’08/03/09の朝刊記事から
マウスから血管、心筋、血球 京大成功
マウスの皮膚から作製した万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から、血管や心筋、血球など多様な細胞をつくることに、京都大の山下潤准教授と山中伸弥教授らが8日までに成功した。
立体的に培養すると、血管によく似た組織ができることも確認。すでに人のiPS細胞を用いた研究も始めており、山下准教授は「血管や心臓の病気の治療法開発に向けた新たな一歩だ」と話している。
13日から名古屋市で開かれる日本再生医療学会で発表する。
山下准教授らは、マウスのiPS細胞から、心血管組織のもとになる前駆細胞を誘導。異なる条件で数日培養し、血管内皮や血管壁、赤血球や心筋細胞などに分化させた。また、この前駆細胞をゼラチンの中で立体的に培養すると、細い管が四方八方に伸びて毛細血管に似た組織ができたという。人に応用できれば、将来は動脈硬化や心筋梗塞などの治療に役立つと期待される。