たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

カヌーイストとして <カヌー 鈴木選手、ライバルに薬物>などを読んで

2018-01-10 | スポーツ

180110 カヌーイストとして <カヌー 鈴木選手、ライバルに薬物>などを読んで

 

私は趣味をカヌーと一応、標榜しています。たしかにカヌーを始めて40年近くなるので、ま、そういってもいいかなと思いつつ、実のところ、現在は完全な「ペーパー」パドラーです。フォールディングカヌーを転居のたび、唯一大事なものとして持ち運びますが、袋に入れたままの状態です。

 

とはいえ、カヌーイストの心はいつも持ち続けています。どこに行ってもレンタルでカヤックなどが借りられれば、川に繰り出します。カナダの西海岸、ユーコン川、アマゾン川支流など、もちろん多摩川、江戸川、荒川、長良川や湘南の海や津軽海峡など、何度も下った川もあります。やはり当時、カヌー人気を高めた野田知佑さん流のゆっくり川を下ろうタイプです。

 

いまブログを書いているさまざまなカヌーイストも、相当な技量を持っていても、カヤックでそれぞれの地域景観の成り立ち、自然生態系の多様さを堪能しながら、また沿岸の人々との触れあい、さらには古代や地質時代に遡りながら、心と体が自然に浄化され、一体化することに喜びを抱いているように思います。そういうブログを時折見るのも楽しみです。

 

ところで、毎日記事、昨日からかつてない問題として大きくカヌー競技者の不正が取り上げられています。最近カヌーやカヤックを楽しむ人が増えていると思いますが、ほとんどは協議とは無縁ではないかと思います。カヌー競技のスプリントも、スラロームも、すごい技量と体力が必要ですし、醍醐味もあるのですが、いかんせん地味に印象をぬけきれないように思います。

 

私自身は、その理由の一つとしてこれまでの協議会場の場所に問題があったと思っていました。それは大抵、こういったカヌー競技を開催される場所が都心から離れた奥地であり、交通の便もよくないだけでなく、設営する会場も、あまり観客を動員できるところを準備できないところだったのではないかと思います。それは競技者にとって不幸なことだと思っていました。

 

2020年オリンピック・パラリンピックでは、豊洲と舞浜が会場となり、観客施設もちゃんとしていて、ようやく檜舞台ができあがると、期待していました。むろん環境問題の点からはたしてこの会場が適切かという疑問も抜けないで、心の中では相克していたのですが。

 

彼らの練習を見たことはないですが、基本、個人競技でストイックでしょうし、自然や歴史景観を楽しみといったことは考えられず、ただ競技に打ち込みばかりでしょう。

 

私が荒川を舞台にカヌーで上流に上ったり、下流下りして東京湾にでていたころ、大学生ですかレガッタの練習中の若者を時折見かけました。朝霞の堰からの下流は当時、水質が悪く、東京湾に近づくほど良くなっていた印象ですが、その朝霞付近で練習しているものですから、とてもよい環境とは思えないですし、夏はとてつもなく暑いですし、冬は寒いです。それを懸命に漕いでいる姿は美しかったです。

 

ボストンのたしかチャールズ川などでレガッタしている姿は周りの木々も美しく水面も鮮やかでとても絵になるのですが、荒川の練習姿も若者の鍛錬する姿のすがすがしさを感じさせてくれました。

 

で本題の<カヌー鈴木選手、ライバルに薬物 「東京五輪出場に焦り」 連盟が除名へ>ですが、<日本カヌー連盟は9日、東京都内で記者会見して、2020年東京五輪の出場を目指していたカヌー・スプリント男子の鈴木康大(やすひろ)選手(32)が昨年9月に石川県小松市で開かれた日本選手権で小松正治選手(25)の飲料に禁止薬物を混入させていたことを明らかにした。ライバルをドーピング違反に陥れるゆがんだ行為について、鈴木選手は連盟の聴取に対し「地元の五輪にぜひ出たいという焦りがあった」と述べたという。>

 

とても信じられない卑劣な行為ですね。カヌーイストであれば考えがたい、いや競技選手というさらに格段の「品格」(これが最近怪しくなりました)を求められる人が犯すことかと嘆息してしまいます。

 

別の記事<カヌースポーツ界、前代未聞の薬物混入 「クリーンな日本」失墜 鈴木「私の弱い部分」>では今回が初めてではなかったようです。<禁止薬物を混入した鈴木康大(福島県協会)は繰り返したという。>

 

