(9月19日、ニューヨーク市の歩道でピザを食べるブラジルのボルソナロ大統領(左から3人目)と閣僚ら【9月21日 時事】)
【ブラジル・ボルソナロ大統領の新型コロナ対策軽視姿勢】
トランプ前大統領が退いた後、お騒がせ発言でメディアを賑わすことが多いのがブラジルのボルソナロ大統領。
その世の中の流れに対応するような言動は、女性、LGBTなどの少数派の権利、アマゾン開発など各方面にわたりますが、メディアに取り上げられる機会が多いのが新型コロナ関連。
新型コロナ犠牲者数がアメリカに次ぐ60万人超となっているブラジルにあって、頑なにワクチン接種を拒否しています。なお、同大統領はかつて新型コロナに感染しています。
****ワクチン接種拒む決心表明、くじの例えも ブラジル大統領****
南米ブラジルのボルソナーロ大統領は14日までに、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けないことを決めたと表明した。
地元ラジオ局との会見で述べた。大統領はこれまで、最後のブラジル国民が投与を受けた後、自らも接種に応じるとの考えを示していた。
ボルソナーロ氏は接種はもう受けないと決心したと説明。新たな研究結果を見ており、(感染によって)自身が保持する抗体の水準が非常に高いと主張。「ワクチンをなぜ打たなければならないのか?」とし、「2米ドル(約228円)の当選のため10ドルの宝くじを買うようなものだ。問題外だ」と続けた。
その上で、ブラジル国民は未接種の権利を有しているとも強調。「私にとってそれは全てを上回る自由だ」とし、「仮にある国民が打ちたくなかったらそれは彼の権利。それに尽きる」と説いた。
大統領は新型コロナや予防対策を軽視するなどして国内で強い批判を浴びてきた。米ニューヨークでの国連総会に出席した先月には、国連本部に入る外国代表団は事前の接種を義務づけるとの規定も無視。ブラジル代表団の多数がその後、陽性反応を示す結末ともなっていた。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、ブラジル国民の多数は接種に賛同しており、投与を完了した比率は総人口のうちの約47%。英オックスフォード大の研究者らによる「アワー・ワールド・イン・データ」のまとめによると、少なくとも1回の接種を受けた国民は72%となっている。
ブラジルの新型コロナ感染の規模は深刻で、犠牲者数は米国に次ぐ60万人超となっている。【10月14日 CNN】
*********************
****「死者いない国あるのか」=コロナ死60万人問われ「逆ギレ」―ブラジル大統領****
新型コロナウイルス対策への消極姿勢が批判されているブラジルのボルソナロ大統領は11日、記者団に同国でコロナによる死者が60万人を超えたことへの見解を問われ、「死者が出ていない国なんてあるのか!」と「逆ギレ」した。地元メディアが伝えた。
休暇でサンパウロ州の海岸保養地グアルジャを訪れていたボルソナロ氏は、「死者が出ていない国なんてあるのか!」と何度も反問。「うんざりするために(保養地に)来たわけではないんだ」といら立ちをあらわにした。【10月12日 時事】
*******************
ワクチン未接種ということで、国連総会出席でアメリカ・NYを訪れた際には、レストランに入店することができず、閣僚らとともに路上でピザを食べる様子も話題になりましたが、ブラジル国内でもサッカー観戦が拒否されています。
****大統領サッカー観戦お断り ブラジル、ワクチン未接種****
ブラジルのボルソナロ大統領がサンパウロ州サントスで行われたサッカー全国選手権の観戦を、新型コロナウイルスのワクチン未接種を理由に断られた。同氏が10日、現地メディアに話した。
ブラジルのボルソナロ大統領がサンパウロ州サントスで行われたサッカー全国選手権の観戦を、新型コロナウイルスのワクチン未接種を理由に断られた。同氏が10日、現地メディアに話した。
同州では4日から、観戦する際はワクチンパスポートか陰性証明書の提示を求めている。新型コロナに昨年感染したボルソナロ氏は「試合が見たかったのにワクチン接種が必要だと言われた。なぜだ。私はワクチンを接種した人よりも抗体がある」と持論を展開して抗議した。
ボルソナロ氏は、マスク着用も嫌い、公共の場で着用を義務化している自治体の規則に違反し何度も罰金を科されている。【10月11日 共同】
