たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

おかわの古今東西 世界の「おまる」 隠された人間の営み発見>などを読みながら

2018-10-10 | 人間力

181010 おかわの古今東西 世界の「おまる」 隠された人間の営み発見>などを読みながら

 

今日は珍しく忙し忙しでした。電話が次々かかってくるや、来客も多くて、肝心の仕事は進んだのかしらと業務時間終了時刻が近づいてふと思ってしまいます。

 

本日もお題がぴんとこず、毎日記事をざっと見ていたら<ハマりました。世界の「おまる」 隠された人間の営み発見>というのがあって、この記事の主人公のほほえみとおまるの外観が興味深く、これにすることにしました。

 

「おまる」といい「しびん」といい、どこがどのように違うのかを確認しようとしたのですが、明確な定義があるのでしょうか。ぼやっとしている印象です。前者はうんちを、後者はおしっこを、主に対象にしているというイメージがあり、とりあえずはそれでいいのかもしれませんが、境界線をはっきりさせないのも「隠された人間の営み」領域のことだからでしょうか。

 

で、「おかわ」とも言われていますが、日本大百科全書(ニッポニカ)の[井之口章次]解説が表現といい、内容といい、なかなかよかったです。とりあえずそのまま引用します。

 

<お厠(かわや)を略した女房詞(にょうぼうことば)。屋内用の便器で、「おまる」「こばん」「しびん」などともいう。>

 

井之口氏は歴史的考察をされています。

<住宅建築の一施設として、屋内に便所を設けることは比較的新しい。農家では肥料をとるために、近年まで別棟の便所を使っていた。おかわは飛鳥(あすか)・奈良時代に中国から伝来したといわれ、平安時代には寝殿造の生活に重要な調度であった。曲物(まげもの)で小判形につくり、箱形のものもある。・・・寒い地方で多く用い、雪国では嫁入り道具の一つとして欠かせないものであった。>

 

その形態・材質にも言及され、現代事情の一端も触れています。

<上流社会では螺鈿(らでん)、蒔絵(まきえ)を施したものも使い、蓋(ふた)をして箱に収めるものもあった。現在はブリキ、ほうろう引き、ガラス製のものが多く、老人、幼児や病床で使う。>

 

で、毎日記事では、特異なコレクター、あるいは人間の営みを探る生き方をされている方として紹介されています。

<日用品は、その時代の人々の生き方を映し出す。エッセイストの村瀬春樹さん(74)=神奈川県二宮町=がのめり込んだのは、古今東西の「おまる」から見えてくる物語だ。>

 

村瀬氏がのめり込んだのは<1994年秋、フランス・パリ郊外。・・・小さな町の骨董(こっとう)市>での出会いだったそうです。

 

外観は大きなティーカップ、<持ち手がついた白い陶器のカップ。外側には青とピンクの花模様と、「花嫁へ」という意味のフランス語「A la mariee(ア・ラ・マリエ)」が、上品な筆記体で描かれている。・・・中をのぞき込むと、底に「片目」のイラストが写実的に描かれているのだ。>

 

<店番をしていた女性に「これ、何?」と聞くと、女性は笑いながら答えた。「おまるよ!」

 

村瀬氏は、その「出口の道具」に興味を惹かれたようです。

<皿や茶器をはじめ、体の中に食べ物を取り入れる「入り口の道具」は所狭しと並んでいたが、考えてみれば「出口の道具」は見たことがない。

 「入り口があれば出口もあるはずなのに、あたかも存在しないかのように隠されている。そう感じて『出口の道具』が気になり始めていた頃にパリであのおまるを見つけ、一気に興味が湧いたんです」>

 

村瀬氏は、その使われ方を調べて上記のおまるについては次のような立派な歴史があったそうです。

<1860~70年代に結婚式で使われていたようだ。当時は、新品のおまるにシャンパンやホットチョコレートを注ぎ、新郎新婦に飲ませる披露宴の余興が流行していたという。式の後には夫婦のベッド下に収納され、普通のおまるとして使用されたそうだが、底から写実的な目が見上げるデザインが何ともシュール(超現実的)だ。>

 

それから村瀬氏のコレクションが始まり、たとえば紀元前の形状のものまであるそうです。

<「吠(ほ)えるしびん」と名付けられた韓国製の一品。ソウルの古道具店で「特派員」が見つけたという。紀元前3世紀ごろのしびんのレプリカで、丸っこい胴体に脚が4本生えている。天に向かってほえているようなダイナミックさと、呼べばトコトコと歩いてきそうな可愛らしさが備わっている。>

 

村瀬氏は最近コレクションの展示会を開催し、好評を得たそうです。で、村瀬氏はおまるがもつ人間性というか身分の差を超えてその隠れた営みを彷彿させてくれることで、開放的な気分になるようです。

<「おまるに接していると、気分が解放されるんです。(排せつは)人間が素(す)になる瞬間であり、どんな高貴な身分の人も貧乏人も分け隔てない、抜き差しならぬ人間の営み。それを、はるか昔から見続けてきた道具が、おまるなんです」【塩田彩】>

 

ところで、このおまる、しびん、おかわなどをウェブで少し検索すると、なんと多種多様な商品が販売されているのを目にすることができます。

 

そうかそんなに人気商品?なんだと驚きました。ふとなんらかの規制はあるのかなとついでに調べてみましたが、とくになさそうですね。排便・排尿先としてのトイレは、浄化槽の場合浄化槽法が(浄化槽法上、平成13年改正で合併処理浄化槽のみとなっていますが)、公共下水道に接続しているトイレは下水道法が排水基準等を規制していますが、おまるなどはとくに規制対象にはなっていません。

 

ただ、病院などで使用する場合に<改正医療法・感染症法を考慮した院内感染防止ガイドライン>の中で、院内感染防止策として、おまる等との関連では、<尿量計、便器・尿器の管理>の中で、洗浄方法を指定し、尿器については共用ではなく個人使用としています。ま、毎日記事のように楽しい内容にはならないですが、場所に応じて使用制限があるのは当然でしょう。

 

ちょっと違う視点では、厚労省の<日常生活用具給付等事業の概要>で、しっかりと給付対象物に位置づけられています。<特殊尿器>とか<便器>などとして。

 

では最近の災害時対応はどうかというと、1時間以内で終わらしたいので、すこし時間がかかりそうなので、今日はこのへんでやめときます。

 

前口上が長すぎました。本題は何かというとおかわ(とくに携帯用に限った意味で)の古今東西を考えてみたかったのですが、どうもそこに行き着く前に事切れたようです。現代的多様性は驚くべき進化をとげているようで、それはコレクションの対象と言うより、より自由奔放かもしれません。あるいはリサイクルとか循環資源的な発想も重要かもしれません。

 

いつか取り上げたいと思います。今日はこれでおしまい。また明日。

 

 


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