パレスチナ・ガザ地区をめぐる状況は次第に悪化しているように見えます。
前月23日に爆破されたラファとエジプトとの境界壁は今月3日閉鎖されました。
閉鎖はエジプト政府とハマスが協調して実施していますので、両者でなんらかの合意があったと思われます。
4日には、エジプト治安部隊とにらみ合いを続けていたガザ住民が投石を始め、ガザ住民1人が死亡、双方に数十人の負傷者が出る騒ぎになりました。
ハマス側報道では、エジプト治安部隊は催涙弾だけでなく実弾も撃ったとされます。
ファタハ側報道では、ハマスの戦闘員とエジプト治安部隊が銃撃戦になったとされています。【2月5日 朝日】
ラファの検問所の今後について、エジプト政府はファタハ、ハマス双方と協議していますが、進展していません。
エジプト、イスラエルはファタハによる管理を望んでいるとされていますが、ハマスが治安部隊を配備している現状では実現は困難とされています。
一時、ハマス側からのファタハ主導の検問所管理も拒否しない考えも示唆されていましたが【1月23日 毎日】・・・ファタハは「ハマスが『クーデター』以前の状態に戻ることを受け入れない限り、一切の対話に応じない」との姿勢を崩していないようです。
イスラエル南部都市ディナモで4日に自爆テロが発生、イスラエル人1人が死亡、10人以上が負傷しました。
この自爆テロに関し、ハマスが5日犯行声明を出し、実行犯2人が決意を表明するビデオ映像を流しました。
ハマスによるイスラエルでの自爆テロは昨1月以来、1年ぶりとなります。
ガザ地区からのロケット弾攻撃、ハマスの自爆テロ再開に対し、イスラエル軍は6日、ガザ地区南部のハマスの警察施設を空爆するなどして、メンバー9人を殺害。
7日には、ガザ地区北部に戦車で侵攻、上空からミサイル攻撃も加え、ハマスのメンバーらパレスチナ人7人を殺害しました。
イスラエル政府は7日夜、ガザ地区からの武装勢力によるロケット弾攻撃への制裁措置として、ガザ地区への電力供給を0.5%削減しました。(1%削減とする報道もあります。)
今後も攻撃が続けば毎週、削減量を同率ずつ増やし、徐々に圧力を強めていく計画とされています。
ガザ地区は全電力の約60%をイスラエルからの送電に頼っているほか、エジプトが約10%を供給。残りの約30%をガザ唯一の発電所でまかなっています。【2月8日 毎日】
人権団体には、一連のイスラエルによるガザ制裁措置を、武装勢力と無関係の一般住民を苦しめる「集団懲罰」だと批判する声があります。【2月8日 共同】
アラブ首長国連邦(UAE)の主要日刊紙「ガルフニュース」は、ハマスのロケット弾攻撃停止を求める一方で、「この状況はホロコーストを生き延びたイスラエル人にとって見慣れた光景のはずだ」「あの恐ろしい時代からイスラエルが学んだのは何だったのか。何も学んでいないのではないか」とも論じています。【2月8日 IPS】
ハマスは9日、ヨルダンからの援助物資を積載していたトラック16台を奪取したことを明らかにしました。
援助がアッバス・パレスチナ自治政府議長を下支えすることになるのを警戒した措置とのことです。
ハマス側は、パレスチナ赤新月社はファタハの影響下にあるとして、押収した援助物資を国連パレスチナ難民救済事業機関に引き渡す予定だそうです。
ハマス幹部は、「このような援助はパレスチナの一般民衆には届かない。1つの政治勢力に独占されてしまう」と述べています。【2月9日 AFP】
ハマスが支配するガザ地区ですが、ファタハの影響力が全くない訳ではないようです。
イスラエル政府は10日、同国南部でガザ地区からの砲撃の破片で8歳の子どもが足を切断する大けがをしたことを受けて、ハマス幹部を標的にした攻撃を始めると警告しました。
前年6月にハマスがガザを掌握して以来、イスラエル国内ではガザからの砲撃を停止させるための大規模な軍事作戦を求める声が高まっていると報じられています。
なお、ガザ地区ではこの1週間でイスラエル軍の攻撃により一般の市民1人を含む少なくとも20人が殺害されています。【2月10日 AFP】
ここ10日ほどの動きは上記のとおりです。
中東情勢の中心にパレスチナ問題があり、現状はこれまでの経緯・過去の積み重ねであることは言うまでもありません。
イスラエル建国、パレスチナ難民の発生、4回にわたる中東戦争・・・
イスラエルによる国際世論を無視した入植活動、占拠、パレスチナ勢力への攻撃、壁の建設・・・
