181115 美食追求と地震予測と <ガッテン・本当にうまい刺身が家庭で!>と<ちきゅう、プレート境界断層へ>などを見、読みながら
日々知らないことを知ることは生きていることの魅力の一つかもしれません。昨夜NHK番組ガッテンでは<そう来たか! 達人直伝 本当にうまい刺身が家庭で>で、新たな驚きがありました。
以前、外国で和食を食べるとき、ソバや刺身といった好物はできるだけ食べないようにしていました。不味すぎて、せっかくの郷土味をかえって不快に感じる結果となっていたからです。これは途上国のみならず西欧各国でも同じでした。最近はどうでしょう。
スーパーの刺身も、外国での体験ほどではないとしても、似たような感じで、やはりちゃんとした料理店でないと美味しく味わえないと我慢しながら食べていました。しかしガッテンで放映された映像は、スーパーの刺身が問題ではなく(そこに展示するまでに鮮度を保つために多様な氷の保存法を使っていかに苦労されているかよく分かりました)、私も含め多くの消費者の持ち帰りや家での保存方法に問題があったことを明らかにしてくれたのです。
焼津で大人気の魚店の5代目が、専門料理店の板前さんも指導を受ける、とっときの保存法を伝授してくれたのです。たくさんありますが、重要なポイントの一つは、刺身パックを冷凍保存するための氷パックの作り方と、他の食材を含めて袋に詰める方法で、要はいずれも密封にすることでした。詳細は上記のガッテンの箇所をクリックしていただければ、画像入りでその手法が事細かく書かれています。
スーパーの刺身を家で食べるとき、必ずそのお皿ないしはツマには赤い汁状のものがでていますが、これが適切に冷凍保存されてない結果で、旨みの多くが逃げていくのだそうです。そうだったのかと納得です。でも5代目が名人技で華麗に振る舞う塩振りが必須と知り、やはり簡単ではないなと、最後は食にこだわるほど味覚が発達していないでよかったと思う次第です。
わが国で採れる魚が美味いのはなぜでしょうと、連続講義?が毎日記事であり、最近では<美食地質学入門第8講 グジ(アマダイ) 若狭のおわん、豊かな餌場>で、その所以を紹介しています。
日本は海に囲まれていて、沿岸各地で採れる魚介類は絶品ですね。漁港近くのお店で食べる刺身は格別です。それはなぜか。むろん鮮度ですが、その魚介類そのものの出来が違うようです。私は海外で美味しいと思った魚介類を食べた経験がありません。味付けは上手とは思いますが・・・
今回は若狭湾が舞台です。なぜ美味しいのでしょう。
それは伏流水と地形に影響があるようです。少し長いですが、二人の専門家<神戸大学海洋底探査センター長の巽好幸先生(左)と「エコール 辻 大阪」副校長の大引伸昭先生>の話を引用します。
<大引「暖流と寒流が交わり、栄養価が高いんです。伏流水も湧き出てる。グジは砂泥に穴を掘ってすむ魚で、餌場としてもいい」
伏流水とは字のごとく、伏して見えない流れのこと。川の地下などを流れ、砂れきでろ過された清水だ。マグマ学者の巽好幸先生が手を打つ。
巽「伏流水は海底の砂泥を下からかき混ぜるんで、酸素や栄養分が行き渡り、グジの餌の甲殻類なんかが豊富なはず」
大引「海底の地形も生息しやすいのでは。グジは深さ50~100メートルにすむ。若狭湾の水深は平均100メートルくらい」
巽「若狭湾は沈み続けてるんです。言うたら大きなおわんが沈んでるようなもの。逆に断崖の越前海岸など、周囲は隆起している。すると高低差がつきますね。盛り上がった所は浸食されるので、その砂がおわんにたまるわけ。それと伏流水にも高低差が必要」
高い所から勢いよく流れ落ちるから、深い湾内で湧き出るのだ。>
そして核心の若狭湾がなぜ沈み込んでいるかについて、南海トラフを作り出しているフィリピン海プレートの沈み込みが若狭湾から伊勢湾にかけて連続的に続いているのだそうです。詳細は上記毎日記事をクリックして、図解とともに丁寧な解説をご覧ください。
さて南海トラフ大地震・大津波がいつ起こってもおかしくない状況にある中、その動向を探る新しい科学探査が行われていることが今朝の毎日記事<科学の森ちきゅう、プレート境界断層へ 大地震懸念の南海トラフ、海底下5200メートル掘削計画>に掲載されていました。
すごいですね、すでに海底下を3000mも掘削しているのですね。さらに今度は5200mまで掘削するというのですから、大変な作業であることが素人でも分かります。世界一のレベルだそうですね。
<10月10日、静岡市の清水港。全長210メートルの「ちきゅう」が大勢の見送りを受けて出航した。向かったのは紀伊半島沖の熊野灘。この地点は過去の航海ですでに海底下約3000メートルまで掘削してあり、今回は約5200メートルまで掘り抜くことを目標としている。8カ国の研究者が参加する国際共同プロジェクトだ。>
<掘削の目的は、この固着域を直接観測し、岩石を採取すること。その上で、ひずみの蓄積具合や断層のずれ方などの特徴に迫ろうとしている。共同首席研究者の木村学・東京海洋大特任教授は「巨大地震の切迫度を評価できるようにしたい」と意気込む。
計画は2007年から始まり、これまでに熊野灘とその沖合の15地点で掘削してきた。掘削総延長は34キロにも及ぶ。掘削孔に設置された観測システムや掘り抜いた岩石の試料からは、プレート境界断層の浅い領域で起こっているゆっくりとしたすべり現象や、過去の地震の痕跡が明らかになった。ただ、固着域まで掘り進んだ地点はなかった。>
もしかしたら直にプレート境界断層の岩石などを採取できるかもしれませんね。
<木下教授は「目的地に到達すれば、地層とは違う、ひび割れのようなものが出てくるのでは」と予想している。>わくわくする話でしょうか。
そして巨大地震発生前に、予測できる監視できる体制に近づくことでしょうね。
<海洋機構は掘削完了後、孔内に圧力計などの観測機器を設置し、リアルタイムで固着域を監視したい考えだ。木下教授は「巨大地震までの準備の過程を、発生の前に捉えたい」と話している。>期待したい試みです。
今日はこの後出張で、事務所には帰ってこれないので、早めにブログを書きました。
これにておしまい。また明日。