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(恩赦後29日、選挙の投票にやってきたエストラダ前フィリピン大統領 被選挙権はどうかわかりませんが、選挙権は残っているようです。 それにしても元気そうです。 “flickr”より john_javellana )
私が暮らしている奄美大島では、先日の日曜日は奄美市市議会議員選挙の投票日でした。
近隣3市町村合併後の初めての選挙です。
市財政が逼迫しているなかで、単純に合併前の旧市町村議会議員43名がそのまま新市議会議員に横滑りしていた“マンモス市議会”が解散要求をはねのけ2年近く続けられていましたが、この選挙で26名に減ることでようやくその状態も解消されます。
定数26に対し28名の立候補という“椅子取りゲーム”選挙でしたが、日本全国の選挙同様、地縁・血縁・組織・宗教団体・企業グループ挙げての選挙戦で、島はお祭り状態でした。
選挙にはその社会のいろんな状況が反映されます。
フィリピンのアロヨ大統領は、巨額の公金横領罪で終身刑判決を受けていたエストラダ前大統領に対する恩赦を決定しました。
恩赦の理由は、(1)前大統領は70歳を超えている(2)01年4月の逮捕以来すでに6年半の拘束生活を送った(3)どのような公職にも就かないことを約束した--の3点だそうです。【10月25日 毎日】
エストラダ前大統領については、9月18日の当ブログでも扱いました。
(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/b73b94241d8aa39781017f2574cbe348)
元映画スターで、今なお貧しい国民には根強い人気があり、今年5月に行われた中間選挙で上院の過半数を制した野党勢力を取りまとめる存在だそうです。
一方、アロヨ大統領自身も汚職疑惑を抱えており、エストラダ前大統領の恩赦は、野党との決定的な対立を避け、自身への追及をかわす狙いがあるとも言われています。
アロヨ大統領は「国民的和解」と表現していますが・・・。
そんなフィリピンで昨日29日に全国数万の村落首長および村議会の選挙が行われました。
********自治体選挙絡みでこれまでに死者23人*******
選挙に関連して警察が警告を発した9月29日以降、これまでに選挙絡みで43件の事件が発生し、23人が殺害された。負傷者も20人出ているほか、1人が対立政党に誘拐されている。
選挙を前に出された銃所持禁止令違反では300人以上が逮捕されている。
ラジオ報道によると、マニラ周辺の選挙区では広い範囲で買収が行われている。また、多くの候補者たちが投票所近くにいてはならないという法を破り、投票所周辺で有権者らを脅している。
またマカティ市内の金融地区では、対立候補の支持者グループ同士が、互いが嘘をついていると非難しあった末に乱闘となった。
フィリピンの選挙では、候補者や支持者による暴力や殺傷沙汰が珍しくない。【10月29日 AFP】
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“多くの候補者たちが投票所近くにいてはならないという法を破り、投票所周辺で有権者らを脅している”・・・場面を想像するとつい笑ってしまいます。
フィリピンの政治システムはアジアでも有数の民主的なものとも言われていますが、どんなシステムも運用次第です。
もちろん、政争から内乱になるような国も多いことを考えれば、フイリピンの選挙は充分に民主的かつ平和的です。
中東のイスラム国オマーンからは選挙がらみでこんなニュースも。
*******議会女性候補21人、全員落選*****
27日に実施された諮問議会(下院に相当)選挙は即日開票の結果、84議席すべてを男性候補が獲得、女性候補21人は全員落選した。改選前は女性議員が2人いた。
保守的なイスラム教徒が圧倒的多数を占めるペルシャ湾岸諸国の中でも、オマーンのカブース国王は複数の女性を閣僚に起用するなど、女性の政治参加を進めていた。
女性有権者の一人はロイター通信に対し、部族の影響力が強い内陸部では、女性が投票所に行くことさえ容易ではないと語った。【10月28日 毎日】
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イスラム社会における女性の権利・地位は、どうしても外の世界からは納得しがたいものがあります。
イスラム世界と他の社会の間の壁・距離をつくってしまいがちな問題に思えます。
個々の家庭内では、妻や母親がそれ相応の役割を担っているということが多々あるにしても。