しかもそれ以外にもあるようです。<10年以降、パドルなど備品が紛失したり壊れたりするトラブルが相次いだが、今回鈴木は連盟の調べに複数回の関与を認めた。10年の日本選手権ではパドルが急になくなり競技が一時中断したこともあったという。>

 

どういうことでしょう。どこの番組のニュースか一部だけ放映していたのを見ましたが、鈴木選手の義父が取材に応じて、彼から告白を受けたと言うことでした。義父は地元でカヌー教室を開いているようでしたし、娘で鈴木選手の奥さんはオリンピック・カヌー競技に出場を果たした優秀な選手だったようです。鈴木選手は一旦、引退した後家族の後押しもあって復帰したそうですが、こういった周囲の応援が不必要に圧力になっていたのかもしれません。しかし、あくまで彼個人の責任ですね。

 

ところで、ドーピング違反が世界的に問題になる中、わが国のスポーツ界は適切な(あるいは厳重な)管理体制を整備し、これまで一度も違反選手を出してこなかったようです。

 

とりわけわが国の伝統的な競技、柔道を含め、注目される野球、サッカーなど多くの球技種目や体操・水泳などはしっかりした管理体制だけでなく、個人一人一人もチームの中で、また練習を通じてフェア精神が養われてくるのではないかと思うのです。

 

他方で、カヌー競技はどうでしょう。個人競技で、注目度も今ひとつ、他方で、海外に出れば違反薬物は横行しているわけですから、個人の意識だけに頼っていることでは、この情報社会・ネット社会では適切な管理が行き届かないかもしれません。カヌー自体、競技スポーツの歴史はわが国では浅いと思います。

 

最近はやりのフリークライミングも似たようなところがあるかもしれません。元々わが国ではロッククライミングや、身近では城の石垣・崖上りは人気がありました。それはスポーツというより趣味の世界でした。安全管理の面では不十分で張っても、トップになるためにアンフェアな方法とか、違法薬物をライバルに飲まさせるといったスポーツ精神に反することはありえなかったですね。私も石垣上りの愛好者の一人でしたし、沢登りもよくやりました。

 

オリンピック競技のあり方が問われる時代です。

カヌースポーツ界、前代未聞の薬物混入 鈴木大地・スポーツ庁長官、リオ五輪銅メダル・羽根田卓也、JOC・竹田恒和会長の話>で指摘されているように、あらゆるスポーツ競技に改めて注意を喚起して、多くの人に感激を与えるフェアな場を提供してもらいたいものです。

 

翻って、わが国にカヌーが利用されるようになったのは戦後でしょうか。いやいや、宮本常一氏の見方では、南方からカヌーでやってきた民族が島伝いで日本列島の海岸線を縦横に行き来し交易し、縄文文化の一翼を担ったのではといった指摘があったと記憶していますが、その可能性を感じています。

 

ちょうどそんなとき、モアイの巨大像があるイースター島にやってきたのは台湾の近くの島から、カヌーにアウトリガーを取り付けて太平洋の大海原を越えていったという放送がありました。筏よりは安定性があり、これは現実性があるなと思いつつ、カヌー文化の広がりを大事にしたいものだと思うのです。とりわけそのような勇気ある人たちが、さらに巨大像を造り運ぶという、偉大な文化を創り上げたわけですから、カヌーイストはすごいです。


 

追補

 

いろいろ書きたくなることが浮かんできて、何を書こうとしたかを忘れることはいつものこと。今回はいくつかありますが、とりあえずカヌー団体のうち、河川・海岸を利用してレジャーカヌーというか、水面利用のあり方を積極的に取り組む団体がないことを指摘しておきたいと思います。

 

アメリカで有名なのは全米カヌー協会(ACA)ですね。ある意味では全米ライフル協会ばりにかなりの力のある圧力団体ですね。ダム開発を含む多様な河川横断型開発対する保全活動、漁業者との水面利用をめぐる合理的な利用ルールの確立など、その動きは見習うべきものがあります。

 

ところがわが国には日本カヌー協会も含めそのような存在意義を示した例は聞いたことがないというか、たぶんそのような活動団体があるのかしらという状況だと思います。

 

むろん北米におけるカヌーは冒険・征服・交易のため17世紀以降ほとんどの河川が活用されてきた歴史もあるので、その重みは銃使用と似通った部分があるかもしれませんが。

 

とはいえ、釣り師の団体や漁協団体の圧力と比べれば、無に等しい状況はなんとかしないと、自然生態系豊かな日本の河川・海岸線の回復は心許ない状況です。そういう側面にも目を向けてもらえればと思うのです。


