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「帰ってきたヒトラー」ディムール・ヴェルメシュ(著)森内薫(翻訳) 

2016年07月12日 | 読書

【2011年8月にヒトラーが突然ベルリンで目覚める。彼は自殺したことを覚えていない。まわりの人間は彼のことをヒトラーそっくりの芸人だと思い込み、彼の発言すべてを強烈なブラックジョークだと解釈する。勘違いが勘違いを呼び、彼はテレビのコメディ番組に出演し、人気者になっていく…。

テレビで演説をぶった芸人ヒトラーは新聞の攻撃にあうが民衆の人気は増すばかり。極右政党本部へ突撃取材を行なった彼は、徐々に現代ドイツの問題に目覚め、ついに政治家を志していくことに…。静かな恐怖を伴ったこの爆笑小説は、ドイツで大反響を巻き起こした。本国で二五〇万部を売り上げ、映画で二四〇万人動員したベストセラー小説の待望の文庫化。】

タイムスリップしたヒトラーと現代人との会話がかみ合わなくて笑えます。生活の変化やギャップに戸惑うところとか。(インターネッ、機能が多すぎる電話、分別ゴミ、犬のフンを拾う人etc
コメディですが、でも色々と考えさせられてコワイ・・・

「チャップリンの独裁者」は本人散々だったけどこちらは、、、。

何が怖いって、人間というのはいつの時代でも、どの国でも、基本的に(本能的に)は同じだということ。そして同じ過ちを繰り返す・・・。

ヒトラーはいつも礼儀正しくまじめで優しいし、親切だし、庶民の問題(不満)をしっかり聞いてくれる。私利私欲などなくひたすらドイツの国をよくしようとだけを考えている(全体主義なんだけど。酒も飲まない(酔っぱらいが嫌い)ベジタリアン。人当たりも悪くない。つまり、いい人なんです(ドイツだけ)。、、、ただ、ドイツの国をユダヤ人が食い物にしている(だから絶滅させよ)という民族差別主義な過激な考えを心から信じ切ってて曲げない。(日本にもいますね、反○とかヘイトとかの右翼とか国粋主義の人たち。自分たちに都合が悪い者は”排除”しろという考えの人。)

人間は自分の都合で物事を見てますから、ヒトラーが本気でナチスを復活させたいと自分の考えを広めようとしても、ユーモアとかただのパフォーマンスとしてしか見ない。(まさか本気だとは、って

ヒトラーはもちろん恐ろしい危険な考えの持ち主だけれど、何もかも全てが間違っているわけではない。現代社会や文明に対する批判はそうだなあと思うし、拝金主義が国を堕落させているというのはそうかもしれない。でもそれはユダヤ人のせいじゃない。自分(一人一人)が拝金主義に陥らなければいいだけ。(何か不都合があると他人や他国のせいにする。一人一人を見ないで”民族や国”の問題にしてしまう。”○○人は××”とかひっくるめて偏見差別する人、いっぱいいますね^^;)

怖いのは、ヒトラーの政策を受け入れてしまう民衆。
そもそも熱狂的にヒトラーを支持し指導者に選んだのは
民衆だということ。ポピュリズム大衆迎合主義とかいう言葉があるけど、大衆一人一人の問題なんだよね。大衆の心理と独裁者の心理が合致してしまったということなんだろうねえ。問題は私たち一般大衆なんだよなあ。

そしてこれは現代でもどこの国でも十分にあり得ることだということ。(現代の移民問題も、EU離脱も、テロ問題も… タイムスリップはありえんけどね) 

>総統は、今日的な意味で〈民主的〉としか呼ぶほかない方法で、選ばれたのだ。自らのヴィジョンを非の打ちどころがないほど明確に打ち出したからこそ、彼を、人々は総統に選んだ。ドイツ人が彼を総統に選び、そして、ユダヤ人も彼を総統に選んだ。

