(15日、リマで、カスティジョ前ペルー大統領を支持する反政府デモ【12月16日 時事】)
【議会が大統領を弾劾罷免、警察が拘束 支持者の抗議行動で混乱、非常事態宣言】
南米ペルーに対する日本の一般的関心と言えば、マチュピチュやナスカの地上絵などの観光、政治の面では収監されながら入退院を繰り返している日系のフジモリ元大統領、そして大統領を目指すもいつもあと一歩及ばない長女のケイコ・フジモリ氏の動向・・・といったところでしょうか。
そのペルーで今月7日、急進左派のカスティジョ大統領の弾劾決議案が賛成多数で可決され、大統領は罷免され、亡命途上で身柄を拘束されるという政変が起きました。
****ペルー大統領罷免 議会の解散宣言を無視され…身柄も拘束****
南米ペルーの議会は7日、急進左派のカスティジョ大統領の弾劾決議案を賛成多数で可決し、同氏を罷免した。議会で野党勢力が過半数を占める「ねじれ」の状況で苦しい政権運営を強いられていたうえに、汚職疑惑などで求心力が低下していた。
ボルアルテ副大統領が同日、大統領に昇格した。ボルアルテ氏は同国史上初の女性大統領。
カスティジョ氏は弾劾の採決に先立ち、罷免を免れるため一時的な議会の解散と臨時政府の樹立を宣言したが、議会は採決に踏み切った。
国家警察は同日、カスティジョ氏の行為が「憲法に違反する」として身柄を拘束した。ペルー憲法の規定は、議会が2度にわたり内閣不信任決議をすると大統領が議会を解散できるとしており、要件を満たさずに議会解散を試みたことを違憲とみなしたとみられる。検察当局は同日、国家と憲法秩序に反逆した疑いで、予備的捜査を開始すると明らかにした。
元小学校教師のカスティジョ氏は労組の活動家も務め、2021年大統領選では格差是正を訴えて貧困層を中心に支持を集めた。同年6月の決選投票で、日系2世のアルベルト・フジモリ元大統領の長女で中道右派の野党党首、ケイコ・フジモリ氏を僅差で破り初当選。翌7月に5年ぶりの左派大統領として就任した。任期は5年だった。
だが、就任後すぐに中道、右派の野党勢力が過半数を占める国会との対立が激化し、5回にわたり内閣改造を余儀なくされた。今年6月末には方向性の違いで対立していた急進左派の与党から離党。自身の汚職疑惑にも見舞われ支持率は20%台に低迷していた。弾劾決議案は今回を含め3度出されていた。
ペルーでは16年以降、汚職疑惑などで大統領の交代が相次いでいる。ボルアルテ氏の就任で約6年で6人目の大統領となった。
カスティジョ氏の行為について、ペルー・カトリカ大のカセリン・セガラ教授(政治学)は、1992年に少数与党で政権運営に行き詰まっていたフジモリ氏が憲法を停止して議会を閉鎖した「『自主クーデター』のような意図があった」と指摘。
ただ、閣僚のほか、軍や警察が反発したことで「試みは無効化された」との見方を示した。今後の見通しについては「各政党間の対立が続くペルーでは連立を組むことが難しい」とした上で「混乱がすぐに収まるかは不透明だ」と述べた。
ペルーの議会は1院制で定数は130。今回の弾劾決議案は「道徳的に(大統領として)適任ではない」ことを理由とし、1日に審議に向けた手続きを開始。可決には定数の3分の2に当たる87票以上の賛成が必要で、地元メディアによると、採決では賛成が101票、反対が6票、棄権が10票だった。【12月8日 毎日】
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カスティジョ氏は家族と共に大統領宮殿を離れ、車でリマ市内のメキシコ大使館に向かったものの、その途上で国家警察に拘束され、カスティジョ氏はその後警察施設に連行、現在はアルベルト・フジモリ元大統領が服役する施設に身柄があるとのことです。
カスティジョ大統領支持者はこの政変を認めず、街頭での抗議行動が激化。ボルアルテ新大統領は大統領選挙を2年前倒しすることを示しています。
****抗議デモ激化のペルー 大統領選2年前倒しで2024年実施へ****
罷免された前大統領の支持者らによる抗議デモが激化する南米ペルーで12日、ボルアルテ大統領が大統領選を2年前倒しして実施する方針を示しました。
ペルーでは7日、前大統領のカスティジョ氏が罷免された直後に憲法秩序を乱したとして拘束され、支持者らによる抗議デモが激化しています。ロイター通信などによりますと、抗議デモはカスティジョ氏の地盤の農村部で特に激しく、これまでに少なくとも3人が死亡しました。
こうした事態を受けボルアルテ大統領は12日、大統領選を2年前倒しし、2024年4月に行う方針を示しました。
ペルーの大統領選は5年に1度で、ボルアルテ氏の任期は2026年7月までですが、抗議デモの参加者が主張する大統領選の早期実施に応じることで事態の収拾につなげたい考えがあるものとみられます。【12月13日 TBS NEWS DIG】