権力を握るファタハの腐敗、互助組織としてのハマスへの民衆の支持、06年パレスチナ評議会選挙でのハマス勝利・・・
それらの歴史・経緯に関する知識は殆ど持ち合わせていませんが、ただ、それらの過去に過度に縛られては“しがらみ”になってしまうこともあります。
現状を眺めると、パレスチナ問題の進展を妨げているのは、イスラエルとの交渉を認めず、ロケット弾を打ち込み続けるハマスのガザ支配にあるように思えます。
イスラエルとの共存を否定する限り、第5次中東戦争をおこすしかありませんが、そのような機運も力も関係国にはありません。
(将来的に唯一あるとしたら、イランからの核攻撃でしょうか。)
イスラエルが自国への攻撃を続けるガザ地区の封鎖、電力供給削減という措置をとるのも、当然とも思えます。
ハマスの戦闘継続は、パレスチナ難民に対する国際世論の支援・同情に便乗したもので、その実態はガザ住民の生活を犠牲とするものであり、一旦ことが起こると、ガザ住民の生命を盾とする行為に思えます。
将来への展望もないまま、現状への不満を爆発させるだけの自己満足的なハマスの活動が続く限り、パレスチナの安定は望めません。
ハマスがその攻撃を止めれば、ガザ住民の生活・生命が守られるだけでなく、イスラエルが67年の境界線まで撤退するという国連決議履行への道も開けてくるかと思います。
(アメリカの対イスラエル関係の見直しも必要でしょうが。)
06年パレスチナ評議会選挙にみるように、ハマスがパレスチナ住民の支持を一定に得ているのも事実でしょうが、パレスチナ住民が破滅的なハマスと決別しない限り、その苦難は自業自得とも・・・と言えば言いすぎでしょうか。
ハマスはイスラエルを認められないにしても、“停戦”というかたちでの事態の収拾は図れないものでしょうか。
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルスで活動するハマスの幹部らが5日、昨年6月にガザ地区を武力制圧したハマスの行動を非難、ナブルスのハマス活動家に武装解除を呼びかける異例の記者会見を開いたという報道【2月6日 毎日】もありましたが、ファタハ側の圧力・演出にすぎないのでしょうか。
前月23日に爆破されたラファとエジプトとの境界壁は今月3日閉鎖されました。
閉鎖はエジプト政府とハマスが協調して実施していますので、両者でなんらかの合意があったと思われます。
4日には、エジプト治安部隊とにらみ合いを続けていたガザ住民が投石を始め、ガザ住民1人が死亡、双方に数十人の負傷者が出る騒ぎになりました。
ハマス側報道では、エジプト治安部隊は催涙弾だけでなく実弾も撃ったとされます。
ファタハ側報道では、ハマスの戦闘員とエジプト治安部隊が銃撃戦になったとされています。【2月5日 朝日】
ラファの検問所の今後について、エジプト政府はファタハ、ハマス双方と協議していますが、進展していません。
エジプト、イスラエルはファタハによる管理を望んでいるとされていますが、ハマスが治安部隊を配備している現状では実現は困難とされています。
一時、ハマス側からのファタハ主導の検問所管理も拒否しない考えも示唆されていましたが【1月23日 毎日】・・・ファタハは「ハマスが『クーデター』以前の状態に戻ることを受け入れない限り、一切の対話に応じない」との姿勢を崩していないようです。
イスラエル南部都市ディナモで4日に自爆テロが発生、イスラエル人1人が死亡、10人以上が負傷しました。
この自爆テロに関し、ハマスが5日犯行声明を出し、実行犯2人が決意を表明するビデオ映像を流しました。
ハマスによるイスラエルでの自爆テロは昨1月以来、1年ぶりとなります。
ガザ地区からのロケット弾攻撃、ハマスの自爆テロ再開に対し、イスラエル軍は6日、ガザ地区南部のハマスの警察施設を空爆するなどして、メンバー9人を殺害。
7日には、ガザ地区北部に戦車で侵攻、上空からミサイル攻撃も加え、ハマスのメンバーらパレスチナ人7人を殺害しました。
イスラエル政府は7日夜、ガザ地区からの武装勢力によるロケット弾攻撃への制裁措置として、ガザ地区への電力供給を0.5%削減しました。(1%削減とする報道もあります。)
今後も攻撃が続けば毎週、削減量を同率ずつ増やし、徐々に圧力を強めていく計画とされています。