 

 


小学生の体育は <組み体操事故 東京・世田谷区が賠償金 生徒側と和解>などを読みながら

2017-12-11 | スポーツ

171211 小学生の体育は <組み体操事故東京・世田谷区が賠償金 生徒側と和解>などを読みながら

 

午前中は調停事件で家裁に出かけて2時間過ごしました。午後は交通事故や労働事件、成年後見の件などで、打合せなどしていると、いつの間にか5時近くになっています。今日は連載?ものは休止して、本日の話題だけにしようかと思います。

 

さて今日の毎日ウェブ情報では上記のニュースが出ていました。最近よく話題になる組み体操事故ですが、和解解決の中で改善策が盛り込まれている点、その被害が脳脊髄液減少症であることから、少し注目しています。

 

上記記事によると、<小学6年の時に組み体操の練習で転倒して脳脊髄(せきずい)液減少症となり、後遺症が残ったとして、東京都世田谷区の中学3年の男子生徒(15)と両親が、区に損害賠償を求めた訴訟は11日、東京地裁(鈴木正弘裁判長)で和解が成立した。>とのこと。

 

和解の骨子は<区が事故後の対応の不十分さを認めた上で「遺憾と謝罪の意」を示し、賠償金として1000万円を支払う内容。再発防止策として、区内の学校で組み体操を行う場合に指導者が事前に実技研修を受けることなども盛り込まれた。>

 

この内容だけでは、脳脊髄液減少症(現在の厚労省見解・ガイドラインでは脳脊髄液漏出症とされていますが、裁判所の認定に従ったと思われる記事の表現を維持します)の程度や訴えた損害額がわかりませんので、どの程度の後遺症との心証を裁判所が抱いていたかは推測するしかありませんが、和解金が1000万円ですので、後遺症と認定されたことは確かだと思われます。しかも後遺障害等級12級よりも重い、下位の等級の心証であったのではないかと推測します。

 

訴状での請求内容が明らかではないですが、相当重い内容で、請求額も等級5級とか7級程度を基礎にして損害算定していたのではないかと思われます。

 

父親の会見では<「賠償金だけの判決より、再発防止につなげるため、和解を選んだ。今後、区が本当に行動できるか見続けていきたい」と話した。>ということですから、判決で請求額に近い損害金を求めるより、再発防止策という一般予防に力点を置いた解決策で、譲歩したのではと思われるのです。

 

たしかに脳脊髄液漏出症との診断に争いがなければ、通常、後遺障害等級も相当重くなり得ますし、労働能力喪失率もその分高くなり、逸失利益額が大きな金額となり得ます。和解金1000万円ということから、相当譲歩した金額としても結構な額ですので、やはり残念ながら重い症状ではないかと心配します。

 

それではどのようにして起こったのかですが、記事では<生徒は2014年4月、体育館で倒立を練習した際、補助者の同級生が受け止められず転倒。後遺症が残ったとして今年2月に区と担当教諭を提訴していた。>というのですから、少し驚きです。

 

組み体操としてのピラミッドやタワーでは危険性がかなり認識されてきていますが、単に倒立の練習で倒れただけで、重傷の後遺症が残ったわけですから、これは関係者の多く想定していないのが普通ではないでしょうか。

 

具体的な倒立の練習の仕方や、受け止めにあたった生徒と倒れた生徒の身長・体重・運動能力などよくわかりませんが、それでも状況によっては起こりうると思われます。また、脳脊髄液漏出症自体、どの程度の外傷、外圧により生じるかは、解明されていないように思います。

 

しかし、漏出症との画像診断がされるような症状は大変重く、ブラッドパッチ(自家血硬膜外注入)などにより一定の改善効果が認められるものの、一生苦しむ可能性がありえるでしょう。

 

その意味では、小学生や子どもの体育のあり方、体操だけでなくバスケや柔道など、従来の指導方法について、こういった事故をよく検証して、あらゆる体育の練習で起こりうる事故を回避するよう、指導体制を見直す必要を感じています。

 

それにはこの事故などは、関係者の匿名性を確保しつつ、できるだけ詳細に公表して、どのような練習方法の中で起こったかを、刑事事件でいえば時系列を秒単位で、関係者の四肢の動きをしっかり再現して、そのときの指導者の言動も含めることが大事だと思います。労災事故の事例報告では、大ざっぱな事故報告がおざなり的になされることが少なくありません。それではなんのための報告か疑問さえ浮かびます。再発防止をしっかり注意喚起する意味は具体性が必要です。