ペルーでは7日、前大統領のカスティジョ氏が罷免された直後に憲法秩序を乱したとして拘束され、支持者らによる抗議デモが激化しています。ロイター通信などによりますと、抗議デモはカスティジョ氏の地盤の農村部で特に激しく、これまでに少なくとも3人が死亡しました。
こうした事態を受けボルアルテ大統領は12日、大統領選を2年前倒しし、2024年4月に行う方針を示しました。
ペルーの大統領選は5年に1度で、ボルアルテ氏の任期は2026年7月までですが、抗議デモの参加者が主張する大統領選の早期実施に応じることで事態の収拾につなげたい考えがあるものとみられます。【12月13日 TBS NEWS DIG】
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その後も抗議行動は続き、古都クスコと世界遺産マチュピチュ遺跡を結ぶ鉄道も運行を中止、クスコ空港にデモ隊が乱入するなどの混乱で、日本人観光客を20名を含む多くの外国人観光客が足止めされる事態に。
さすがに18日には軍関係者から「抗議行動の激しさは収まってきた」との見方が出る状況になっています。外国人観光客の出国も可能になったようです。なお、デモ関連死者はその後の情報では26人に増えています。
****反政府デモで足止めの4500人、出国開始 ペルー****
ペドロ・カスティジョ前大統領の罷免と拘束を受けて反政府デモが広がった南米ペルーで、内陸部の観光地に足止めされていた外国人観光客が17日、クスコの国際空港に次々と到着し、出国便に乗り込んだ。デモの勢いが弱まる中、ディナ・ボルアルテ大統領は改めて辞任を拒否した。
人気観光地マチュピチュ遺跡への玄関口となっているクスコの空港は、デモ隊が12日にターミナルに侵入しようとしたことから閉鎖され、欧州と北米からの観光客をはじめとする約4500人の利用客が立ち往生していた。
空港は16日に再開され、出国便への搭乗が始まった。マチュピチュ村に取り残されていた約200人は、列車で移動を開始できたものの、途中で線路が巨石にふさがれていたため、そこから2キロ歩き、待機していた車でクスコへ向かったという。
ルイス・フェルナンド・エルグエロ貿易・観光相は、「遅くとも18日中には、足止めされていた観光客全員が出国できるだろう」と、国営アンデス通信に語った。(中略)
一方、アルベルト・オタロラ国防相と軍トップは、抗議行動の激しさは収まってきたとの見方を示した。マヌエル・ゴメス・デ・ラ・トーレ参謀長は、「道路や空港、都市部では徐々に平常を取り戻しつつある」と述べた。
一方、7日にカスティジョ氏が罷免されたのを受けて大統領に就任したボルアルテ氏は、「私が辞任したところで何が解決するのか」と述べ、議会が選挙の前倒しを決定するまで退陣しないと言明。デモは自然発生したものではなく、組織的かつ暴力的だと非難した。【12月18日 AFP】
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【ますます深刻な機能不全に陥る一歩になるのかも・・・】
とりあえずの混乱が収まっても、今後のペルー政治がますます深刻な機能不全に陥る危険性を指摘する声もあります。
****前大統領追放は悪夢の入り口、3人のポピュリストが次を狙う(ペルー)****
<カスティジョ大統領の弾劾から、各地に抗議デモが広がったペルー。新大統領は次の大統領選を前倒しすると表明したが、それで混乱が収束するどころか、7万人が死んだ80~90年代の再来になりかねない>
(中略)カスティジョ(失職後、警察に拘束された)は、確かに弾劾・罷免に値する。同政権がペルーにもたらしたダメージはあまりに大きい。
ペルー国債の信用格付けは下落し続けているし、国民の半分以上が十分な食料を安定的に確保できていない。新型コロナのパンデミックによる打撃に苦しむ国民も多い。ペルーの新型コロナによる死亡率は世界最悪だ。
問題は、カスティジョが政権を去っても、政治的混乱に終止符が打たれるわけではないという点だ。政治的対立と政治の機能不全がますます深刻化する可能性が高い。
最悪の場合は、(規模はもっと小さいにしても)毛沢東主義者の左翼ゲリラと治安部隊の激しい戦闘が続いた80~90年代の再来になりかねない。このときは、7万人近い命が奪われたと言われている。
既に混乱が広がっている。ペルー各地で、大統領弾劾に反発する人々の激しい抗議活動が始まっているのだ。
特に貧困層の中には、社会に根を張る不平等と不公正を打ち壊すと訴えてきたカスティジョのポピュリスト的主張に魅力を感じていた人も多い。
カスティジョに代わって副大統領から昇格したディナ・ボルアルテ新大統領は、非常事態を宣言。2026年に予定されていた大統領選を2023年12月に前倒しすることを表明した。
大統領選の現時点での有力候補は3人。いずれもポピュリスト的な傾向が強く、ペルーの民主政治をさらに混乱させ、厳しい経済状況に追い打ちをかける可能性がある。