********************
国内には、こうした新型コロナ対策を軽視する大統領に対する批判があります。
****ボルソナロ大統領は退陣を ブラジル全土で大規模デモ****
ブラジル全土で2日、新型コロナウイルス対応などをめぐって人気が低迷する右派のジャイル・ボルソナロ大統領の退陣を求める大規模デモが行われた。
ブラジル全土で2日、新型コロナウイルス対応などをめぐって人気が低迷する右派のジャイル・ボルソナロ大統領の退陣を求める大規模デモが行われた。
左派政党や労働組合が支援する全国運動の一環で、リオデジャネイロやサンパウロ、首都ブラジリアをはじめ、現地メディアによれば全27州・連邦区のうち24州・連邦区の14州都を含む84都市でデモが開催された。
ブラジルでは新型コロナウイルスにより60万人近くが死亡しており、ボルソナロ氏は対応をめぐって激しい非難を浴びている。下院にはボルソナロ氏の罷免を求める弾劾請求が100件以上提出されているが、政権寄りのアルトゥール・リラ下院議長はどれも取り上げていない。
最高裁判所は、虚偽の情報を広めたなどとして、ボルソナロ氏と側近の調査を命じている。 【10月3日 AFP】
******************
批判が出るのは当然として、8月の世論調査で、新型コロナ対策に消極的な大統領の姿勢を「良い」「非常に良い」とするのが23%、「悪い」「非常に悪い」とするのが54%だったとのことですが【9月8日 テレ朝newsより】、この23%の支持者の声も聞きたいものです。
なお、ボルソナロ大統領の経済政策はアマゾン熱帯雨林の破壊を助長しており、人道に対する罪に当たるとして、国際環境NGOが10月12日、同氏をオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に告発しています。
“アマゾン破壊助長は人道犯罪=ブラジル大統領をICCに告発―国際NGO”【10月13日 時事】
【政治的分断の象徴となったマスク・ワクチン】
ボルソナロ大統領の新型コロナに対する考えは、もはや疫学・公衆衛生の問題というより、政治的信念の問題に見えますが、同様にマスク・ワクチンへの対応が政治的分断の象徴となっているのがアメリカです。
****我が子のマスク姿に激怒する親も…米でワクチン、マスクめぐるトラブル増加 背景に政治的信条の分断****
新型コロナウイルスのワクチン接種証明義務化が進むアメリカ。接種を拒否する社員の大規模な解雇が行われたほか、飲食店などには接種証明なしには入ることができないなど、生活に大きな影響を与えている。そんな中で接種を拒否する人々の胸には、政治への反発があるようだ。AERA 2021年10月11日号で取材した。
ニューヨーク市内で自宅勤務するエンジニアのイアン・パラデス(33)は、喘息が持病であるため、ワクチンに関する情報を注意深くみてきた。ニューヨーク市内では9月24日から、65歳以上の市民と持病がある成人が、ファイザーの3回目の接種(ブースター)を受けられることになり、パラデスは即日接種を受けた。
「現時点でワクチンを受けていない米国民は、政治的に抗議する意思を込めて拒否していると思う」とパラデスは分析する。
■賛成と反対で真っ二つ治安悪化の原因にも
歴史的には、感染症に対するワクチンの開発は心待ちにされ、教育現場でははしかなどのワクチンを義務化してきた。しかし、深刻な経済危機まで引き起こした新型コロナのワクチンだけなぜこれほどまでに抵抗があるのか。それは、保守とリベラルの間にある政治的信条による分断が背景にある。
新型コロナが米国で広がり始めたのち、トランプ前大統領は、新型コロナについて「アンダー・コントロールだ」「すぐに消える」「インフルエンザのようなものだ」と、深刻な事態とは異なる発言を続けた。自らが感染したのちも「コロナのニュースに市民はうんざりしている」とし、今年9月に入ってからは、ブースターの接種を受けない意向さえ示している。
同時に、保守派に根強いトランプ支持者の間では、ワクチンに関する陰謀論が広まった。「ワクチンこそがコロナ感染を広げている」「超小型チップが体に入れられ、マイクロソフトに行動を監視される」といった誤った情報が、ソーシャルメディアを通して現在も広まっている。
ニュージャージー州のラジオDJ、ジョー・イリザリ(中略)はまくしたてた。
「マスクやワクチンをするかしないか、政府に言われる筋合いはない。アメリカ合衆国憲法に定められた個人の権利を侵害している。個人の自由を奪っている。つまり、バイデン政権は違憲行為を繰り返している」
