オミさんは落ち着いて答えているようだった。
「前にも言ったじゃない。別に俺はあの人とはもう会ってもいないし。ツアーの時はお世話係をやらされてただけだし…」
「でも…次のツアーに採用されたければ…とか言われて…無理に…って…」
…それって…何なんなんだよ…
俺は言葉にできない、でも激しい感情を抑えるのに必死だった。
「そんなの嘘だよ。安心して…そうだ、送ってくよ。途中でお茶してもいいし 」
かたくなになってしまったような麻里華さんはカイさんと俺の目を気にしながら、かすかにうなずいた。
その時、カイさんが助け舟を出すように、
「麻里華ちゃん、心配ならこの家、今全部を取りあえずチェックしてみたら? そのためにこうして抜き打ちで来たんでしょ? 」
ためらいながら麻里華さんはうなずいた。
オミさんも、どうぞどうぞ、と言うが、怒りのあまりパソコンとかの機材をぶん投げられたらどうするのだろうと、俺はぼんやりと思っていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます