Kodak DC4800
’08/03/23の朝刊記事から
利尻沖座礁船 密猟活カニ運搬か
船内に大型水槽
宗谷管内利尻島沖で1月に座礁した無国籍の貨物船「DERBENT(デルベント)」(602トン)が、タラバガニなど密輸活カニの運搬にかかわっていた疑いが強いことが22日までに分かった。
礼文、利尻両島などの海域には、多くの外国船が無許可で入域していることも明らかになり、ロシア漁船によるカニ密猟がなお横行していることもうかがわせる。
同船は1月1日、最大風速17メートルの北風に流され座礁した。
乗っていたのはロシア人、ウクライナ人の船員ら計14人。
稚内海保の調べに対し、船員らは「韓国・釜山港を出港し、ロシア・サハリン州ネベリスク港に向かう途中で悪天候となり、利尻島に避難した」と証言したが、航海の目的ははっきりしなかった。
しかし、同海保のその後の調べで、船の内部に、一般の貨物船としては不自然な海水の入った大型水槽が見つかり、密猟漁船から活カニを洋上で積み込む、違法な「洋上転載」にかかわっていた疑いが浮かび上がった。
捜査関係者によると、洋上繊細は、ロシアのかに密猟グループが捜査当局の目を逃れて大量のカニを日本や韓国などに輸出するための「常套手段」。
サハリン周辺海域で、割り当てられた漁獲枠を上回るカニを密漁し、洋上で待ちかまえる貨物船などの運搬船に即座に積み替える。
運搬船は操業中の船に燃料や食料を渡す役目も担う。
本国に帰国した船員は本紙の電話取材に「操業中の船に食料や燃料を渡す役目だった」と証言。
ある関係者は「船員が知人に『洋上でカニを積み込んだ後に韓国に戻る予定だった』と話していた」と打ち明ける。
洋上転載を行った船の道内への寄港をめぐっては、規制が強化された2002年以降、海保が摘発したのは礼文、焼尻両島沖などでの3件にとどまる。
今回も水槽は空で、転載前だったとみられ、稚内海保は業務上過失往来危険の疑いでロシア人1等航海士を逮捕したものの、外国人漁業の規制に関する法律(外規法)違反(領海内での漁獲物の不法転載)での立件はしていない。