太田和彦著「風に吹かれて、旅の酒」(集英社文庫)を読みました。
(表紙)
(カバー裏にある本書の紹介)
(感想など)
太田さんの本を読むのは初めてですが、面白くて、実際の役にも立ちそうです。著者の本職は、グラフィックデザイナーで、美術や映画、音楽、俳句などに造詣が深く、本書では、お酒や料理のことばかりでなく、多方面の話題が取り上げられます。
著者は長野県松本市出身で、松本に関する記事もあり、隣の安曇野市生まれの僕には親しみも湧きました。居酒屋探訪家として、テレビ番組にも出演するなど、全国的に知られた方ですが、まさか松本の出身だとはびっくりしました。
週刊誌「サンデー毎日」に連載されたエッセイが元で、42編が収められています。「山奥の三十二の瞳」、「忌野清志郎と飲んだ夜」、「神戸の歩き方」、「居酒屋に通って」、「蔵と名水の町」、「音楽の日々」あたりが特に印象深かった。
以下、本書掲載の写真など抜粋。
著者は、最初期からの忌野清志郎のファンです。
「上野でとんかつ」から。御三家「ぽん多」「蓬莱屋」「双葉」のうち「双葉」は閉店。
「銀座散歩」から。『私は銀座が大好きでそこの会社(資生堂)に20年通った、わが町感もある。』と記しています。
「神戸の歩き方(1)」から。『まずは昼飯。神戸ならば中華。餃子の質の高さと店の個性は、”圧倒的”日本一で、』と記しています。
「神戸の歩き方(3)」から。『いろいろあるんだとさらに坂を上がり、これもなじみのバー「Keith」のドアを押した。』とあります。
「蔵と名水の町」から。『大鳥居から女鳥羽川をはさんだ民芸喫茶「まるも」は朝八時からやっている。』と記してあります。松本の喫茶店「まるも」は、作家池波正太郎さんもお気に入りのお店でした。
「松本の中華と古時計」から。『昼を終えたら少し散歩。白黒なまこ壁がきれいな〈同心小路〉は〈元禄九年(1696年)に藩主・水野忠直が設けた町同心屋敷から同心小路とよばれた~〉と記される。』とあります。
「音楽の日々」から。『音楽はイヤホンではなく、スピーカーから流れ出る生音で聴きたい。愛用の真空管アンプは音色がやわらかく艶がある。』とあります。ヘンデルやディーリアスなどのイギリスの作曲家、シューマン、R・シュトラウス、ブルックナーがお好きで、ジャズや女性ボーカルも聴いていらっしゃいます。
(本書にある著者紹介)
太田和彦さんの他の著書も読みたくなりました。
(参考)太田和彦さんの出演番組