 

その点、この件は訴訟で相当詳細な事実関係が示されていると思われます。むろん判決が出ていないので、双方の対立する事実関係となりますが、それを考慮しつつも、学校側の安全配慮義務を認めた形の和解が成立しているのですから、それにそった事実関係の整理を心がければできうることだと思います。

 

ところで、倒立といった案外、危険性を感じない体操でも危険がはらんでいることは以前からある程度は知られていることです。

 

たとえばこの<組み体操低い技も骨折注意…ピラミッド、タワーより多発>という記事は、その一例でしょう。

 

<2016年度に小中学校の運動会などで行った組み体操中の事故で、九州・沖縄・山口9県で少なくとも39人の児童生徒が骨折していたことが分かった。その6割にあたる23人は、高さがあって危険とされる技の「ピラミッド」や「タワー」ではなく、低い位置で2人1組で行う「補助倒立」などの技で骨折していた。スポーツ庁はピラミッドなどへの注意を呼びかけているが、専門家は「簡単とされる技も油断はできない」と警鐘を鳴らす。【杉山雄飛】>

 

ここでは骨折ということが取り上げられています。その程度の事故は容易に想定できるはずです。それが今回のような脳脊髄液漏出症といった重大な後遺症となると、話は違います。

 

この記事では<スポーツ庁は16年3月、都道府県教委などへの通知で「タワーやピラミッドは段数が低くても事故が発生している。安全が確認できない場合は実施しない」と注意を呼び掛けたが、サボテンや補助倒立などに言及していない。>とスポーツ庁の取り組みを紹介しつつ、その対象が限られている点を指摘しています。それはその通りですが、骨折の場合は、それも大変な事故ですが、まだ容易に回復します。今回のような事例は想定外でしょう。そこに着目する必要を感じます。

 

また、<漫画で解説組み体操は危険!?の巻>は、体操の危険性・問題点をうまく解説しつつ、それ以外のバスケや跳び箱競技の方が負傷事例が多いという統計数字の取り上げも重要でしょう。

 

子ども、小学生の身体は(心も)最近とみに弱くなっているようにも思えます。骨折しやすいのではと思ったりします。私が子どもの頃は外で遊んでばかりいました。相撲、跳び箱、鉄棒、水泳などなど、それでも骨折をしたことがありませんでした。階段の少しでも上から飛び降りるという競争?もやっていましたが(これは先生が許さない危険な遊びですね?)、おそらくこういう競争は得意でしたが、事故もなく過ごしました。

 

それはなぜか、わかりませんが、食べ物や環境も影響するのでしょうか。そういう子どもの全体像や環境をよくわかった上で、指導者は体育を指導する必要があると思うのです。それにはきちんと指導体制をつくり、指導カリキュラムを受けた教員なり指導者のみが指導できるシステムを確立する必要を感じます。

 

スポーツ庁、すでにいろいろ取り組んでいると思いますが、教育分野を文科省にのみ委ねず、また、オリンピック・パラリンピックなどに出場するようなトップクラスのアスリートを中心にするのではなく、子どもたち全般に対してこれから長い人生を健康に生きることのできることを安全な方法で提供できるような取り組みをやって欲しいと思うのです。

 

そろそろ一時間となりました。今日はこの辺でおしまい。また明日


競技指導のあり方 <過度な減量 選手生命に影響 女子競技指導の問題点>などを読んだり見たりして

2017-11-26 | スポーツ

171126 競技指導のあり方 <過度な減量 選手生命に影響 女子競技指導の問題点>などを読んだり見たりして

 

人を指導するというのはどの世界でも難しいことですね。いやいや家庭内で子どもを指導するなんてことはとてもとても大変な事。これはマニュアルもなにもありませんね。他方で、競技の場合、一定のマニュアルがあり、それが世界標準と比較され、次第にわが国の指導方法も見直されているように思います。

 

私が高校野球をやっていた頃、練習中一滴の水も飲むなと言われていまして、我慢していました。よく熱中症にならなかったといまでは不思議に思います。練習が終わった後の水は何よりも美味であり最高でした。最近のスポーツ選手(学生)は外食したり、そうでなくとも自動販売機でいろいろな美味なものを飲んでいますね。私の時代は自動販売機自体がなかったのですが、そういう飲み物があってもさほど興味をそそられることもなかったですね。

 

