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(買い物客で賑わうラマダン明け前夜の市場(カイロ) “flickr”より By SerenityF)
イスラム世界では1ヶ月の断食月ラマダンが12日明けて、各地でラマダン明けを祝う祭り「イード・アル・フィトル」が行われています。
モスクでは特別礼拝が行われます。
また、人々はこの期間、家族が集まって親せきを訪問したり、ピクニックや休養のため公園に行って過ごしたりするそうで、1年で人々が最も浮き立つ時期でもあります。
都会で暮らす人が地方に帰る帰省ラッシュのニュースも、バングラデシュから報じられていました。
しかし、戦火の中にある地域にはこのお祭りも関係がないようです。
***米軍の空爆で女性と子ども15人が死亡、イラクのラマダン明け****
【10月13日 AFP】イスラム教の断食月ラマダン明けの12日、イラクでは前夜の米軍による空爆で女性と子ども15人が死亡するなど、ラマダン明けを祝う祭り「イード・アル・フィトル」を一般市民の血が流される中で迎えることとなった。
米軍は11日夕刻にバグダッド北西部で空爆を実施。この爆撃について、シーア派指導者のアリ・シスタニ師やスンニ派の有力聖職者団体は非難の声明を出した。空爆により武装勢力の戦闘員19人も死亡した。
米軍当局は空爆により一般市民の犠牲者が出たことを認め、女性や子どもが死亡したことに対し謝意を表明し、今回の作戦について調査を開始したことを明らかにした。
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ラマダン明けの惨事は米軍によるものだけでなく、アフガニスタンのカンダハルでは、混雑する市街で自爆テロがあり7人が死亡しています。【10月14日 AFP】
人々の犠牲がイード・アル・フィトルならダメで、その他期間ならOKということではありませんが、イラクに民主的な政権を確立することを目指しているはずのアメリカ軍の立場に立てば、なぜ敢えてこの時期に人々の反感をかきたてるような作戦を行うのか、その意図がよくわかりません。
米民間軍事会社ブラックウオーター社の警備員が9月17日に、警備活動の中でイラク民間人17人を射殺したとされる事件では、イラク政府は“正当理由なく発砲”としているのに対し、会社側は“事前の銃撃を受けていた”と説明しています。【10月14日 AFP】
銃撃を受けずに発砲して17人を射殺・・・というのも考えにくいですが、反撃行為であるにしても、結果として民間人である警備員が大勢の現地民間人を死傷した訳で、それが治外法権的になんら責任を問われないというシステムはイラク住民の感情には受け入れられないと思います。
このような一連の住民感情を逆なでするような行為を繰り返し、一体何をイラクでしようとしているのか?何ができると考えているのか?疑問に感じます。
まさに“終わりなき悪夢”にも思えます。