孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

新シルクロード キルギスからウズベキスタン

2007-06-18 17:37:16 | 身辺雑記・その他


昨夜TVで新シルクロード「新シルクロード・・・激動の大地を行く 第3集オアシスの道は険し」(NHK)を観ました。

かつて二十数年前に放映された石坂浩二のナレーションと喜多郎の音楽で始まる旧“シルクロード”シリーズは今でも鮮烈な印象を残しています。
その後実際に西安、敦煌、トルファン、カシュガルなどを旅行する機会もありましたが、あの音楽を聴くとなぜか胸を締め付けられるような、息苦しくなるような“旅への誘い”を感じます。

そんなことから2年ほど前からスタートした“新”シリーズにも期待したのですが、あまり旅情を感じるものではなく番組とも疎遠になっていました。

しかし、たまたまチャンネルを合わせたときに目にした昨夜の同番組は、なかなかに興味深い、「行ってみようかな・・・」という気にさせる内容でした。
観たのは途中からでしたが、ざっと放映内容を列記すると

【キルギス】
・中国との国境に出来た住居代わりの貨車を並べた街
・積荷作業の賃金 1日1000円(トッラク運転手は3倍)
・ソ連崩壊、キルギスは自由経済路線をとるが、経済回復は遅れ失業がまだ多いこと
・流入する大量の中国製品
・その中国製品を旧式トラックに積んで、悪路を命がけで走る若者、心配で迎えに待つ母親
・物資の集散地オシュにできた新興の巨大市場(およそ2万店舗)
・かつてはキルギス人とウズベク人の紛争もあった土地
・今共同経営に励む両民族のふたり

【ウズベキスタン】
・政府統制経済を残したシステム
・綿花が最大産業、国営で綿花摘みに労働者を他地域から動員
・摘んだ綿花の重量に応じて賃金(1日500円)
・民族舞踊による慰問団
・古都ブハラではイスラムが復権、モスクの数はかつての20倍
・以前から多数のユダヤ人が住んでおり、ムスリムと共存してきた歴史
・今ではイスラエル・アメリカへの移住が増加して激減している(イスラエルは旅費支給)
・背景にはソ連崩壊後の経済混乱、ユダヤ人社会の崩壊で現地では仕事がみつからないことがある
・イスラエルに移住した場合息子が軍隊に徴兵されることを心配する母親

もちろん、この番組で紹介されているのは万華鏡のように様々の様相を見せながら変化・絡み合う現実のわずかな一断面にすぎないでしょう。
しかし、中央アジアの国々の今の姿を伝える情報はあまり目にすることもなかったこと、ウズベキスタンへの旅行(ブハラ、サマルカンドといった定番コースですが)を先日検討していたことなどもあって、「ふーん、こんな感じかね・・・」と画面に見入ってしまいました。
いつの世でも、どこでも、経済・社会の混乱期には時流に乗る者、時流から取り残される者がいます。
かつては絹、今は安価な中国製品が西へ流れていきます。
長い歴史を経てこの地にたどり着き生活していたユダヤの人々が、今イスラエルへ戻りつつあるという現実も興味深く感じました。

ちょっとネットで調べると、中国側からキルギスへの国境を越える面白い旅行記がありました。
http://silkroad.rash.jp/travel/note/kyrgyz1.html

また、キルギス・ウズベキスタン国境周辺はタジキスタンも絡んで、イスラム過激派、麻薬密輸など相当にリスクが高いエリアで、国境には地雷も埋められているとか。(当然「渡航延期」勧告が出されています。)
平成11年の小渕内閣当時、邦人4人を含む7人が誘拐され、中央アジア各国と日本の間で大騒動があったところでもあり「ああ、そういえばそんな事件が・・・」と思い出しました。

ウズベキスタンへの旅行は、今回は日程等が合わず難しい情勢ですが、キルギスも含めまた機会があればなんとか・・・と考えています。

写真は“flickr”より キルギスの草原(By crimsworth46)
コメント
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