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「行人」 夏目漱石

2015年01月19日 | 読書

行人

【学問だけを生きがいとしている一郎は、妻に理解されないばかりでなく、両親や親族からも敬遠されている。孤独に苦しみながらも、我を棄てることができない彼は、妻を愛しながらも、妻を信じることができず、弟・二郎に対する妻の愛情を疑い、弟に自分の妻とひと晩よそで泊まってくれとまで頼む……。「他の心」をつかめなくなった人間の寂寞とした姿を追究して『こころ』につながる作品。】

頭で考えすぎ。いくら知識がたくさんあっても、シンプルな真理を(頭ではなく)心から理解し体得しなければ、我が強い人はこうなりやすいのでしょうね。

>大概は僕よりも不善で不美で不真だ。僕は彼らに負かされる訳がないのに負かされる。だから腹が立つのだ。

無常、無我。
自我にこだわればこだわるほど、他人の心は分からなくなる(というか分からなくて当たり前、他人の心は自分の自由にならないものという真理)。学問をして、知識を増やして、悟りについて頭で理解したと思っても、実際自分の心を自我への執着から解放できなければ悟りに達する(楽になる)ことはない。

人は一人生まれ自分の人生を生き一人死ぬ、と同時に他とのつながりの中で生きているということ。自分を意識すればするほど孤独を感じてしまう。でも、実際はつながりの中にいる。つながっている。自分の意識が孤独をつくる。一郎さんは、難しく考えすぎだね。頭じゃないよ、心だよ。自分の心。

自分が妻に心を解放しないから、妻は夫に心を解放できない(よそよそしくなる)。妻もそのことに悩んでいるけれど、諦め(自分が腑抜けだから仕方ない)をもってやり過ごしている。妻の方が一段悟ってはいるような・・・。 でも、この関係をどうにかしたいならそっぽ向いてるだけじゃ・・・。直さん、慈悲喜捨の心ですよ。

一郎と一緒に旅行してくれた友人Hの手紙は、ものすごく真理を語っている。そして慈悲喜捨にあふれる人だ。(必読!)

>兄さんは幸福になりたいと思って、ただ幸福の研究ばかりしたのです。ところがいくら研究を積んでも、幸福は依然として対岸にあったのです。

>「君は山を呼び寄せる男だ。呼び寄せて来ないと怒る男だ。地団駄を踏んで悔しがる男だ。そうして山を悪く批判する事だけを考える男だ。なぜ山の方へ歩いて行かない」

 

>あなた方は兄さんの将来について、とくに明瞭な知識を得たいとお望みになるかも知れませんが、予言者でない私は、未来にくちばしをさしはさむ資格を持っておりません。・・・・あなた方は兄さんが傍(はた)のものを不愉快にすると云って、気の毒な兄さんに多少非難の意味を持たせているようですが、自分が幸福でないものに、他を幸福にする力があるはずがありません。雲で包まれた太陽に、なぜ暖かい光を与えないかとせまるのは、せまる方が無理でしょう。私はこうしていっしょにいる間、できるだけ兄さんのためにこの雲を払おうとしています。あなた方も兄さんから暖かな光を望む前に、まず兄さんの頭を取り巻いている雲を散らしてあげたらいいでしょう。


まったく外の他人なら、つきあいをやめればすむんだからまだ楽。家族の人間関係というのは近くてなかなか切るわけにいかないから、大変だね。自分が悟るより他にない。人をどうにかしたいと思うなら、まず自分をどうにかすること。ホント、人間関係はお互い様だからね~。まあ、慈悲喜捨を忘れず、我を捨てさえすればなんとかなります。え、それが難しいって?

 

星5つ 

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2 コメント

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「行人」は読んだことがないです。 (masamikeitas)
2015-01-19 13:20:29
まるちゃん、こんにちわ。

「行人」は読んだことがないです。まるちゃんの説明を拝読していますと、漱石さんらしい小説だという気がしました。
漱石さんらしい小説って、何かと問われますと困りますが。(笑)
後期三部作 『彼岸過迄』『行人』『こころ』の3冊の内、「こころ」は、読んだように思いますが。
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masamikeitasさん、こんばんは。 (まる)
2015-01-19 19:17:05
人によっては「暗い話」とか、気楽に暮らせている人から見れば
「うじうじめんどくさい奴だ」とか思われるかも知れませんね。
でも、この世の真理というか、人間とはと考えると、けっこう
あるある~そんなこと、いるいる~そんな人と、l思い当たるのです。(明治も現代も)
そこがこれらの小説の面白いというか興味深いところです。
行人、読みやすくて一気読みでした。^^
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