170221 株式会社と機関投資家 <議決権行使、機関投資家に開示圧力 「なれ合い断つ」金融庁議論>を読んで
今日は北風が冷たく、また冬に舞い戻った感でした。和泉山脈は冠雪でしょうか白っぽい姿、風がどっちから吹いてくるか、ただ寒い印象と、和泉山脈の冠雪のような様子に、北風だったと、今思っています。
それはともかく終日いくつかの事件の書類書きに追われて、来客との対応もあり、業務時間終了の時間になってようやく書く余裕ができました。久しぶりに残業?して、この千日回峰行ならぬ千日ブログを休まず続けようかと、少し躊躇しつつ、書き始めています。
テーマはとしばらく新聞記事やウェブ情報を見たのですが、どうも書く気分にならない事件・情報ばかりで、つい見出しの記事に、以前から気になっていたことと関係して、少し書いてみようかと思い、ざっと適当にウェブ情報を集めて、さてどう書いていこうか、また歩きながらというか、書きながら、適当な思いを綴るしかないな、とため息まじりにタイピングしています。
株主総会の形骸化論は、昔ほど言われなくなりましたが、それでもぱっと関連記事を見ると、昨年の総会開催日ころの話題は、その集中割合が激減しているというニュースであって、その総会での議題や議事が充実しているかといった話題はないに等しい状態で、悲しい限りです。たとえば毎日記事では<進む分散化 29日ピーク、集中率32%で最低>といったことです。
という私自身、株主総会に関心を抱かなくなって20年以上経つので、なぜわざわざブログの話題にするのか、自分でも不思議です。
どうも気になることがいくつかあり、素人ながら、全体像が怪しい雲行きを感じるのです。たとえば、たしかに現在、株価は上昇気流にあります。アベノミックスの成果という見方が大勢かもしれません。さらにトランプ効果といったことも好影響かもしれません。
そして、株主総会や会社自体の健全性がよくなったかと言われると、少しはよくなったと思うし、コンプライアンスやガバナンス、社外役員制などさまざまな制度化、法整備も相当進んだことは確かでしょう。
しかし、会計不正は大胆に行われ、一体、この間、どのくらいの企業が問題になったか、そのたびに第三者委員会を設置して調査・勧告等が行われてきましたが、一向に改善されない実態はあちこちに見られ、表ざたになったのは氷山の一角に過ぎないと思わざるを得ないのです。
会計不正だけでなく、事業上の不正もあります。そういった問題を監督したり、是正する仕組みが出来上がっているはずなのに、機能していないのです。
こういった前置きを前提に、今回は毎日記事にある機関投資家の問題と取り上げたいと思っています。そこでは主に、<生命保険会社や信託銀行など、顧客のお金を預かって運用する機関投資家に対し、株主総会での議決権行使の内容を開示するよう求める圧力が強まっている。>として、従来からの機関投資家が対象となって、金融庁も経産省も議論しているように思うのです。むろんこれら従来からのいわゆる専門的な機関投資家こそ、しっかりステークホルダーとして、株主総会の在り方、ひいては経営陣の経営姿勢を問うことを求めること自体は、方向性として妥当だと思います。
しかし、そこで問題にしている議決権行使について、議案への対応の開示を求めるといった程度ですら、その専門的な機関投資家は拒否反応を示していること自体、経営を適正に監督する役割を果たすといった期待をもてないと思わざるを得ません。
総会自体が活発なときが人事案について紛糾しているような場合で、むろんそこには経営上の問題がクローズアップされることと関係することは確かですが、経営上の問題はそれ以外にも多様な議案の中に現れるわけですので、さまざまな議案について、適切に議論され、採否にどう対応したかは、機関投資家としての重要な役割だと考えますが、そういう実態は現在あまり見られないと思います。
で、問題は、そういった専門的な機関投資家については、それなりに金融庁や経産省が研究して、適切にコントロールしようと努力している側面はあるのですが、機関投資家と言っても様々です。
ウィキペディアによると、機関投資家とは、<顧客から拠出された資金を、有価証券(株式・債券)などで運用・管理する法人投資家。運用資産額が大きく、動かす金額も大きいため、金融市場に占める存在感は大きい。一般に大規模で長期運用の投資をする法人投資家を機関投資家といい、ヘッジファンドなど短期運用の法人投資家は機関投資家といわないことが多い。>とされています。
具体的な例としては、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、投資顧問会社、証券会社、投資銀行、銀行などとすぐにイメージできる企業のほかに、年金基金や共済組合なども含まれています。
この年金基金や共済組合は、アベノミックスで株式投資を拡大しています。しかも何十兆円という巨額の株式投資が行われています。株価の上昇は、こういった本来、株式投資されなかった、年金基金をはじめ少なくない他の法人も株式投資に参加していることが影響しているのではないかと思います。
それだけではありません。日銀が株式を買い支えているとも言われています。いや、実体経済がプラスに動いているとか、生産性があがっているとか、株価上昇の理由を挙げるのが大勢ですが、ほんとにそうでしょうか。
日本有数の有力企業と言われた東芝でしたが、相次ぐ不正会計の発覚、そしてついには米原子力企業のウエスチングハウス(WH)の買収から、そののれん代の過大評価2000億円余、ついにはその事業業績自体が粉飾に類するような7000億円余の減損を出し、企業消滅の危機に瀕しています。
株主総会が機能していたらとか、機関投資家が適正に議決権行使したり、経営側と対話をしっかりしていたらとか、といったいま、経産省や金融庁が求めているような機関投資家のなすべき役割を的確に行使したとしても、東芝のこの虚妄のような事業実態はつかむことができなかったでしょうし、改善も困難だったと思われます。
それでも機関投資家がしっかり経営側と対話して、経営実態について資料開示を求めて適正な事業運営に協力する状況が生まれれば、少しは違ったと思います。また、多くの企業もまた、経営者の自律的なコンプライアンスやガバナンスだけに頼るより、外部からの監視が必要でしょう。
そういう視点に立てば、年金基金や日銀といった組織が株式投資に関与している現状は、かれらが適正なステークホルダーとして機能するのであれば別ですが、私は少なくとも年金基金やそれに類するファンドの場合、それぞれが妥当とする価値を満足しているかどうかといった視点や、適正な企業運営が行われているかといった視点で、より厳しい関与が必要な時代だと思うのです。
とってつけたようなテーマと思い付きの議論になってしまいました。いつかこれも整理してもう少しまともな議論になるよう努力したいと思います。延長時間も過ぎてしまいました。今日はこれでおしまいです。しりきれトンボですが。