ところがその後遺症がやはりあるようです。長い間飲み物は、仕事後ビールなどを飲む以外あまり飲みませんでした。ジョギングなどでも何かを飲むと言うことはなかったですね。それと以前はリサイクル法がなく、ペットボトルの取り扱いに疑問があったので、これをもたない意識が強すぎたことも影響しました。そろそろ後遺症の話をしないといけません。その結果でしょうか、肌の乾燥がひどくなりました。かゆくなるのですね。それで最近は飲み物をできるだけとるようにしていますが、後の祭りでしょうか。老齢化の影響もあり、瑞々しい肌にはほど遠いだけでなく、声も以前にも増して枯れてしまい、ときどき発声できなくなるくらいですから、困ったものです。これらが飲み水制限の後遺症とまで断定できませんが、練習中は飲み水を飲まないという習性が仕事でも長く続いたことで、少なからず体の不調に影響しているような気がします。

 

さてそろそろ本論に入ります。今朝の毎日記事<ぷらすアルファ過度な減量 選手生命に影響 女子競技指導の問題点>では、<万引きをしたとして窃盗罪に問われた女子マラソン元日本代表選手(35)の初公判が今月開かれ、元選手は現役中の食事制限による摂食障害に長年苦しんできたことを告白した。>としています。この選手は119日付けの記事で取り上げられていた<アクセスマラソン元日本代表が万引き 摂食障害、追い詰められ 厳しい食事制限、指導で横行>だと思われます。止められない万引きはこういった病気なり、異常な体質なども影響することが多く、個人の主体的判断ではコントロールがきかなくなる場合が少なくないことを私も事件で数多く経験しました。

 

中川聡子、坂根真理の2人の女性記者が取り上げたのは、<陸上界では厳しい食事制限を課す指導が依然として残っており、専門家は「特に成長期に正しい食習慣を身につけることが競技継続や強化の上でも重要」と改革の必要性を強調する。>と問題提起しています。

 

この問題は<女性アスリートは食事制限や減量指導が将来、けがや障害につながる傾向が強いことが、約10年前から海外で指摘されるようになり、日本でも問題意識が広がる。>と最近になって海外で取り上げられるようになり、わが国でも問題になってきたのでしょうか。トップアスリートの有森裕子、高橋尚子、野口みずきといった方々は、独自の練習で、むろん食事療法も取り入れて、堂々とやっていたように思っていました。たしか高橋さんはもりもり食べていた映像を見たことがあり、そうなんだなんて感心しましたが、これは例外中の例外なんでしょうね。

 

この減量指導については、<女性アスリートの陥りやすい障害(Female Athlete Triad、通称FAT)として、エネルギー不足・無月経・疲労骨折の三つが上げられる。トレーニングの量や質に合わせ、バランス良く、十分な量の食事を取らなかった場合、「エネルギー不足」になり、月経が止まったりなくなったりする。そこから骨の形成に欠かせない女性ホルモンの分泌が減り、疲労骨折や靱帯(じんたい)損傷を引き起こし、将来的に骨粗しょう症になるリスクが高まるのだ。>とすでに科学的なデータがあるようです。

 

わが国でも科学的な指標により現状把握を始めているようですね。<順天堂大スポーツ健康科学部准教授で陸上競技部女子監督の鯉川なつえさん(45)は、FATが疑われる状況にあるかチェックするための「FATスクリーニングシート」=表=を作り、選手らに活用を呼びかける。

 鯉川さんが15年に大学女子駅伝出場選手314人に調査した結果、72%が体重制限、73%が無月経、46%が疲労骨折を経験していた。また、27%が鉄注射をしたことがあると答えた。

 「ご飯を食べるな」という誤った指導がなされる一方、選手自身が「太ったら成績が落ちる」という恐怖心から食事に消極的になるケースも多い。順大の新入部員が合宿の食事を前に「こんなに食べるんですか」と驚く様子を何度も目の当たりにしてきた。「勤勉で期待される選手ほど自分を追い込みがちだ。親やコーチの介入が欠かせない」と、周囲がFATへの問題意識を高める必要性を訴える。>

 

高校でも始まっています。<練習後には必ず、部員に体重測定を課す。顧問への報告や記録の義務はなく、選手自身で体重と健康を意識するよう習慣づけるためだ。体重が増えたら食事内容を自分で見直し、豆腐や納豆を食事に取り入れるなど対策が取れる。

 栄養指導にも力を入れる。強化練習会では、松井顧問やコーチらが栄養学を部員に教える。疲労回復にいい食事や、体重増加につながりやすい食べ物の知識を伝える。「自分で考え対策を取るよう促している」と狙いを語る。