個人の自由を侵害している、というのがマスク・ワクチン拒否派が繰り返す主張だ。イリザリは、9.11テロの犠牲となった義理の弟の死を悼んでいた。にもかかわらず、ワクチンを拒否し、他人や家族に新型コロナを感染させる可能性があることには無関心だ。政治的信条は、それほどにマスク着用やワクチンに対する理解を歪めている。
ニューヨーク市は、ワクチンは有効だと強調する。1月17日から8月7日まで、新型コロナに感染したケースの96.1%がワクチンが未接種の市民で、死亡者の97.3%も未接種だったとしている。
喘息が持病でブースター接種を既に受けた前出のパラデスも、こう言う。
「誰も死にたくない。医療関係者など、患者や同僚などの健康や生死に関わる職業や、大企業でのワクチンの義務化には、全面的に賛成だ」
しかし、マスク・ワクチン拒否派の行動はエスカレートする一方だ。空港と機内でのマスク着用を義務づけている米運輸保安庁(TSA)によると、マスク着用を拒否し、客室乗務員と口論したり、暴力を振るうなどのトラブルが年初から4千件も発生している。児童を学校に迎えに行った父親が、我が子がマスクをしている姿を見て激怒し、教師を殴ったケースもある。
一連の「ワクチン解雇」によって、自治体や雇用主に暴力を振るう事件が起きないとも限らない。
米市民は過去1年超、新型コロナの感染拡大による不安と闘い、家族や友人の犠牲や失業、生活苦などに直面してきた。ところが、新型コロナから解放してくれるはずのマスク、ワクチンを巡って、賛成と反対の真っ二つに分断され、治安の悪化も引き起こしている。
ニューヨーク市内で自宅勤務するエンジニアのイアン・パラデス(33)は、喘息が持病であるため、ワクチンに関する情報を注意深くみてきた。ニューヨーク市内では9月24日から、65歳以上の市民と持病がある成人が、ファイザーの3回目の接種(ブースター)を受けられることになり、パラデスは即日接種を受けた。
「現時点でワクチンを受けていない米国民は、政治的に抗議する意思を込めて拒否していると思う」とパラデスは分析する。
■賛成と反対で真っ二つ治安悪化の原因にも
歴史的には、感染症に対するワクチンの開発は心待ちにされ、教育現場でははしかなどのワクチンを義務化してきた。しかし、深刻な経済危機まで引き起こした新型コロナのワクチンだけなぜこれほどまでに抵抗があるのか。それは、保守とリベラルの間にある政治的信条による分断が背景にある。
新型コロナが米国で広がり始めたのち、トランプ前大統領は、新型コロナについて「アンダー・コントロールだ」「すぐに消える」「インフルエンザのようなものだ」と、深刻な事態とは異なる発言を続けた。自らが感染したのちも「コロナのニュースに市民はうんざりしている」とし、今年9月に入ってからは、ブースターの接種を受けない意向さえ示している。
同時に、保守派に根強いトランプ支持者の間では、ワクチンに関する陰謀論が広まった。「ワクチンこそがコロナ感染を広げている」「超小型チップが体に入れられ、マイクロソフトに行動を監視される」といった誤った情報が、ソーシャルメディアを通して現在も広まっている。
ニュージャージー州のラジオDJ、ジョー・イリザリ(中略)はまくしたてた。
「マスクやワクチンをするかしないか、政府に言われる筋合いはない。アメリカ合衆国憲法に定められた個人の権利を侵害している。個人の自由を奪っている。つまり、バイデン政権は違憲行為を繰り返している」
個人の自由を侵害している、というのがマスク・ワクチン拒否派が繰り返す主張だ。イリザリは、9.11テロの犠牲となった義理の弟の死を悼んでいた。にもかかわらず、ワクチンを拒否し、他人や家族に新型コロナを感染させる可能性があることには無関心だ。政治的信条は、それほどにマスク着用やワクチンに対する理解を歪めている。
ニューヨーク市は、ワクチンは有効だと強調する。1月17日から8月7日まで、新型コロナに感染したケースの96.1%がワクチンが未接種の市民で、死亡者の97.3%も未接種だったとしている。
喘息が持病でブースター接種を既に受けた前出のパラデスも、こう言う。
「誰も死にたくない。医療関係者など、患者や同僚などの健康や生死に関わる職業や、大企業でのワクチンの義務化には、全面的に賛成だ」