>真実は、次の二つのうちのひとつだ。ひとつは、国民全体がブタだったということ。もうひとつは、国民はブタではなく、すべては民族の意志だったということだ・・・

ヒトラーは普段は冷静で親切で危険な人には見えない。自然と動物と子どもを愛し、みんなに優しい。私利私欲の権力者を嫌い、偉ぶらないし周りからも好かれている。だけど、ユダヤ人を根絶やしにすることが必要だという排他的な考え方が、根本的に間違っていることに気づかないし、間違っていると言われても理解できない。ユダヤ人だけは別だと。ユダヤ人が悪いんだと。(全く愚かな考え方です、はあ・・・^^;)

>われわれ男は、ものごとを〈ひどいこと〉〈ひどくないこと〉に分類などしない。男にとって重要なのは、課されたつとめを果たすこと。目標を見つけ、目標を据え、目標を追いかけることだ。・・・感傷が入り込む余地はない!これはわれわれの未来にかかわる、このうえなく重要な問題なのだ。厳しいように聞こえるかもしれないが、過去を振り返って泣いているだけではだめだ。

感傷や感情だけではなく、命は平等だから、人を殺せばその分自分たちの生きる権利がなくなってしまう、人を不幸にすればその分自分たちも不幸になる、、、例外なく。ということを彼は知らない。多くの民衆も多分わかっていない。不幸なことに、、、。

国家第一主義、全体主義の政治家は危険ですね。

ラスト・・・

>ポスターには私の顔写真が使われ、懐古調を強く意識した作りになっている。・・・・選挙民を引きつけるように考えられたそのスローガンとはー。

日本の皆さんも、昔(戦前?いつ?)懐かしんで、『悪いことばかりじゃなかった』とあの頃の”古き良き日本”(大日本帝国?)に戻りたいって思ってるのかな・・・。何を取り戻したいのかな?(あの人のFacebook記事の画像、セピア加工したレトロ調だったなあ。) 

ゾゾゾ~

 

殺人を肯定するのは危険な思想なのに、なんで専守防衛と避難救護だけじゃなくて、武器兵器の軍事行動を認めるの?なんで軍隊?なんで死刑?全部殺人を肯定してるよね。(正当な理由???があれば)殺してもかまわないって、何て危険な世界でしょう。 (殺人に正当な理由などあるわけがない)

しかし、日本もドイツのように、昔の失敗汚点を笑い飛ばせるくらいにきちんと反省し乗り越えなければいけませんね。日本は悪くなかったとかうそだなかったとか、、、あまりに情けない^^;

星5つ 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
都月さん、こんにちは。 (まる)
2016-07-13 16:19:19
映画も評判よさそうですよ。
ミニシアター系みたいなので、TSUTAYAで借りられるようになったら借りて観てみたいです。全国一斉公開すればいいのに。
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映画か~ (都月満夫)
2016-07-13 14:51:23
面白そうだね^^
したっけ。
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都月さん、こんにちは。 (まる)
2016-07-12 17:16:31
あの人も怖いけど、動画にあげられてた議員さんたち(あの党の有名な人たち)もゾゾ~とします。平和主義も国民主権もいらないとか、お国のために命を、などと言ってますから。”一番”大事なのは皇室であり国体なんだそうです。頭狂ってるのかとびっくりしますよ。裏の顔が怖すぎる。(Facebookeでチェック)
「子どもたちを戦場に送るな」などという”片寄った”考えの偏向教育をする教員がいたらネットで通報してくれ、というあの党の議員も。どこが偏向やねん。取り下げたみたいですが、あの党の議員たちアブナイ・・・

それはさておき、これは面白い小説でした。映画も上映されてるようです。
大事なのはわたしたち民衆が賢くなることです。
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ええっ! (都月満夫)
2016-07-12 14:15:18
タイトルを見て、あの人のことかと思いました。
今回の選挙で笑った人も、怖いよ^^
したっけ。
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