170723 精神障害者考 <措置入院後支援 精神保健士、増員進まず>などを読んで
今朝も早暁から目覚めてしまい、日本列島の成立史を解説する本を読んではうとうとしてしまい、目覚めると7時近くになっていました。
<こころの天気図眠り妨げる夏の朝日=東京大教授、精神科医 佐々木司>によると、<気づいていない人もいるだろうが、外の明るさで早朝に目が覚めてしまい、睡眠不足に苦しむ人も少なくない。>というのです。
昔は木製の雨戸をしっかり閉めていたので、夏の強い朝日が目に入ることがなかったというのですね。たしかに雨戸を閉めると真っ暗になっていました。しかし、夏は暑くて閉めていなかった記憶で、蚊帳をつって、田舎の場合開けっ放しだったように思います。それはそれとして、精神科の先生のお話ですので耳を傾けたいと思います。
この対策として、佐々木氏は<一番の解決策は遮光カーテンだろう。さまざまな種類が売られている中で、できれば最も遮光性の高いタイプを選ぶといい。カーテンの隙間(すきま)から光が漏れては効果が半減してしまうため、大きさには余裕を持たせよう。カーテンレールからの光の漏れを防ぐには、レールを覆うボックスの設置が有効で、住宅設計関係者はさらに工夫してほしい。>
たしかに夏の光の強さを和らげるため遮光カーテンが出回っていて、私も事務所では使っています。でも自宅では使う気にはなれません。やはり夜中は星空を見上げながら、あるいは月光の光を浴びながら眠るのがいいと思っています。むろん満月の時は眩しいので多少は遮るように工夫しますが。そして早朝は日の出前の早暁の薄明かりもいいですし、とりわけ目覚めて寝床から外を見上げれば、その景観が心を和らげてくれます。ちょっと立ち上がると、慈尊院の少し上にある雨引山から高野の山々が屏風のように180度(これは少し誇張、100度くらいでしょうか)に広がっているので、うれしい限りです。
さらにいえば、というかなにより網戸越しから流れてくる涼風が遮光カーテンなんかがあると、遮断されてしまいます。たしかに朝早い目覚めは、佐々木氏が指摘されるように、睡眠不足になるかもしれません。でも私のような仕事では、昼時間を見つけて椅子に座ってスヤスヤしていますので、睡眠不足を悩むほどのことはありません。イタリアとかスペインのように昼の休みが2~3時間あるというのもいいでしょうが、私の場合うたた寝ですのでせいぜい15分か20分くらいですが、眠くなったら我慢せず眠るのでそのときは熟睡ですので、きっと全体として佐々木氏が指摘されているような問題にはならないのではと思っています。
さて長々と前置きを書いてしまいましたが、そろそろ本日のテーマに入りたいと思います。早く帰りたいので、残り30分くらいで簡単に整理したいと思います。
毎日朝刊トップ記事は、昨年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件を受けた国会対応について、<措置入院後支援精神保健士、増員進まず 今年度、5自治体どまり>と悲観的な実情を自ら調査したデータを基に、問題を追及し、さらに3面で大きくとりあげ<クローズアップ2017「措置入院」すれ違い 「支援強化急げ」積極的な国 「交付税足りぬ」冷めた自治体も>と国と自治体との対応に大きな隔たりがあることを指摘しています。
詳細は内容を読んでチェックしていただければと思いますが、専門家である<田村綾子・聖学院大教授(精神保健福祉論)は「身体や知的障害に比べ、精神障害は本人や家族の声が届きにくい。自治体の担当者が専門職でないと支援施策が後回しになりがちで、取り組みに温度差が生じる」と人員確保を急ぐよう指摘。その上で「国は措置入院の受け入れ病院全体の医療の質を上げることも必要。良質な病院から刺激を受けることで、自治体の意識も変わる」と話す。>のコメントにその問題の背景を感じています。
田村氏が指摘する<身体や知的障害に比べ、精神障害は本人や家族の声が届きにくい。>というのは、私自身、わずかの経験しかありませんが、身体障害や知的障がいは、その実際の程度・困難さはほんとはわかりにくいものの、外見でもおおよそわかります。ところが精神障害はその判断自体簡単ではないように思うのです。
私は、かなり以前に精神障害で精神病院に入院されている方の後見人として職務を行ったことがありますが、暴力的で、妄想・幻覚がひどいという家族の話でしたが、施錠された扉を開けて部屋で話をしたときの印象は、それほどの異常さを感じさせるものではなかったという記憶です。むろん意思能力が十分でないということで家裁で後見開始を決定したわけですから、精神科医の適切な診察・判断の下に行われたのだとは思うのです。
粗暴的な側面も感じませんでした。私自身が面談しているとき、事前の資料や説明から、緊張して対応していたことも関係するのかもしれません。むろん質疑という形の会話では必ずしもスムーズに話がされるわけではないので、十分な判断能力があるかというと疑問を感じますが、そういう注意を払っているからわかるので、そうでないと見過ごされるかもしれません。ある種、認知症の初期段階の方に似たような症状にも感じました。
むろん精神病院で処方治療を受けていますので、抑圧された状況にあったと思いますから、そういう薬効が薄れているときだと、どうかはまた違うのでしょう。
この方も、奥さんに暴力を振るうなど、問題があり、身近な病院で通院治療をしていたのですが、暴力や妄想がひどくなり、病院医師や警察などと相談して、精神病院への入院となったのです。そのとき措置入院だった記憶ですが、はっきりしません。
その方は退院を希望していました。でも、奥さんはこれ以上耐えきれないということで離婚訴訟を提起し、私が後見人として本人の代理をしたのですが、暴力や妄想・幻覚が悪化し直る見込みがないとして、離婚判決が確定しました。で、本人の病状は精神病院の診断では、退院できる状況にない、受けいれる家族もいないということで、入院を継続していました。
相模原障害者施設殺傷事件の被告人の場合とは事情がまったく異なりますし、私の経験した内容が措置入院とその後の対応のあり方に参考になるとは思っていません。
ただ、措置入院の判断自体、またその後の治療体制、そして退院の判断やその後の支援制度が、今回のアンケートの結果のように専門の精神保健福祉士を適切に配置できる状況にない現状だと、精神障害の疑いがあったり、精神障害者本人、本人を見守る家族、近隣、そして本人から課外を受けたことがあったり、将来うけるおそれを抱いている人たち、そういう不安な状況への対応がいつまでたっても改善しないことになるのではと思うのです。
それは精神障害者本人とっても気の毒なことだと思うのです。いまさまざまな事情で、精神的に追い詰められたり、精神的に不安に陥ったりする人は少なくない状況にあると思います。その人たちが直ちに精神障害と診断されたり、ましてや自傷、あるいは加害の危険性をもつことにはならないと思うのですが、早期に適切に対応する支援制度を確立しておかないと、社会はますます不安定な状況になるように思うのです。
こういう表面的な意見ではあまり意味がないことは承知しつつ、いずれこの問題についても検討してみたいと思うので、とりあえず今回は現状紹介の意味で取り上げてみました。
今日はこの辺で終わりとします。