’08/03/03の朝刊記事から
米農務省 食の安全に無関心?
「へたり牛」問題 鈍い反応
【ポートランド2日枝川敏美】牛海綿状脳症(BSE)感染の可能性がある「へたり牛」が、米国内で流通し、米史上最大の牛肉回収に発展した問題で、「食の安全」に背を向ける米農務省の姿勢が議会で明らかになり、批判を浴びている。米国が日本や韓国に、輸入の全面解禁を求める米国産牛肉の信頼は、大きく揺らいでいる。
今回、問題を起こしたカリフォルニア州の食肉処理会社には、食肉検査法に基づき、農務省の検査員5人が常駐していたが、動物愛護団体の通報まで、「へたり牛」の出荷を見抜けなかった。2月末の上院公聴会で、この点について質問が集中したが、シェーファー農務長官は「調査中」と繰り返すのみだった。不正出荷に対する罰則強化の要求に対し、シェーファー長官は「現状で十分に厳しい」と拒否。さらに、食肉処理団体の幹部が、検査員が不足している現場の実態を証言しても、検査員の増員について否定的な考えを示した。
一方で、長官は、問題を通報した動物愛護団体が「へたり牛」の食肉処理をビデオ撮影してから、通報まで時間を要したことについて「もっと早く知らせるべきだ」と批判、出席者を驚かせた。