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’08/06/11の朝刊記事から
独断的手法、見えぬ経済再建
政権不信噴き出す
【ソウル10日井田哲一】韓国の米国産牛肉輸入再開問題は10日、抗議集会やデモ行進に16万人以上の国民が参加し、李明博大統領の退陣を求める最大規模の反政府行動に発展した。
経済再建で成果を出せず、独断的な政権運営を進める李大統領に対し、牛肉問題をきっかけに国民の不満が爆発した結果だ。
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同問題に抗議するろうそく集会は5月2日に始まった。
最初は、学校給食に安価な米国産牛肉が使われる可能性が強いため、牛海綿状脳症(BSE)を心配する中高校生が「安心できる牛肉を」と立ち上がった。
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しかし、抗議運動に対して、革新系の市民団体や労組などの関与が次第に強化。
集会のスローガンにも「公営企業の民営化反対」「(大統領公約の)大運河計画反対」などが加わり、反政府的な色彩が濃くなった。
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世論が米国との「全面的な再交渉」を求めているにもかかわらず、政府が5月29日、輸入再開を発表すると、国民の怒りは爆発した。
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物価上昇や教育政策に有効な手を打てない李大統領に対する不信も増幅し、スローガンは「李大統領は退陣せよ」と完全に風向きが変わった。
ソウル市内の女性会社員(28)は「国民の声に耳を傾けない大統領にあきれた」と批判する。
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牛肉問題が反政府運動にまで発展した理由について、崇実大政治外交学科の康元沢副教授は「李大統領の大企業寄りの姿勢が、中小企業や自営業者、労働者、市民の反発を呼んだ。国民にたまっていたさまざまな不満が爆発した」と説明している。
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Kodak DC4800