必要なので上演回数も少なく、この日本公演は世界的にも貴重な公演でした。
神奈川芸術劇場では、前日に恩田さんからイベントの説明を受けたのち簡単なmp3プレーヤーを渡され、ANITBODY Collectiveの東野祥子さんをメインに振り付け作業をグループごとに行ったのちに、当日上演されました。同じグループにはANTIBOYのもっしゅことHiromi Iwasaさんがリーダーでクリエイションがとっても楽しかった思い出があります。他には山海塾の石井則仁さん、AbsTの白井剛さん(元 発条ト)もクリエイションリーダーで参加されていました。
この全員に手渡されたmp3プレーヤーの音は貧弱で一聴するとノイズにしか聞こえませんが、それぞれグループごとに割り当てられた音源ごとにしっかりと作曲、構成されていて、全体として一つの音楽になるように作られています。
当日参加したあきのりと栃本あずさは6分55秒と、21分55秒、25分01秒あたりによく映っていますのでぜひご覧ください。コロナ禍の今となっては人が密集しているイベントなんて考えられないもので、そういう意味でも見応えがあります。
2023年の今ではいろんなことがあり過ぎて、こんなイベントに出ていたこともすっかり忘れていました。でもこの時に受けた刺激は大きなもので、映像に映る自分の姿を見てなにかグッとくるものを感じました。こんなたくさんの人が一緒に音楽を演奏することができる世の中であってほしいと思います。