ガザ地区は全電力の約60%をイスラエルからの送電に頼っているほか、エジプトが約10%を供給。残りの約30%をガザ唯一の発電所でまかなっています。【2月8日 毎日】
人権団体には、一連のイスラエルによるガザ制裁措置を、武装勢力と無関係の一般住民を苦しめる「集団懲罰」だと批判する声があります。【2月8日 共同】
アラブ首長国連邦(UAE)の主要日刊紙「ガルフニュース」は、ハマスのロケット弾攻撃停止を求める一方で、「この状況はホロコーストを生き延びたイスラエル人にとって見慣れた光景のはずだ」「あの恐ろしい時代からイスラエルが学んだのは何だったのか。何も学んでいないのではないか」とも論じています。【2月8日 IPS】
ハマスは9日、ヨルダンからの援助物資を積載していたトラック16台を奪取したことを明らかにしました。
援助がアッバス・パレスチナ自治政府議長を下支えすることになるのを警戒した措置とのことです。
ハマス側は、パレスチナ赤新月社はファタハの影響下にあるとして、押収した援助物資を国連パレスチナ難民救済事業機関に引き渡す予定だそうです。
ハマス幹部は、「このような援助はパレスチナの一般民衆には届かない。1つの政治勢力に独占されてしまう」と述べています。【2月9日 AFP】
ハマスが支配するガザ地区ですが、ファタハの影響力が全くない訳ではないようです。
イスラエル政府は10日、同国南部でガザ地区からの砲撃の破片で8歳の子どもが足を切断する大けがをしたことを受けて、ハマス幹部を標的にした攻撃を始めると警告しました。
前年6月にハマスがガザを掌握して以来、イスラエル国内ではガザからの砲撃を停止させるための大規模な軍事作戦を求める声が高まっていると報じられています。
なお、ガザ地区ではこの1週間でイスラエル軍の攻撃により一般の市民1人を含む少なくとも20人が殺害されています。【2月10日 AFP】
ここ10日ほどの動きは上記のとおりです。
中東情勢の中心にパレスチナ問題があり、現状はこれまでの経緯・過去の積み重ねであることは言うまでもありません。
イスラエル建国、パレスチナ難民の発生、4回にわたる中東戦争・・・
イスラエルによる国際世論を無視した入植活動、占拠、パレスチナ勢力への攻撃、壁の建設・・・
権力を握るファタハの腐敗、互助組織としてのハマスへの民衆の支持、06年パレスチナ評議会選挙でのハマス勝利・・・
それらの歴史・経緯に関する知識は殆ど持ち合わせていませんが、ただ、それらの過去に過度に縛られては“しがらみ”になってしまうこともあります。
現状を眺めると、パレスチナ問題の進展を妨げているのは、イスラエルとの交渉を認めず、ロケット弾を打ち込み続けるハマスのガザ支配にあるように思えます。
イスラエルとの共存を否定する限り、第5次中東戦争をおこすしかありませんが、そのような機運も力も関係国にはありません。
(将来的に唯一あるとしたら、イランからの核攻撃でしょうか。)
イスラエルが自国への攻撃を続けるガザ地区の封鎖、電力供給削減という措置をとるのも、当然とも思えます。
ハマスの戦闘継続は、パレスチナ難民に対する国際世論の支援・同情に便乗したもので、その実態はガザ住民の生活を犠牲とするものであり、一旦ことが起こると、ガザ住民の生命を盾とする行為に思えます。
将来への展望もないまま、現状への不満を爆発させるだけの自己満足的なハマスの活動が続く限り、パレスチナの安定は望めません。
ハマスがその攻撃を止めれば、ガザ住民の生活・生命が守られるだけでなく、イスラエルが67年の境界線まで撤退するという国連決議履行への道も開けてくるかと思います。
(アメリカの対イスラエル関係の見直しも必要でしょうが。)
06年パレスチナ評議会選挙にみるように、ハマスがパレスチナ住民の支持を一定に得ているのも事実でしょうが、パレスチナ住民が破滅的なハマスと決別しない限り、その苦難は自業自得とも・・・と言えば言いすぎでしょうか。
ハマスはイスラエルを認められないにしても、“停戦”というかたちでの事態の収拾は図れないものでしょうか。
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルスで活動するハマスの幹部らが5日、昨年6月にガザ地区を武力制圧したハマスの行動を非難、ナブルスのハマス活動家に武装解除を呼びかける異例の記者会見を開いたという報道【2月6日 毎日】もありましたが、ファタハ側の圧力・演出にすぎないのでしょうか。