(今年釣りに興じるプーチン大統領の肉体美がロシア国内で評判になったそうです。彼のカリスマの一端でしょう。
“flickr”より By AccuraCast )
昨日は安倍首相辞任のニュースに釘付けになってしまいました。
政策的には、小泉前首相がぶち壊した中国・韓国との関係、特に日中関係を(自分の靖国等信条を制御して)修復したこと以外には、国内・国外いずれでもあまり共感するところはありません。
「無責任」「総理としての資質」云々はみなさんがおっしゃるとおりでしょう。
ただ、個人的には、自分自身がいままで壁にぶつかったとき1度ならず“投げ出して”生きてきたためでしょうが、今回の件を責める気持ちにはなれません。
恐らく、心のキャパシティを超えた状況で、周りの全てのことが自分には到底出来ないような高い壁に見える・・・そんな状態だったのではないでしょうか。
常々、「どうして首相なんて厳しいストレスにさらされる仕事をやりたがるのだろうか?」と不思議でならず、リクルート事件で袋叩きにあう竹下元首相や、“オットセイ”だなんだと言われる森元首相などが、それでも毎日職務を続けるさまを見て、その尋常ならざる神経に驚嘆していました。
安倍首相にはそのような“尋常ならざる”神経、鈍感力がなかったということでしょう。
痛ましいかぎりです。
“リーダーは同情されるようではダメだ!”・・・まあ、確かにそうですが・・・。
さて、昨日はもう1件、首相辞任のニュースがありました。
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ロシアのプーチン大統領は12日、フラトコフ首相の辞任願いを受けて、内閣総辞職の大統領令に署名した。その後、後任の首相候補に連邦財務監督局のビクトル・ズブコフ局長(65)を指名し、下院に提案した。プーチン大統領のサンクトペテルブルク市勤務時代の部下だが、ほぼ無名の存在。大方の予想を覆す人事の真意を巡り、憶測が飛び交っている。
ロシアでは12月の下院選、来年3月の大統領選に向けて、プーチン大統領の後継候補が近く首相に指名されるとの見方が強まっていた。
12日付のロシア紙ベドモスチは大統領府筋の話として、大統領最側近のイワノフ第1副首相が近く首相に指名されるとの観測を伝えていた。【9月12日 朝日】
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ロシアの憲法では大統領の三選は禁じられていますので、プーチン大統領は今期限りとなります。
今の彼の国内での人気、議会での勢力からすれば、この規定を変更することも可能ではありますが、現実にはそのような無理はしないだろうということで、後継者が注目されていました。
後継者候補としては、記事にもあるイワノフ第1副首相(プーチン同様KGB出身で、KGBなど治安当局や軍の出身者を中心とする「シロヴィキ」と呼ばれるグループの代表格)のほか、同じく第一副首相のメドヴェージェフ(巨大ガス企業ガスプロムの会長を経験、改革派系経済エリートの利益を代表するとも言われる)がしばしば挙げられるようです。
そんななかで今回“無名の”ズブコフが首相に抜擢され、いろんな憶測を呼んでいるとのことです。
フラトコフ現首相もほぼ無名の状態からのプーチンの抜擢だったようですが、ズブコフにしてもフラトコフにしても、政治的な野心がなくプーチンにひたすら忠実という点では似たような存在です。
そこで今後の予想ですが、ロシアのことなど全く知りませんので“初めて見る競馬の馬券を名前・馬番の好き嫌いで買う”ような気楽さで書き流してみます。
ビギナーズラックがあるかも。
抜擢されたズブコフについて“来年5月に退陣するプーチン大統領の最有力後継候補となるとみられる。”【読売】といった報道もありましたが、どうでしょうか?
年末・年初の下院選・大統領選挙を取り仕切る“選挙管理内閣”という性格ではないでしょうか?
