孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  依然として多いLAのホームレス

2007-10-13 13:59:11 | 世相

(ハリウッドの路上のbag lady “flickr”より By Scottua)

毎日、紛争・事件・交渉・災害いろんなニュースが世界中から入りますが、昨日目にしたアメリカからのニュースは、紛争地の悲惨なニュース以上に重苦しい気分にさせるものでした。

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【10月12日 AFP】米ロサンゼルス市は11日、同市内に4万人以上のホームレスが住み、依然として全米最大のホームレス人口を抱える都市になっているとの報告書を発表した。

 国と市が共同で設立したホームレス支援機関「Los Angeles Homeless Services Authority 、(LAHSA)」の報告書によると、人口約400万人のロサンゼルス市に住むホームレスは4万144人で、ロサンゼルス郡全域では人口1000万人中、7万3000人にのぼる。さらに、そのうち1万人が未成年、2万4505人が精神疾患、8453人が退役軍人、約7200人が家庭内暴力の被害者だという。
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注意を引いたのは、4万人とか7万人という数の多さよりも、その内容です。
“1万人が未成年、2万4505人が精神疾患、8453人が退役軍人、約7200人が家庭内暴力の被害者”
特に退役軍人の数には驚きます。
アメリカは世界中でその“リーダーシップ”を発揮して、場合により戦闘行為を辞さない訳ですが、そのつけは深く確実にアメリカ社会を蝕んでいるように見えます。
世界最強国に牙をむいているのは、けっしてテロ行為だけではありません。
それでもなお、世界に出て行くアメリカに驚嘆の思いを感じます。

精神疾患も多いです。
激しい競争社会、深い孤独、その中で病んで行く精神・・・そんな印象はステレオタイプでしょうか?

絶え間ないストレス、近づく精神の限界、逃げ道を求めて向かう相手は家庭内の弱者でしょうか?

頻発する青少年の銃犯罪、社会不安の根底にある多民族社会・人種間の軋轢というストレス・・・そういったものを併せ考えると、アメリカ社会の深刻な病状が見えてきます。
(もちろん、アメリカは大都市だけではありません。中西部の田舎に行けばまた全く違う社会があるでしょうが。)

こんなニュースを読むと、日本でよく見かける、主に経済的事情によるホームレス(全く実情を知らないので、見当違いの思い込みかもしれませんが)が、何かしら非常に“健全なもの”にも思えてきます。
しかし、多分それも少なくとも一部は錯覚でしょう。

昨日朝、身支度をしながらTVを眺めていると、日本のある都会の夜の街ですごす少女達をリポートしていました。
路上でナンパ待ちしている少女、年齢を訊くと12歳、小学校6年生とのこと。
お金はキャバクラで働いて得ているとか。

学校でのいじめ、兄弟・親子の間の殺人、老人の孤独死、門前払いされる生活保護・・・日本社会にも“病んだ社会”の症状はあちこちに見られます。
先ほどのTV番組の出演者の一人が、12歳のキャバクラ嬢に関して、映画“タクシードライバー”を引き合いに出していました。
30年前のロバート・デ・ニーロ主演のこの映画で、娼婦を演じたジョディ・フォスターが13歳でした。

ベトナム帰りの元海兵隊のデ・ニーロ、強度の不眠症で昼間の職に就けず、大都会ニューヨークの夜をタクシードライバーとして走ります。
馴染めない社会、セックスや薬物に溺れる若者、孤独と社会への怒りは彼の精神を蝕んでいきます。
偶然見かけたあどけない娼婦。自分の使命はあの少女を悪の手から救い出すこと・・・
そう思い込む彼は、何丁もの銃で身を固め・・・

なるほど、日米の社会に巣くう病理を重ねると“タクシードライバー”の世界です。
暗い面、負の面ばかりに目を向けているという批判はあるでしょうが、そうした負の面、陰の部分はとかく、個人の問題、家庭の問題、学校の問題、政府としてはできることは限られた問題・・・として処理されがちです。

実際に実行するのは誰であるにせよ、そうしたところにスポットを当てて、安心・安全な社会をつくり維持するための議論をリードしていくことこそが政治の第一義的な役割だと感じます。
金融・財政・国防・外交・・・そういったものはその後の問題です。
蝕まれる社会、悲鳴をあげる人々の心の問題に向き合うことなく、国際貢献とか国家の理念とか、あるいは税制・経済成長云々を議論するのは見当違いな空虚な感じがします。



コメント (1)
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