 体重測定や栄養指導以外にも、無月経が3カ月続いた場合は、病院の受診を勧めている。女子部員の一人は「松井先生はどんなケアをしたらいいか教えてくれるから、無月経や貧血になったことはないです」と話す。>

 

トップアスリートを目指すレベルだと、<松井顧問は五輪を目指すジュニア選手を集めた合宿にもコーチとして参加。食事はバイキングで、同行する栄養士が選手の選んだ食事内容をチェックし、栄養バランスをアドバイスする。「子どもが試合で結果を出せないのは、コーチの責任だと思っている。しっかり健康を管理できたら結果を残せる。選手も陸上の楽しさを感じ、練習に励むことができる」と強調する。>ということで、次第に改善の兆しが見えることは期待したいと思います。

 

ただ、気をつけておかないといけないことは、大学生以下だと、ほとんど指導者の指導に従う傾向が大ではないかと思うのです。それが問題かもしれません。自分で考えてよりよき健康管理と技術・能力アップを行う個々の意識改革も必要ではないかと思うのです。むろん指導者も。当然、指導者や健康管理スタッフの方が情報が多いわけですが、それを一方通行するのではなく、選手・学生と意見交換しながら、よりよき選択をするそういった指導法を目指してもらいたいと思うのです。

 

高橋尚子さんと小出義雄監督との関係などを見ていると、見事な師弟関係が成立していたのかなとの印象を受けます。

 

そこで場面ががらっと変わって、昨夜ちらっと見たNHKの<奇跡のレッスン「ラグビー編~エディー・ジョーンズ~」>を取り上げたいと思います。ラグビーの試合は割合好きで時折見ますが、どうもゲームの戦術や成り行きがわかりにくいスポーツとの印象をいつも抱いていました。

 

でもエディーコーチの考えは違うようです。ものすごい頭脳プレーなのですね。今回は東京の強豪校・目黒学園の学生をたしか4日間でしたか、指導しただけですが、がらっと選手の意識や行動が変わるのですね。その秘訣は、選手同士のコミュニケーションをその場その場で具体的に指導するのです。

 

ラグビーというと、つい力勝負、あるいは素早いパスワークと巧妙なステップによる切り込みなどを、言葉を超えた前進の体をフルに使う、肉体美みたいなものに見とれてしまいますが、勝負の決め手は別のところにもあったのですね。

 

ディフェンスなり、オフェンスで、各選手が相互に他の選手の位置を指示しながら、チーム全体で有効なフォーメンションをとることで、一糸乱れぬボールさばきができ、トライに結びつけることができることを見事に証明してくれました。

 

指導の成果を見せるため、専修大学(これは選手の体格からみて失礼ながら控えの方ではと愚考してしまいましたが)と試合をしたのですが、最初は大学生の勢いに押されながらも、指導の効果が現れ、逆転勝利を挙げていました。

 

その中で注目したのは、選手は皆大きな声で威勢良く動いていましたが、エディーコーチいわく居酒屋の騒ぎだというのです。たしかに意味のないかけ声をいくら大きな声で叫んでも、チームの機動力を機能させることにはつながらないでしょう。まさに肝心のポイントです。その意味で、適宜適応の言葉を選び、それに応じて各選手が動けば、言葉は一糸乱れずの塊として巨大な力を発揮することができるように思えます。

 

そして重要なもう一つは、それぞれの選手が自分の考えを示すことでした。チームプレーというと、昔教えてもらったのは、黙ってチームのために、脇でも働くといった風に感じていたこともあります。しかし、ここではチーム全体のために、自ら主体的に意見を述べることが求められ、それは試合中でも発揮する動きが必要となるのだと思います。

 

わが国のスポーツ競技、とくにチーム競技では、コミュニケーション技術が重視されてこなかったと思うのですが、エディーコーチの指導はその意味で、今後、採用を検討してもらいたいと思った次第です。

 

その言葉が、TVなどの高感度マイクで拾うことができると、ラグビーの魅力がもっとますのではと期待しています。

 

そして再び、個々のアスリートの健康管理を改めて、指導者には求めたいと思うのです。そういえば、たしか西武ライオンズの藤田監督が野菜食を重視して導入したといったことが昔話題になったように思いますが、他のスポーツでも食事や健康管理・筋トレなど、さまざまな観点から、最低限度、アスリートの将来を考えた健康管理だけは確保して欲しいと思うのです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日