有力候補の1人はアンタウロ・ウマラ。2011~16年に大統領を務めた中道左派のオジャンタ・ウマラの弟で、過激な主張で知られる人物だ。もう1人はラファエル・ロペスアリアガ。現在、首都リマの市長を務めている超保守派政治家である。
そしてもう1人の有力候補がケイコ・フジモリだ。90年代に大統領として強権的な政治を行い、のちに禁錮刑判決を言い渡されたアルベルト・フジモリの娘である。
2021年大統領選では大接戦の末にカスティジョに敗れたものの、これまで連続して3度の大統領選に出馬し、いずれも決選投票に進出して僅差の勝負に持ち込んでいる。フジモリには、今も強固な支持基盤があるとされている。
しかし、フジモリも汚職事件で裁判を待つ身だ。
マネーロンダリング(不正資金の洗浄)と、それに関連して自身の党内で犯罪組織を率いていた疑いが持たれている。大統領に就任して免責特権を得なければ、数十年の刑を言い渡されることもあり得る。
ペルーの政界では、十数もの小政党が林立している。そのため、大統領選では初回の投票で得票率が2桁台に乗れば、上位2人による決選投票に進める可能性がある。その結果として、有権者はしばしば、決選投票で「より小さな悪」を選ぶほかなくなる。
カスティジョの弾劾・罷免は、ペルーの混乱の当然の結果だ。しかし長い目で見ると、この国の政治がますます深刻な機能不全に陥る一歩になるのかもしれない。【12月19日 Newsweek】
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政情はまだ揺れているようです。
****発足12日目で内閣総辞職=反政府デモで混乱―ペルー***
カスティジョ前大統領の罷免と拘束をきっかけとした反政府デモに揺れる南米ペルーで21日、アングロ首相を首班とする内閣が総辞職した。内閣はボルアルテ大統領就任に伴い、今月10日に発足したばかりだった。
カスティジョ前大統領の罷免と拘束をきっかけとした反政府デモに揺れる南米ペルーで21日、アングロ首相を首班とする内閣が総辞職した。内閣はボルアルテ大統領就任に伴い、今月10日に発足したばかりだった。
組閣に追い込まれたボルアルテ氏は、後任の首相にオタロラ国防相を任命した。【12月22日 時事】
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【前大統領を擁護するメキシコのロペスオブラドール大統領 権限強化で民主主義を弱める動きも】
一方、左派政権が多い南米近隣国は今回政変を批判しています。
メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、ボリビア各政府の中南米4カ国の左派政権は12日、失脚したペルーの急進左派カスティジョ前大統領の復権と人権擁護を求める共同声明を発表しています。
とりわけ政変に批判的なのが、カスティジョ前大統領が亡命しようとしたメキシコ。
そのメキシコとペルーの間では外交上の報復の応酬が起きています。
****ペルーがメキシコ大使追放 大統領の政権批判に報復か****
南米ペルーの外務省は20日、メキシコの駐ペルー大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外追放すると発表した。
メキシコの左派、ロペスオブラドール大統領は、今月上旬にペルーのカスティジョ前大統領が議会に罷免され、反逆容疑などで拘束された問題を受けて、ペルー政府を繰り返し批判していた。今回の措置は、これに対する報復とみられる。
ペルー外務省は声明で、「ペルーの政治状況に関するロペスオブラドール氏の再三にわたる言動は内政への干渉で、容認できない」とした。
(中略)メキシコ政府は20日、同氏の妻と子どもの亡命を認めた。ペルー外務省が大使の国外追放を発表したのは、その数時間後だった。(後略)【12月21日 毎日】
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一方、ペルー政変を批判し、カスティジョ前大統領を擁護するメキシコのロペス・オブラドール大統領に対しても、大統領権限を強化し、民主主義を弱めようとしているとの批判があります。
****メキシコの「民主主義の危機」 次のベネズエラになるのか****
メキシコのロペス・オブラドール(AMLO)大統領は、国家選挙機関(INE)を改組し選挙に関する大統領権限を強化する法案を議会に提出し、INEの機能を大幅に制限しようとしている。
これに反対する大規模な街頭デモが行われている。11月13日には国内50都市で抗議デモが行われ、メキシコシティーだけで15〜20万人が参加したと報じられている。
ニューヨーク・タイムズ紙コラムニストのブレット・スティーヴンスは、11月22日付けの同紙に‘Will Mexico Be the Next Venezuela ?’と題する論説を書き、メキシコがベネズエラ化に向かう恐れがあると警告している。要旨は次の通り。
