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'07/09/07の朝刊記事から
学力低下
「中二の家庭学習時間は80分が目安だぞ。○○君は何時間何分、家で勉強すればいい?」
「えーと…」
生徒は放課後、担任男性教師の問いかけに固まったまま。
1時間が何分かも答えられなかった。
教師は「時間の単位を知らない生徒が中学校にいる。それも現実だが、どう指導していけばいいのか」とため息をつく。
一方、義務教育と同様、学力低下が問題視される大学教育については、専門家がこう指摘する。
「大学の先生は学生の学力低下を問題にするが、それは少子化に合わせて大学の定員を減らしていないから。以前は東大に入学できなかったレベルの生徒も今は東大に入って来る。質を保ちたいなら、定員減か、補習かしかない」
1980年代に同様の現象に見舞われた欧州の大学は定員減、米国は補習で、それぞれ学生の質を維持したという。
現在既に社会人となっている世代も含めて、1990年代初めから子供の「変質」を訴えているプロ教師の会(埼玉)の河上亮一・日本教育大学院大教授は「最大の問題は、学習以前の生活力の低下にある」と主張。
「社会変化や個人第一の自由主義的な教育を続けた結果、学習に必要な我慢や努力という資質が子供から消えてしまった。今や教育システムから見直さないと、学力低下問題の根本解決にはならない」と踏み込む。