しかし、マスク・ワクチン拒否派の行動はエスカレートする一方だ。空港と機内でのマスク着用を義務づけている米運輸保安庁(TSA)によると、マスク着用を拒否し、客室乗務員と口論したり、暴力を振るうなどのトラブルが年初から4千件も発生している。児童を学校に迎えに行った父親が、我が子がマスクをしている姿を見て激怒し、教師を殴ったケースもある。
一連の「ワクチン解雇」によって、自治体や雇用主に暴力を振るう事件が起きないとも限らない。
米市民は過去1年超、新型コロナの感染拡大による不安と闘い、家族や友人の犠牲や失業、生活苦などに直面してきた。ところが、新型コロナから解放してくれるはずのマスク、ワクチンを巡って、賛成と反対の真っ二つに分断され、治安の悪化も引き起こしている。
米メディアは、黒人の奴隷解放を巡って国が分断した「南北戦争」のような状況だとさえ指摘する。互いの命を守ろうとして浮上したワクチン・パスポートや企業でのワクチン義務化は、火に油を注ぐような現象にもなりかねない。【10月8日 AERAdot.】
*********************
*********************
なお、トランプ前大統領はワクチンに関しては肯定的で、8月21日の集会で、「あなた方の自由は尊重するが、ワクチン接種を勧める。私は打った。ワクチンはいい。効果がある」と語り、デルタ株が猛威を振るう中で自身の支持者にも接種するよう呼びかけましたが、聴衆からブーイングを浴びる一幕も。
次期大統領選挙に意欲を見せるトランプ前大統領のカリスマにも陰りが見え、その支持率も低下している・・・という話題もありますが、それはまた別機会に。
【政治的分断を地域的に象徴するカリフォルニア州とテキサス州の対比 しかし、そのテキサスはやがて・・・】
アメリカ各州の対応も、知事の政治姿勢によって分断されています。
****米テキサス州知事、州内のコロナワクチン接種義務化を禁止****
米テキサス州のアボット知事(共和党)は11日、州内での新型コロナウイルスワクチン接種義務化を禁止する行政命令を出した。民間企業を含むあらゆる団体による接種義務化を禁じる。
バイデン大統領は9月、従業員にワクチン接種か週1回の検査を義務付けるよう国内企業に要請しており、アボット知事の決定はこれに逆行する。
知事は声明で「新型コロナワクチンは安全かつ有効で、コロナに対する最善の防衛策だが、引き続き任意であるべきで、決して強制されるべきではない」とした。【10月12日 ロイター】
バイデン大統領は9月、従業員にワクチン接種か週1回の検査を義務付けるよう国内企業に要請しており、アボット知事の決定はこれに逆行する。
知事は声明で「新型コロナワクチンは安全かつ有効で、コロナに対する最善の防衛策だが、引き続き任意であるべきで、決して強制されるべきではない」とした。【10月12日 ロイター】
******************
この政治的分断を地域的に象徴しているのがカリフォルニア州とテキサス州の対比です。
****米国を象徴するカリフォルニアとテキサスの壮絶な争い****
(中略)カリフォルニアのライバルといえば、かつてはニューヨークだった。
ところがここ10年、人口、GDP(国民総生産)、先端技術力、労働力においてカリフォルニアはニューヨークに大きく水をあけ、名実ともに全米最大州となった。
人口数で言えば、カリフォルニア州は2019年7月現在、3951万2223人。第2位はテキサス州2895万5881人、次いでフロリダ州2147万7737人、ニューヨーク州は1945万3561人と第4位に陥落してしまった。
GDPでもカリフォルニア州は3兆2901万ドル、2位はテキサス州(1兆9503万ドル)、3位はニューヨーク州(1兆8682万ドル)。
カリフォルニア州は英国(3兆1246万ドル)を抜いて世界5位、テキサス州はカナダ(1兆8834万ドル)を抜いて世界9位だ。(中略)
ブルー・ステート対レッド・ステート
カリフォルニア州とテキサス州は人口やGDPだけで競い合っているのではない。
カリフォルニア州はギャビン・ニューサム知事を擁する「民主党の牙城」。米議会の「女帝」、ナンシー・ペロシ下院議長はじめカマラ・ハリス副大統領(前上院議員)、アダム・シェフ下院議員らを中央政界に送り出している。
2020年の大統領選挙ではジョー・バイデン候補は全投票数の63.48%を得た。ドナルド・トランプ氏は34.32%しか獲得していない。
一方のテキサス州はグレッグ・アボット氏が現在州知事の共和党の金城湯池。