しかし、それだけなら現在のフラトコフ首相を敢えて辞めさせる必要もないような気もします。
よく言われているように、まだプーチン大統領は54歳。
おそらく、しばらく院政をしきながら“休養”した後、現職に復帰するつもりでしょう。
“強いロシア”を復活させたプーチンを支持する多くの国民もそれを歓迎するでしょう。
そういう今後を考えると、あまり“本格的な政権”が出来ることは望んでいないし、自分の言うとおりに動いてくれる人物でいいとプーチンは考えているのでは。
言い換えれば、“自分の言うことさえ聞いていれば間違いはない”と自信を持っているのでは。
そこで結論。
今回首相を辞任してフリーとなったフラトコフ(首相の経験・実績もあり、国民の人気もなかなか高いとか。何より政治的野心がなくプーチンに忠実)を後継者に指名して、暫定的に1期勤めさせる。
その後、次の次でプーチン再登場・・・ということでは?
それでイワノフやメドヴェージェフが了承するか?
了承しなけば彼らの首を切る。(むしろその展開を望んでいる・・・「ご苦労さん 君達の役目は終わった」)
いい加減な戯言はそれぐらいにして、プーチン大統領が着々と彼を中心とする中央集権体制を作り上げていることは間違いありません。
ロシア全土を七つの管区に分け、それぞれに大統領全権代表を派遣して、モスクワからにらみをきかせる体制を築きあげました。
地方知事が自動的に上院議員になる制度を廃止するなど、地方の権限を弱める政策を打ち出しました。
オセチアの学校占拠事件の直後には、共和国大統領、州知事など89の首長の直接選挙廃止して大統領の任命制にするという改革案を打ち出しました。
チェチェン関係の続発するテロをむしろ好機として、権力基盤を強化してきたその手腕は卓抜したものがあります。
プーチンの強権的匂いは個人的には好きになれないですが(何より陰険を絵に描いたような風貌が・・・)、新興財閥の跋扈、地方政府の腐敗といった民主化の混乱を収めるためには必要な手腕だったのでしょう。
大統領選挙の前に行われる下院選挙は磐石の構え。
好調な経済成長や社会的安定を背景に目立った争点はなく、「統一ロシア」と「公正なロシア」の2与党による議会支配が一層進む公算が大きいとされています。
「統一ロシア」は下院議席の3分の2を握る巨大与党。
明確な綱領や政策は持たず、プーチン政権と一体視されている“プーチン党”です。
地方自治体の知事らを同党の集票マシンとして動員しており、圧倒的な組織力で圧勝が確実視されるとか。
更に用意周到で、1党支配の批判をかわすため、昨年3党を合同して「公正なロシア」を結成。
「統一ロシア」に対する不満票を吸収する“官製野党”のようです。
第2党になることを狙っているとか。
こうした官製2大政党によって、プーチン政権は計7~8割の議席を支配できるとの観測も出ているそうです。
また、昨年の選挙法改正で小選挙区を廃止したことで、プーチン政権を鋭く批判してきた改革派野党ヤブロコなど小政党は淘汰(とうた)される公算が大きく、議会の翼賛体制化は完成の域に近づくとみられています。【9月2日 時事】
ここまで徹底すると、やはり“プーチン帝国”と揶揄したくもなりますが、「それがどうした。強いものが勝つんだ。」と言われるだけでしょう。
(今年4月行われたデモを制圧する警官隊。 ロシアの強権体質を表すものとしてマスメディアで批判されています。
そうした見方を「ステレオタイプな偏見だ。デモ自体が無許可で行われたもので、かつ、乱暴されるような演技・演出等が施されたものだ。マスメディアを使った反プーチン勢力の策略だ」との意見もあります。
“flickr”より By vitto blog )
さて、安倍総理の後任は?
プーチンの後継者とは違って、多少は事情が見えるだけに、「あの馬の性格が嫌いだ」とか「あの馬は遅いよ!カメだよ!」とかいろいろあって、気楽に馬券が買えません。
そこでパス。