181025 税制のあり方 <自動車減税 攻防本格化 経産省、燃費性能新税の凍結主張>を読みながら
昨夜のプライムニュースだったかと思いますが(情報が多くてすぐ記憶があいまいになります)、トランプ政権の目玉政策として、大幅減税と環境規制の骨抜きで、アメリカ景気が活況を呈している要因との指摘がありました。
とりわけ南部の州では、にくき環境規制ということで、それがなくなったか緩和されたことで、溜飲を下げているようです。個人の所得税減税はまだ実効化されていないか、一部ということでこれから本格化する見込みとか。それでも法人税が大幅に減税され、他方で大幅金融緩和の結果、お金がだぶつき、結局、株式や不動産などに投資されているとのことでした。
むろん相当額の設備投資もあるでしょうけど、だぶついたお金の行き先は株・債券に不動産というのはどこも同じですね。南部を中心にトランプ政権の公約実現に喝采をしている人たちの多くは、体も豊満な印象ですが、実際のところは仕事もお金もそれほど増えていないようです。民主党政権やオバマ大統領が嫌いで、それだけで内容を議論しないまま、聞く耳を持たない人が多いようですね。民主主義の基本である、お互いの主張の相違を理解しつつ議論して結論に至る、多数決原理の根本が怪しい状況ですね。
ながながとアメリカの話を持ち出しましたが(それも曖昧な記憶で)、わが国の場合そこまで対話がないとまで与野党の対立が厳しいとは思えませんが、内容のある議論がされていないという点では似通った印象をもちます。
トランプ政権と仲良しのせいか、環境規制についても少し後退気味に思えるのは誤解でしょうかね。あるいはアメリカでは大幅減税を採用したのに、日本では消費増税の議論でもちきりというか、これを軸に、新年度の税制も揺り動かされているようにも見えます。
政策の基本的方針が何で、これと個別の施策との折り合いというか、調整が明確でないように思えるのは私が知らないだけなのでしょうか。
今朝の毎日記事<自動車減税攻防本格化 経産省、燃費性能新税の凍結主張/総務省、地方自治体の税収減懸念>は、どうも性根が据わっていない政府の実態を浮き彫りにしているように映ってしまいます。
だいたいたった2%の増税(これは失礼ないい方かもしれませんが、私の本音です)で、あれこれと延期理由をこじつけて、さらに来年度は実施すると宣言までして、しぶしぶやろうとする姿勢には、税に対する国民の信頼を勝ち得なかった使い方の問題を露呈しているようにも思えるのです。
社会保障費の増加傾向は周知の事実です。他方で、アメリカと比べ金額的には低いですがGDP比率でいえば、その財政赤字額は異常なものになっています。この財政赤字に目を向けないことをいつまでもやっておられないでしょう。次の世代に負担を繰り延べすることはもう許されない段階でしょう。
社会保障費増大に対応するのに、2%の消費税増税では足りないことは明らかです。それを渋るのであれば、支出を大幅削減するしかありません。
また記事を離れて書いてしまいました。まず記事の取り上げた問題を引用しましょう。
<自家用乗用車にかかる税負担の軽減を巡り、年末の2019年度税制改正に向けた関係省庁の攻防が本格化している。>どういう問題かというと、
<19年10月に消費税率が10%に引き上げられるのに合わせ、経済産業省は燃費性能に応じて課税する新税の導入凍結などを主張。これに対し、総務省は「地方自治体の税収減につながる」などと反発している。減税は消費増税の影響を緩和する経済対策として検討されており、具体的な手法や期間などが焦点となる。【岡大介】>
<燃費性能に応じて課税する新税>は、地球環境問題対応はもちろん大気環境・健康保全、化石燃料消費の削減など、これからの環境政策として重要な施策の一つでしょう。それを消費税増税の緩和策として凍結するといった考え方には疑問です。総務省の主張する自治体の税収減になるという見方もどうかと思います。
この経産省の考えは、安倍首相の指示にしたがったもののようです。
<安倍晋三首相は消費増税を予定通り行うと表明した15日の臨時閣議で、自動車関連の減税を検討するよう指示した。高額商品である自動車は増税前の駆け込み需要や反動減が大きくなりやすい。減税は、増税後の購入を促して景気やメーカーの業績への影響を緩和するのが狙いだ。>安倍政権はトランプ政権ほどではないですが、環境保全に熱心でない政権の一つかもしれません。
すでに<与党税制調査会の幹部は「1~2年間の時限措置なら自治体の減収分を国の予算で補える」としており、時限的な減税には前向きだ。>という凍結案が支持される方向にあるようですね。
ところで、経産相の世耕氏と、対立する総務相の石田氏、いずれも和歌山県ですね。二階氏と合わせると、めずらしく和歌山県が政権中枢で重要な地位を占めているように思うのですが、それがいいことかどうかは別にして。
ただ、世耕氏は安倍首相の側近として長くつとめ、高い評価を得ているのに対し、石田氏は初めての入閣でこれまでもそれほど表舞台で目立った活動はされていなかったようにおもえます(知らないだけかもしれませんが)。どうもこのような立ち位置からすると、しかも消費増税を無難なく進めたい安倍政権からすると、経産相の凍結案に分がありそうですね。
そんなはしたない議論は置いておいて、きちんとそれぞれの政策目的に応じた税制議論をしっかりと公開でやってほしいものです。だいたい2%の消費増税のために、減税策をあれこれ打ち出し、そこには重要な環境規制を骨抜きにするような対応でよいのか、はなはだ疑問に感じます。
こうなると、林野庁が打ち出している新森林環境譲与税なんかも怪しくなるのでしょうか。なぜ2%の増税で、あたふたし、かえって減税策がはびこるようなことになるのか、どうも本質論が、そして税制のあり方が国民の理解を得るような運びになっていないことに問題があるように感じるのです。
今日はこの辺でおしまい。また明日。
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