ワシントンには次期共和党大統領候補の一人と目されるテッド・クルーズ上院議員を送り出している。
2020年の大統領選ではトランプ氏は全投票数の52.06%、バイデン氏は46.48%を獲得している。(中略)
人口規模、GDP、生産力だけでなく、民主党、共和党の政治主導権争いでも真っ向から対立している。「分裂する米国」の縮図といってもいい。
保守対リベラルの対立の構図は、政治理念だけでなく、社会的、文化的分野にまで及んでいる。まさに「カルチャー戦争」が繰り広げられている。
今年に入って、シンボリックな事案が表面化した。人工中絶や性犯罪に関しての両州が対照的な判断をしたからだ。
テキサス州は5月、妊娠6週間前後のごく初期の人工中絶を禁止する法律を制定した。
同州には人口中絶や同性愛に対して激しく反対するエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義者)が総人口の31%を占めている。共和党にとっては重要な支持層であり、エバンジェリカルズが同法制定を強く要求していた。(中略)
カリフォルニア州は中絶については原則的に合憲だ。その一方で性犯罪については女性を保護するスタンスで終始一貫している。その好例がニューサム知事が10月8日署名し、制定された「ステルシング法」(Stealthing)だ。
ステルシングとは、(中略)「合意の下で行っているセックスの最中に相手が拒否しているにもかかわらずコンドームを外し、膣内に射精する行為」を指す。カリフォルニア州は、こうした行為を「強姦」とみなし、刑事罰を科すことを決めたのだ。
全米で同法を制定したのはカリフォルニア州が初めてだ(英独などでは「ステルシング」はレイプとみなして懲役刑を科している)。
ワクチン接種義務化でも対立
いまだに猛威を振るっている新型コロナウイルスに対するカリフォルニア州とテキサス州の対応も対照的だ。
カリフォルニア州は2020年のコロナ感染の初期段階から州民に対し、マスクの着用やソーシャルディスタンス厳守を奨励、2021年秋学期が始まる公立小中高校の教師・職員、生徒にワクチン接種を義務付けた。
一方のテキサス州のアボット知事は、感染対策の行動制限に反対し、経済活動の再開を優先してきた。
今年春にはマスク着用義務を解除、7月には小中高の学区などによるマスク着用義務を禁ずるなどバイデン政権の感染対策には終始反対の態度をとってきた。
だがその後、コロナウイルスのデルタ異変株が猛威を振るう中で、同州でも新規感染者が急増、医療体制が逼迫している。知事自身コロナ感染してしまった。(後略)【10月11日 高濱 賛氏 JBpress】
***********************
近年、カリフォルニア州で営業・生産活動をしてきた大企業が本社機能や工場をテキサス州に移す事例が増えていますが、理由は、テキサス州野ほうが賃金や不動産価格が安く、州法人税も無税など各種税率が低く(ただし固定資産税はその分高くなっている)、事業コストが比較的低く抑えられること。
面白いのは、その結果、テキサス州への人口流入が増大し、「深南部」(ディープサウス)の一員として、かって「南部連合」の一角を占めていた、白人至上主義の信奉者や北西部の石油成金や「ハルマゲドン」を信じるエバンジェリカルズが多いというイメージのテキサスがリベラルな方向に変化していることです。
****「ローン・スター・ステート」が青になる日****
(中略)「テキサス州と言えば、昔は白人一色の保守的なルーラル(非都市の地方)な州だと思われていたが、今や人口の40%弱が非白人州民だ」
「過去10年でテキサス州民となった白人1人に対し、黒人は3人、アジア系は3人、多人種混血は3人、ヒスパニックは11人の割合で州民は増えている」
「ダラス・フォートワース、オースティンなど大都市圏には全米から高学歴、高収入のプロフェショナル、エンジニア、教育関係者、医師、弁護士らが移住し、保守的な社会理念の殻を打ち破ったエリートたちが住み着き始めている」
「1980年代にカリフォルニア州が経験した激変をテキサス州は今経験し始めている」
テキサス州がすべての分野でカリフォルニア州を追い抜いた時、「ローン・スター・ステート」(Lone Star State=同州の愛称)はもはや「レッド・ステート」ではなくなる可能性すら出てくるというわけだ。【同上】
**********************
テキサス州は、ダイナミックに変動するアメリカを象徴しているように見えます。