'07/03/29の朝刊記事から
靖国神社 戦犯合祀 国が積極関与
国会図書館資料公表 69年に「A級は可能」
国立国会図書館は28日、靖国神社に関する非公開資料などを「新編靖国神社問題資料集」にまとめ、国会に提出した。
この中で、戦犯合祀の決定過程における旧厚生省の積極的なかかわりが浮かび上がり、神社側がA級戦犯について、実際の合祀の9年前には「合祀可」との見解を文書に残していたことも分かった。
国会図書館は昨年1月から、国会議員らから資料要求が相次いだことを受け、靖国神社などからの収集に着手。
資料集は1200ページに及び、1800部を作製したが、一般販売はせず、5月の連休をめどに閲覧を始め、同図書館のホームページ(HP)にも公開する。
靖国神社は戦犯のうち、まずB、C級戦犯について1959年から合祀している。
非公開だった資料のうち、同神社作成の「合祀基準に関する打合会」によると、58年4月9日、旧厚生省引揚援護局復員課職員と神社関係者が出席した打ち合わせの際、同課の事務官は「B級以下で個別審議して差し支へない程度でしかも目立たないように合祀しては如何」と発言。
これに対し、神社側は「総代会に相談してみる」と回答しており、旧厚生省が積極的にリードしていた。
靖国神社
明治維新後の1869年に設立された東京招魂社が前身で、10年後に靖国神社と改称、軍が所管した。
日本軍の戦死者らを「英霊」として祭る。
戦前は天皇が参拝し、国家神道の精神的支柱だった。
戦後の政教分離で宗教法人となった。
合祀者約250万人の大半は第二次世界大戦で死亡した軍人と軍属。
東条英機元首相ら東京裁判のA級戦犯14人が1978年に合祀された。
A級戦犯
第二次大戦後の1946年、連合国は極東国際軍事裁判(東京裁判)を開き「平和に対する罪」や「人道に対する罪」で重大戦争犯罪人(A級戦犯)として28人を起訴した。
48年11月に途中死亡者ら3人を除く被告全員が有罪判決を受けた。
東条英機元首相ら7人が絞首刑、木戸幸一元内大臣ら16人が終身禁固刑、重光葵元外相ら2人が有期の禁固刑だった。