国の資金で運営されながら独立した公的機関であるINEは、30年以上にわたり、一党支配から選挙により政権が交代する競争的民主主義に移行する上で不可欠な存在であった。
AMLOは、大統領の権力をチェックする組織(最高裁判所、国の規制機関、人権団体など)を弱体化し、排除し、無力化して、70年代の大統領の過剰な権力を再現しようとしてきた。INEは、大統領による支配から比較的自由であり続けた数少ない組織であった。
もし、AMLOの思い通りになるとしたら、どうなるか?2024年に6年間の大統領任期が切れ、彼が正式に大統領にとどまることはないだろうが、裏から支配することになろう。これは、3つの重要な点で、より深刻な悪化を意味する。
第一に、AMLOの下で軍の役割が拡大し続けている。第二に、メキシコ政府は麻薬カルテルに事実上屈服している。麻薬カルテルは国土の3分の1を支配していると言われている。
第三に、AMLOの新しい国家主義は、古い国家主義よりもさらに悪い働きをする。
医療制度の見直しが試みられた結果、壊滅的な薬不足が発生した。国営石油会社PEMEXに多額の投資を行ったが、PEMEXは記録的な石油価格の上昇にもかかわらず、いまだに、赤字が続いている。
福祉支出は前政権より20%増加しているが、子供を学校に通わせることに援助を結びつけるプログラムを廃止した。
AMLO政権下でメキシコ人がますます直面するのは、経済的な福祉の喪失、個人の安全と政治的自由の侵害、そして法の支配に対する攻撃である。もしメキシコ人が用心深くなければ、これはベネズエラへの道となるだろう。
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AMLOの法案によれば、独立機関であった国家選挙機関の委員は、選挙で選ばれることになり、予算は削減され、有権者名簿の管理は政府に委ねられ、下院の比例代表の議席は廃止され、選挙区ごとではなく政党の候補者リストから選ぶ方式となり、州レベルの選挙管理当局は廃止されるという。
AMLOは、これまでに最高裁判事の人事に介入し、各種規制機関を廃止し、人権団体等NGOへの政府資金の供与を廃止するなど、民主制のチェック・アンド・バランス機能を弱体化させてきたと批判されてきたが、選挙管理制度への介入は、反民主主義的動きとして、野党のみならず市民団体などから強い反発を受けている。
メキシコでは、任期6年の大統領の再選は憲法上禁止され、政治的にも歴史的タブーであるので、さすがにAMLOはそこまでチャレンジはしないと見られているが、この制度変更により自らの息のかかった後継者や議員を当選させ事実上の院政を敷こうとしているのではないかと疑われる。
低所得者層からの厚い支持
AMLOは、「第4の変革」として、経済社会面でナショナリズムに基づく国家介入主義を主張しているが、電力供給の国家管理や石油産業の全面的国有化などは、憲法改正が必要で、後2年の任期内での実現は覚束ないので、退任後も影響力と事実上の権力を維持したいのであろう。しかし、その先には、権力維持が目的化した独裁化への道があると懸念される。(中略)
AMLOは、就任後、前政権が進めていた国際空港の建設計画の取りやめや元大統領を汚職容疑で捜査するかどうか、更には自らの信任投票など、国民の声を聴くとして法律上の根拠のない国民投票を再三行った。
野党側がボイコットするため低投票率にも拘らず、提案の支持率は高くなり、これにより国民の支持を得たと主張するなど、法の支配や民主的なガバナンスの観点から疑問とされる行為を繰り返してきた。
更に、大統領令により軍を建設事業などさまざまな目的に活用し、また軍人を優遇する一方で、麻薬組織は健在で治安状況はむしろ悪化しており、コロナ対策や経済再生策も十分とは言えない。
これらの数々のネガティブな側面にも関わらず、AMLOの支持率は、いまだに60%近い。これは、種々の給付金配布や最低賃金を毎年引き上げるなどの施策が人口の5割を超える低所得層の心をつかんでいることを示している。
そしてパンデミックにより、就任時より低所得層は、6%以上増加し全人口の6割を超えたとみられている。
このような最低賃金引き上げにもかかわらず、依然として人件費は米国よりかなり低く企業活動は堅調なので、国際投資や経済成長に顕著な影響は出ていない。
野党勢力は、次回大統領選挙で、民主主義の危機に絞って争点にできるかが課題である。【12月16日 WEDGE】
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オブラドール大統領がペルーのカスティジョ前大統領を擁護するのは、思想的に両者は非常に近いものがあるせいのようです。
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